ユーザー同士が直接手渡しすることで
さらにコンテンツ市場が広がっていく?
TransferJetがケータイに入って来たとき、我々の生活はどのように変わるのだろうか。ここではコンテンツを購入する場合とUGCの場合で変わってくる。
「au春モデルの発表会では、今までのキヨスク端末とは違った世界を披露しました。このデモでは1秒で着うたフルが買えたのですが、データはTransferJetで課金はFeliCaの電子マネーで、という組み合わせも可能です。DRMの仕組みについては検討中ですが、ユーザー間の端末で著作物をやりとりできるようにしたいとも考えています」(上月氏)
今までは、友人がイヤホンで聞かせてくれた曲が気に入って欲しくなったら、自分のケータイからその曲を検索して、ダウンロードする必要があった。もしDRMを個別に処理できる仕組みが組み込まれたら、その場で友人のケータイから自分のケータイにTransferJetで転送してもらい、DRMだけを通信で購入すれば良くなる。
このサービスを実現するには権利だけを購入する仕組みなどを整える必要がある。またそれはキャリアをまたいだ運用ができるようにすべきだ。ただこれが実現できれば音楽がビジネスとしてさらに広がる可能性を持っている。
またUGCの場合は、ケータイ以外のデジタルカメラ、ビデオカメラ、テレビやDVDレコーダー、そしてなによりPCがTransferJetに対応する必要がある。昨今FeliCaポート付きのPCが増えてきたが、これと同じようにさまざまな機器にTransferJetが搭載されていけば、ケータイを絡めたコンテンツの運搬、連携が実現できるようになる。
そう言えば、最近Pokenという非接触型の電子名刺交換ガジェットが話題になっている。またamadanaが5月にリリースするVGAビデオカメラ「SAL」は、USBポートの受け口と挿し口を備え、SAL同士でビデオの交換をすることが可能だ。
これまでケータイは、遠隔地同士でもつながれるコミュニケーションツールであったが、TransferJetをきっかけに、コンテンツを絡めてのリアルなコミュニケーションを作っていけるとおもしろいのではないだろうか。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。
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