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【LinuxWorld Expo/Tokyo 2001レポート】(その1) 基調講演

2001年05月30日 22時42分更新

文● 編集部

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5月30日より、東京ビックサイトで「LinuxWorld Expo/Tokyo」が開催されている。ここでは最初に行なわれた基調講演およびデモンストレーションの模様をお伝えする。

基調講演

最初に行なわれた基調講演は、コンパックコンピュータ(株)副社長 河合聰氏による、「Linuxマーケットの展望とコンパックのLinux戦略」。河合氏によれば、現在のLinuxのビジネスモデルは主にサービス、教育が中心になっており、SI事業では苦戦を強いられることが多いという。そこで新しいビジネスモデルとして、単機能サーバなど、企業が導入しやすいシステムを提供することが求められている。

コンパックコンピュータ副社長 河合聰氏

いっぽう、Linuxを企業が採用するにあたり、不安材料としてあげられるのが

  • 企業にLinux技術者がいない
  • Linuxの信頼性、パフォーマンスへの不安
  • ハードウェアベンダーがどの程度開発にコミットメントしているのか

といった点であり、コンパックではこのようなユーザーの声に答えるものとして、

  • 「ASE技術者認定制度」といった教育サービス
  • コマンドを使用することなくGUIから各種設定が可能な「Linuxソリューションパッケージ」の提供
  • 信頼性を確認するための「Linuxコンピテンス・センター」といったテスト機関の整備
  • デバイスドライバなどの無償公開

といったことを行なうとしている。

ASE技術者認定制度とは、コンパックのLinuxサーバ構築や障害対応ができる技術者を認定する制度。コンパックではこの4月、技術者育成のために「コンパックトレーニングセンター」を新宿に設立したという。

「Linuxソリューションパッケージ」は、コンパックのハードウェアにLinuxをプリインストールしたアプライアンスサーバシリーズ。初期設定などがすでに完了しており、ユーザーは電源を入れればすぐにウェブサーバやプリントサーバといった機能を使うことができるようになっている。

また、今後のコンパックの戦略においても「Linuxを最優先に、業界をリードしたい」(河合氏)と考えており、実際に、IntelアーキテクチャのLinuxサーバ業界で「ProLiant」シリーズを標準にすること、Alphaアーキテクチャマシンの市場拡大を目指すとしている。

ほかに、日本独自の現象として、モバイル市場が非常に発達していることにも触れ、Linuxとモバイルの結びついたシステムの具体例として、『INSUITE Server』を用いたデモを行なった。

デモンストレーション

デモンストレーションは、(株)ドリーム・アーツ代表取締役である山本孝昭氏が実際に、『INSUITE Server』のデータベースにコンパック『iPAQ』からデータの書き込み/読み出しを行なった。

ドリーム・アーツ代表取締役 山本孝昭氏

『INSUITE Server』はコンパックの『ML330e』に、『Miracle Linux Standard Edition1.1』と『INSUITE』をバンドルした、「Linuxソリューションパッケージ」の1つ。『INSUITE』はドリーム・アーツが開発した、多数のクライアントに対応したグループウェア。スケジュール管理やワークフロー管理のほか、報告書や資料を簡単に作成/共有したりコメントをつけることが可能な「ライブラリ」機能などがある。各種データベースにも対応しており(標準ではPostgreSQLをバンドル)、Linuxサーバ上で動作し、クライアントのWebブラウザからのデータの書き込み/読み出しが可能。そのため、iモードやPalmといったモバイル端末からも利用することができる。

このシステムを用いることにより、営業や販売管理といった現場から入ってくる、生のデータを社内で共有することが可能になり、レポートの作成といった作業も容易になるという。山本氏は、「INSUITE Serverというのは、本格的なウェブアプリケーション、本格的なモバイルソリューションにつながるファーストステップ」であるとコメントし、壇を降りた。

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