LinuxWorld Expo/Tokyo 2000レポート――ワークショップ「日本オラクル社・Linux戦略~技術編~」で語られたミラクル・リナックスの今後
2000年05月19日 00時00分更新
5月11日~12日の2日間、東京ビッグサイトにおいて、LinuxWorld Expo/Tokyo 2000が開催された。2日目の12日午後には、日本オラクル(株)のLinux事業推進 佐藤剛春氏によるワークショップ「日本オラクル社・Linux戦略~技術編~」が行なわれ、新会社「ミラクル・リナックス」が開発するRDBMS用の新しいディストリビューション「Miracle Linux」に関する詳細情報が語られた。
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日本オラクル(株) Linux事業推進 佐藤剛春氏 |
Miracle Linuxの基本方針
Miracle Linuxの目標は、「Windows NT Server並みの扱い易さを目指す」というもので、Linuxに不慣れな人でもインストールが可能なレベルに持っていくという。ここで「Windows NT Server」という単語がでてきたが、決してGUI偏重のシステムにはせず、「GUIとCUIのいい部分を併せて使えるようにしていく」という。
その他のMiracle Linuxの目標としては、
- 「Orecle8i for Linux」向けのチューニングを施す
- 「ファイルサーバ用」、「Webサーバ用」など、サーバ用途に特化したインストールメニューを用意する
- 不要なソフトウェアをインストールさせないようにする
- セキュリティに留意した初期設定
- サーバの管理に必要となるドキュメントを用意する
- 高い品質を確保する
といったものが挙げられた。
「2」のインストールメニューに関しては、一例として
- Samba用メニュー
- Webサーバ用メニュー
- Oracle 8i用メニュー
などが紹介されていた。Webサーバ用メニューでは、今話題のPHPを、Oracle向けにコンパイル直したり……といったこともやりたいそうだ。
「4」のセキュリティに関しては、必要のないポートを閉じるといった処理などを行なうとのこと。
「5」のドキュメントに関しては、かなり重要視されている。日本語による完備したドキュメントを提供することによって、より使いやすさを増そうという考えだ。
「6」の高い品質についてだが、日本人は製品選択の際、スペックを重視し、「オーバークオリティ」を求めてしまう傾向があるという。Miracle Linuxは、こうしたニーズにも耐えうるような高品質を目指し、“一段上”のシステムも構築できるようにしていく。そして、高品質を武器に、日本国内だけではなく、さらに海外への展開も考えているとのことだ。
製品ラインナップ
製品ラインナップだが、これは先日の「LinuxWorld Expo/Tokyo 2000基調講演レポート」でもお伝えしたとおり、「Standard Edition」と「Enterprise Edition」が用意される。
- Standard Edition
- 中小規模サーバ向け製品で、バックアップツールやUPS用ユーティリティを含んでいる
- Enterprise Edition
- 大規模サーバ向け製品で、クラスタシステムに対応、パラレルサーバ構築も行なえる
なお、Standard Editionは、Oracle8i Workgroup Server for Linux R8.1.6相当のものだという。
スケジュール
ワークショップの最後には、今後のスケジュールも語られた。それによると、以下のとおりに進んでいくとのことだ。
2000年7月 | 製品に対する要望について意見交換の場を設ける(メーリングリストもしくはWebの掲示板) |
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2000年8月 | Standard Editionベータ版公開。情報共有/サポートも行なう(ベータサイトユーザー用の情報共有の場を設ける) |
2000年9月 | Standard Edition出荷開始。製品版のサポートも同時に開始。さらに、Standard Edition用の無償セミナーを実施する。このセミナーでは、プロジェクタを使ったインストール説明などが行なわれる |
2000年第4四半期 | 日本オラクルの行なう研修ビジネスと協業し、LPI(Linux Professional Institute)に準拠した有償セミナーを開始。日本オラクルのLinux資格「Oracle Master Linux+」とLPIの協調を行なう |
2001年前半 | IA-64対応版Standard Edition出荷 |
2001年後半 | Enterprise Edition出荷 |
