5月13日、東京ビッグサイトにて第6回情報セキュリティEXPOが始まった。ソフトウェア開発環境展やデータウェアハウス&CRM EXPO、組込みシステム開発技術展、データストレージEXPO、RFIDソリューションEXPO、ダイレクトマーケティングEXPO、Web2.0マーケティングフェア、グリーンIT EXPOと併催され、総出展社数は1560社。東京ビッグサイトの全体を使う巨大ITイベントだ。
開催期間は13日から15日の3日間で、入場料は5000円(9イベント共通)。ただし、主催であるリード エグジビション ジャパンのWebサイトで登録し、返送されるメールのプリントアウトを持参すれば無料で入場できる。
新たなセキュリティ技術を訴える基調講演
情報セキュリティEXPOのスタートを飾るのがセキュリティ関連のキーパーソンによる基調講演だ。一昨年には米マイクロソフトのベン・ファティ氏がWindows Vistaのセキュリティについて語り、昨年は米国のセキュリティ企業シグナサートCEOで大統領のセキュリティアドバイザーのワイアット・スターンズ氏が登壇した(所属や肩書きは当時のもの)。
そして今年の基調講演は、米シマンテック社長兼CEOのエンリケ・T.セーラム氏と、トレンドマイクロ社長兼CEOのエバ・チェン氏というセキュリティベンダー双翼のトップによるものだ。
シマンテックのセーラム氏の講演タイトルは「戦いが変わる、これからのセキュリティ ~The New Security Agenda: Changing the Game~」、トレンドマイクロのチェン氏は「嵐に打ち勝ち、港へ ~セキュリティ・クラウドで会社を強くする~」。両講演に共通するのは、新たなセキュリティの脅威は日々登場しており、対処する側も新たな技術を投入する必要があるという点だ。
セーラム氏が提唱したのは、レピュテーション・ベースのセキュリティだ。たとえば、あるアプリケーションが信頼できるのかを評価(レピュテーション)しておき、大学のような自由の高い組織ではある程度まで利用を許可。政府機関のような高いセキュリティが必要な組織では、禁止の基準を低くするといった運用が行なえるという。
またチェン氏は、クラウドが抱えるセキュリティ上の問題と、クラウドを使ったセキュリティ技術を紹介。クラウド環境では、クライアントとしてiPhoneやWindows Mobileのようなスマートフォン、さらにはPSPのようなゲーム機すらクライアントとなるため、安全確保のウイルス対策が必要となる。ところが、ウイルスパターンファイルには150万種ものパターンが登録されており、さらに2.5秒に1つの割合で新しいウイルスが登場している。非力なスマートフォンやゲーム機に、ウイルスパターンファイルを配信するのは非現実的だ。
では、どうすればいいのか?解決策としてトレンドマイクロが提示するのが、「スマートプロテクションネットワーク(SPN)」だ。SPNでは、ウイルスパターンファイルをクラウド内のサーバに用意し、ウイルス検出処理をクラウドで行なう。端末側の処理は、対象となるファイルのシグネチャを送信するだけで済むため、軽い負荷で済むわけだ。
一層高まる脅威を「嵐」と表現したチェン氏は、嵐をもたらす要因でもあるクラウドが逆に新しいセキュリティ技術の可能性の拡げることを「雨降って地固まる」と日本語で表現し、基調講演を締めくくった。
(次ページ、「展示会場は狭い通路に大勢の人が」に続く)
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