LinuxWorld Expo/Tokyo 2000レポート――LI18NUXメンバーによるワークショップ「Linux国際化の仕様と将来の展望」
2000年05月20日 00時00分更新
5月11日~12日の2日間にわたり、LinuxWorld Expo/Tokyo 2000が開催された。2日目の12日午後には、「Linux国際化の仕様と将来の展望」と題したコンファレンスが行なわれ、Linux Internationalization Initiative (LI18NUX)とLinux Standard Base (LSB)が共同で設立する団体「Free Standards Base」の紹介や、LI18NUX 2000仕様の決定に至る経緯が語られた。スピーカーは、コンパックコンピュータ(株)の末廣陽一氏をはじめ、Sun Microsystemsの樋浦秀樹氏と日本アイ・ビー・エムの木戸彰夫氏。
そのあと、LI18NUX 2000およびFree Standards Baseについて、記者会見も行なわれた。この内容も併せてお伝えする。
左から、樋浦秀樹氏、末廣陽一氏、木戸彰夫氏 |
LI18NUXの目的
1999年9月に発足したLI18NUXの目的は、Linuxのグローバリゼーションと国際化である。具体的には、「英語版のディストリビューションを使っていると、日本語がきちんと扱えない」などという問題を解決するためだという。世界中の言語を同時に扱えるように、Linux自身と、その上に乗っているソフトウェアの国際化を進めることが目的である。
アプリケーション開発者の立場から見たLI18NUXのメリットとは、世界中で使うアプリケーションを単一ソースから作ることができ、これにより、開発・テストなどにかかる費用を節約できることである。また、それぞれのアプリケーションが重複して持っている部分を、国際化という一貫したレイヤーで取り除き、より効率的なシステムを作るという利点もある。
その目的のために、LI18NUXは次のような活動を主に行なっている。
- 国際化に関する技術的な議論を行なえるフォーラムを提供すること
- Linuxの国際化に関する情報を公開すること
- アプリケーションの互換性や相互運用性を確保するために必要な、国際化APIや機能単位の仕様を提供すること
LSBと共同で設立したFree Standards Group (以下、FSG)については次のような説明があった。FSGは米国の非営利団体で、その目的は、Linux以外も含めたオープンソース技術の標準化および技術関発を行なうことである。LSBやLI18NUXなどは、FSGのもと、技術プロジェクトとして存続するという。
LI18NUXの今後の予定としては、8月14日にLI18NUX 2000国際化仕様を確定し、8月15日~17日にSun Joseで開催されるLinuxWorld Expoで発表、9月から10月に中国・イスラエル・ドイツでミーティングを行なうとしている。
LI18NUX 2000は今年中に達成可能な標準
先日、ドラフト公開を行なったLI18NUX 2000国際化仕様 (以下、LI18NUX 2000)は、LI18NUXとして初の公式な成果である。昨年11月にLI18NUX 2000のためのサブグループを設置してから、5カ月ほど作業に時間を要したことになる。
LI18NUX 2000が目指す目標は、オープンソースソフトウェアの国際化を加速することにあるという。2000年内に実装可能なものだけが仕様に盛り込まれており、UNIXの中でもっとも進んだ国際化を実現するための第1歩と位置づけている。
仕様では、OSを国際化するために必要な要件のみが規定されており、具体的なアプリケーション名については規定しない。これは、たとえば「glibcのバージョン○○が必須」という条件は盛り込まないということだ。また、LI18NUX 2000では新たな国際化のモデルは扱っていない。
最後に、LI18NUX 2000次期仕様(仮称として「LI18NUX 2001」と呼ばれていた)の計画が発表されたが、具体的なスケジュールは明らかにされなかった。
記者会見について
コンファレンスのあとに記者を対象とした会見があり、LI18NUXにOSが標拠しているかどうか認証を行なう意向が明らかにされた。主な質疑応答は次のとおり。