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すっきりわかった!仮想化技術 第2回

サーバ仮想化の仕組みと種類を学ぶ

ホストOS型とハイパーバイザ型の違いを知る

2009年05月08日 06時00分更新

文● 大内明/日本仮想化技術株式会社 

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サーバの仮想化とは何か

 従来のサーバ運用では、1台のサーバに1つのOSをインストールして使用するのが一般的であった。またサーバの価格も高く大量購入が難しかったので、1台のサーバとOSにいろいろなサービスを詰め込む場面もよく見られた。しかし、近年は価格低下によってサーバを大量に導入することが可能になったため、サービスごとにサーバを増やしていくケースが増えた。

 一方、低価格化と同時にサーバ性能も大幅に向上している。そのために「1サーバ、1 OS」ではサーバリソースを大量に余らせてしまい、CPU処理能力や電力のほとんどがアイドル時間(「なにもしない」という処理)に消費されるようになってしまった。そのうえ、サーバ台数が増えすぎてしまったためにデータセンターはパンク寸前となり、電力不足の問題も発生するようになっている(図1)。

図1 サーバ仮想化の概念

 そこで、サーバ仮想化によって利用率の低い複数のサーバを1つにまとめることで、サーバ1台あたりの利用効率を高めるとともに、物理サーバの台数を減らして消費電力を抑えようというのが、サーバ仮想化のおもな目的である。

 もう1つ、サーバ仮想化の目的に挙げられるのが「レガシーマイグレーション」と呼ばれるものである。Windows NTやWindows 2000、旧カーネルのLinuxなど、数年~十数年前に導入されたサーバがそのままの状態でいまだに稼働している企業は少なくない。こうしたサーバは経年劣化で故障がいつ発生するかわからないし、部品の調達も難しくなってくる。また、サーバ機器をリプレースしようにも、OSが新しいハードウェアに対応していない場合が増えてきた。

 かといって、システムをまるごと新しくするのにも移行に膨大な手間がかかる。そこで、(一部の)古いOSも稼働させることができるサーバ仮想化を用いて、古いサーバを仮想マシンに変換する技術が登場した。これがレガシーマイグレーションである。一度仮想化すれば新しいハードウェアの対応などに苦慮する必要がなくなり、システムをまるごと入れ替える悪夢は回避できる。

 さて、サーバ仮想化というと、近年話題の仮想マシンを複数作成する方法がすぐに思い浮かぶが、OSの機能を見ていくと、1つのWebサーバに複数ドメイン名を割り当てるバーチャルドメイン機能や、1つのシステムの中で複数のシステム環境を持って切り替えながら動作する仮想環境など、さまざまな仮想化技術を見つけることができる。ひと口に「サーバ仮想化」といっても、仮想化する部位によっていろいろな方法があるのだ。

 本パートでは、サーバの仮想化技術について広く紹介していこう。

(次ページ、「サービスレベルでの仮想化」に続く)


 

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