3DMark Vantage
今度は、3Dベンチマークテストの3DMark Vantageの結果を見てみよう。GPU性能が大きく効く総合スコアはほとんど変わらないが、CPUの演算性能を計測するCPU Testでは、X4 955 BEはX4 940 BEよりも7%程度スコアが向上している。
温度と消費電力
最後に温度と消費電力を比べてみよう。温度は、HWMonitor Pro 1.05を利用して、消費電力は、システム全体の消費電力をワットチェッカーを使って計測した。アイドル時は、OS起動後30分放置したもので、省電力機能「Cool'n'Quiet」を有効にした状態。高負荷時は、3DMark VantageのCPU TEST2を3回連続して実行し、もっとも高かったときの温度と消費電力を取得している。CPUクーラーは、X4 955 BEのリテールパッケージに付属する純正クーラーを利用した。
まず、温度だが、計測時の室温は26℃であり、X4 940 BEの結果は明らかにおかしい。AMD純正ツールのAMD OverDriveユーティリティによる計測結果も全く同じだったので、X4 940 BEの温度はアイドル時、高負荷時とも無視してほしい。X4 955 BEだが、アイドル時30.5℃、高負荷時51.5℃という結果は、なかなか優秀だ。特にオーバークロックを行なわず、定格で動作させるのであれば、リテールの純正クーラーで十分な冷却が可能であろう。
消費電力は、アイドル時はX4 940 BEとほとんど変わらず、高負荷時は10WほどX4 955 BEのほうが高くなっているが、それほど大きな差ではない。TDPはともに125Wであり、このクラスのCPUとしては、実際の消費電力も妥当だろう。また、省電力機能Cool'n'Quietも無駄な消費電力の削減には非常に有効だといえる。
Phenom IIシリーズのフラッグシップの名に恥じない性能
X4 955 BEは、Socket AM3環境で、現時点でのPhenom IIシリーズの最高クロック3.2GHzを実現したフラッグシップモデルであり、ベンチマークテストの結果も期待通りであった。特にエンコード時間は、従来のフラッグシップであったX4 940 BEに比べて、1割以上も短縮されている。当初の予想価格も3万円を切っており、登場当時のX4 940 BEに比べて、コストパフォーマンスの点でも魅力的だ。これまでSocket AM2マザーボード+Athlon X2などを使っていて、性能に不満が出てきたのであれば、X4 955 BEの登場はSocket AM3環境に移行する絶好のチャンスといえるだろう。また、今回は時間の都合もありオーバークロックについては検証していないが、クロック倍率が固定されていないBlack Editionなので、オーバークロックに挑戦したいという人にもオススメだ。
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