FinePix F601は、高感度モードや高速読み出しモードを持つ「第三世代スーパーCCDハニカム」を搭載したデジタルカメラだ。ポルシェデザインの現行機「FinePix 6800Z」の上位機にあたり、スリムな縦長ボディやハニカム補間などの特徴を持つ。
超高感度撮影も可能な
第三世代ハニカムCCD
FinePix F601は、同社のコンパクト縦長ボディ採用FinePixシリーズの最新機種にあたる。大きな特徴は、撮像素子に新設計の「第三世代スーパーCCDハニカム」を採用し、高感度撮影や高速読み出しによる動画撮影機能が強化されている点だ。有効画素数は310万画素だが、ハニカムCCDの補間処理によって最高603万画素相当(6Mモード、2832×2128ドット)の記録が可能だ。
高感度撮影を可能にするのは「画素加算信号処理」という技術で、CCDの4画素分の電荷をまとめて読み出すことによって少ない電荷(=光量)でも信号レベルを上げつつノイズを下げるものだ。このため高感度撮影時は有効画素数を1/4に減らすことになる。F601のISO感度はISO160/200/400/800/1600に設定でき、このうち高感度撮影モードであるISO800/1600を指定すると記録画素数は最高1280×960ドット(1Mモード)となる。
また、高速にCCD読み出しを行う「CCD内水平/垂直画素混合」機能も搭載する。これはオリンパス光学工業の「CAMEDIA E-20」に搭載された「プログレッシブスキャン」モードと同様に、水平1ラインおきのCCD列の電荷を合計しつつ読み出すという処理を行う。E-20では高速なシャッター速度(最高1/4000秒)に利用されているが、F601では主に動画機能の強化に用いられており、1280×960ドットであれば約0.6秒間隔で40コマまで、640×480ドットならば15フレーム/秒で記録メディアであるスマートメディアの容量一杯まで撮影できる。また、最高記録画素数である6Mモードでも約0.2秒間隔で最大4コマまでの連写が可能など、デジタルカメラの中でも非常に動画や連写に強い製品となっている。
写真1 丸みを帯びたデザインとなった本体。フロントにはグリップ用の突起があるが、滑らかな曲線構成なので指がかかりにくいのは難点。 |
また、6800Zでは側面にあったビデオ出力端子とUSB端子も省略され、底面にある専用USB端子に1本化されている(写真2)。このコネクタは別売のクレードルに接続するための端子と兼用で、クレードルに接続した際にはクレードル側のUSB端子経由でのPC接続やF601への充電、クレードルに備わったビデオ出力端子が利用できる。なお、クレードルを購入しなくても、付属の専用USBケーブルを使えばF601を直接PCに接続できる(写真3)。
写真2 DC入力のみのシンプルな側面。電源を入れるとフロントのレンズ保護カバーがスライドするとともにレンズが大きく伸張する。 | 写真3 オプション(5000円)の「ピクチャー・クレードル」。USB端子でPCと接続して本体付属のACアダプタを繋いでおけば、F601を載せればPCへの画像転送や充電が行われる。 |
写真4 背面の右上にあるのが8方向カーソルスティック。撮影/再生切り替えスイッチに親指を置いてグリップすると最も安定する。 |
撮影機能は従来機同様にプログラムオートのほか4種類のシーンモード(人物/風景/スポーツ/夜景)とマニュアル露出が可能で、絞り優先(開放側でF2.8/4.0/5.6/8.0の4段階)やシャッター速度優先(3~1/2000秒)、フルマニュアルモードが選択できる。いずれも個々の設定は液晶モニタ上で数値を選ぶが、シャッターを半押しにしてもマニュアルで露出設定した結果がモニタ画面に反映されず(露出不足/オーバーの場合のみ「AE!」と警告表示が出る)、いまひとつ撮影結果が分かりづらい。