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LinuxWorld Expo/Tokyo 2000基調講演レポート――ミラクル・リナックスは「企業に適合したLinux」を提供する

2000年05月13日 00時00分更新

文● 植山 類

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 5月11日~12日の2日間、東京ビッグサイトにおいて、LinuxWorld Expo/Tokyo 2000が催された。初日の基調講演では、日本オラクルを筆頭株主として設立される注目のLinux事業会社「ミラクル・リナックス(株)」が「発表! ミラクル・リナックス株式会社」をテーマに発表を行なった。スピーカーは代表取締役社長に就任する矢野広一氏をはじめ、同社の吉岡弘隆氏と池田秀一氏。

 講演では同社の概要から製品スケジュール、開発モデルなどが語られ、「オラクルの強みを生かした、ふつうの企業でも安心して採用できるLinux」を提供することを強調、「Linuxに詳しい人がたまたま社内にいたから」という事例ではなく、SI企業が担いで使えるLinuxにしていきたいとの意志を見てとれる内容だった。

ミラクル・リナックス(株)代表取締役社長 矢野広一氏

 まず演台に上がったのは矢野広一氏。ミラクル・リナックスの概要について語った。

 同社は、日本オラクルをはじめNEC、ターボリナックス、OBCなどが出資・設立した企業で、6月1日から企業向けのLinuxディストリビューションの開発・販売・サポートを行なっていく。

 同氏は講演の中で、同社のキーワードとして「日本」「企業」という2つの点を挙げた。「日本」というのは、高い品質が求められる日本市場において成功することにより、ほかの地域の企業にもアピールしようということだ。

 「企業」というのは、「オラクルの強み、長年、企業の中でデータベースを構築してきた実績と経験という強みを持っており、我々の存在意義はそこにある。そこに適合したOSを出していく」という意味である。

ミラクル・リナックスとバザール開発モデル

 技術担当取締役の吉岡氏は、バザール方式の開発モデルとミラクル・リナックスの関係を説明した。「一つの企業が資源を投入することで技術革新を促進してきたため、知的所有権により投資を保護」してきた従来のモデルと、「公開することによって情報は進化する」というバザール方式を対比して、「バザール方式のソフトウェア開発は革命的な開発手法だと私は理解している」と述べた。

 反面、バザール方式の問題は、「プログラマが興味を持たないことは開発されにくい」ことだ。また、「たとえばベンチマークで、ディスクを1000台用意して、CPUを24時間回すことは個人の屋根裏ではできない」(同氏)。その意味で、ミラクル・リナックスはバザールの研究開発センターであるという。

 同氏は、ミラクル・リナックスが「データベースにオプティマイズしたディストリビューション」と「日本語によるサポート」を提供し、「オープンソースプログラマという新たなカテゴリが社会に根付くようにしたい」と話した。

「安心」がキーワード

 次に、6月よりミラクル・リナックスのマーケティングを行なう池田氏が、製品群の紹介を行なった。

池田秀一氏

 まず同氏は、日本市場の特殊性として「品質要求が高く、ブランドイメージに弱い」と述べ、その結果として「Windows NT Server(のシェア)が非常に高い」とした。IDCによる調査では、アメリカでLinuxが25%のシェアなのに対して、日本では2.7%しかないという。2003年においても日本でのLinuxシェアは10%にしか上がらないという市場予想を挙げて、「なんとしても(2003年には)40%に高めたい」と話した。「それを自分たちでやってしまえと考えて設立したのが、ミラクル・リナックス」(同氏)。

 Miracle Linuxの製品系列は、中小企業向けのサーバOS「Miracle Linux Standard Edition」と、クラスタリングをサポートした大企業向けの「Miracle Linux Enterprise Edition」の2つ。Standard Editionは9月出荷を目標として、8月から広くベータ版を広開する。来年の前半にはIA-64対応の製品を出し、後半にEnterprise Editionを出荷するとしている。

 Miracle Linuxのサポートには、親会社である日本オラクルのサポートも利用するという。また、広かれたサポート体制を目指して、製品の情報交換をできる場所を作る予定があるとしている。

 研修は、Standard Editionを使った無償セミナーを9月に実施する。LPIに準拠した有償セミナーも広く行なっていくとのこと。

 「ミラクルリナックスとターボリナックスが技術を共有をして、サポートはNEC、OBC、日本オラクルがやっていく。これだけシステム構築に対して知名度の高い大企業がやることによって、エンドユーザー、SI企業でも安心して使えるイメージができたのではないかと考えている」(池田氏)。

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