このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

View 4に搭載される新しいプロトコル、そしてハイパーバイザーとは?

CVP端末やPCoIPも披露!VMwareのデスクトップ仮想化戦略

2009年10月22日 08時00分更新

文● 金子拓郎/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

10月20日から始まったヴイエムウェアのプライベートイベント「VIRUALIZATION FORUM 2009」。2日目のゼネラルセッションでは、同社のデスクトップ環境の仮想化に対する戦略が披露された。デスクトップ仮想化端末も披露され、どのPCでも自分のデスクトップという環境を実現する。

ユーザーの自由を広げる仮想デスクトップ

VMware Viewの機能を紹介するゴールドフェイン氏

 2日目の10時から始まったのが「The Future of Virtualization: From the Mobile Phone to the Cloud」と題する1時間半に及ぶセッションだ。ここでは、米ヴイエムウェアのサーバ事業部門担当バイスプレジデントのラグー・ラグラム氏と同デスクトップ事業部門担当バイスプレジデントのジョセリン・ゴールドフェイン氏が登壇した。

 注目は新参入の仮想デスクトップ(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)の分野だ。仮想デスクトップ環境がなぜ必要なのか。その理由としてゴールドフェイン氏が挙げたのが、IT部門とビジネスユーザー側の要望の食い違いだ。

 従業員のPCを管理するIT部門は、効率的に管理が行なえ、セキュリティやコンプライアンス(法令遵守)を満たすことが求められる。しかも、IT予算は削減され続けてしまう。一方、PCを利用するビジネスユーザー側は、外出先でもPCの利用を望むし、さまざまなデバイスやアプリケーションを自由に使いたいと望んでいる。

 しかし、2つの要件を同時に満たすことは困難だ。管理効率を上げセキュリティを確保しようとすると標準化の推進が必要となり、ビジネスユーザーの自由は減ってしまう。一方で自由にデバイスを選べるようにすればOSが変わってしまい、OSが変わればアプリケーションが変わってしまう。OSもアプリケーションも、そしてデータも、結局はデバイスの種類に依存するためだ。

仮想デスクトップ技術を使い、スマートフォンからWindowsのデスクトップを利用する(会場で行なわれたデモ)

 そして、こうした問題を解決する手段が、デスクトップの仮想化なのだという。仮想デスクトップでハードウェアの仮想化を行なえば、デバイスへの依存がなくなる。さらに発展させると、デバイス自身で実行するのではなく、クラウド上でOSやアプリケーションを実行させることも可能になるのだ。

 もちろんサーバ上でアプリケーションを実行させる手段としては、これまでもターミナルサービス・リモートデスクトップが使われている。しかし、ターミナルサービスはネットワークがつながった環境でないと利用できない。一方、仮想デスクトップでは、VM(Virtual Machine)のイメージファイルをローカルに持ってくることも可能なため、ネットワークがつながらない状況でも利用できる(オフラインデスクトップ)。ローカルのイメージファイルはキャッシュとし、ネットワーク再接続時にサーバ側のイメージファイルと同期させる運用方法もある。

仮想デスクトップを実現するVMware製品

 仮想デスクトップはサーバ仮想化ベンダーの多くが取り組んでおり、マイクロソフトはWindows Server 2008 R2でのVDI対応を製品のメリットの1つに挙げている。一方、ヴイエムウェアの強みは、仮想デスクトップに必要なソフトウェアを以前より扱っており、導入実績がある点だ。

 ヴイエムウェアの仮想デスクトップ環境は、以下の製品から構成される。

仮想デスクトップの構成

vSphere(VMware Infrastructure)
仮想化ソフトウェア群。ハイパーバイザーである「VMware ESX/ESXi」や仮想ネットワークを構築する「vNetwork Distributed Switch」、仮想マシン冗長化を行なう「VMware FT(Fault Tolerance)」などの機能を含む
vCenter
仮想化環境管理ツール。ライブマイグレーション機能「VMware VMotion」などの制御も行なう
VMware View(VMware VDI)
仮想デスクトップの管理やプロビジョニングを行なう「VMware View Manager」、デスクトップイメージの作成や管理を行なう「VMware View Composer」などで構成

 なお、実際の製品としては「VMware View Enterprise Starter Bundle」という形で、VMware Viewに加え、vCenterやVMware Infrastructure 3などのセット製品としても販売されている。

(次ページ、機能拡張が続くVMware View)


 

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ