2月26日からUQコミュニケーションズによる高速モバイル通信サービス「UQ WiMAX」がスタートし、メディアに「WiMAX」の文字が躍る機会も増えた(関連記事)。では、「WiMAXって何?」と知り合いに聞かれたときに、うまく説明できるだろうか? そこで、下記のようなポイントを中心に、今一度WiMAXの基本的な仕組みや、世界のWiMAX事情について振り返ってみよう。
WiMAXのポイント
ポイント1 WiMAXを知るためには「OFDMA」と「MIMO」が大切
ポイント2 高速通信が可能になるOFDMAの仕組み
ポイント3 効率的な帯域利用に繋がるMIMO
ポイント4 WiMAXとWILLCOM COREの同じ点・違う点
ポイント5 順調とは言いがたい世界のWiMAX
WiMAXを知るためには「OFDMA」と「MIMO」を知ろう
WiMAXとは「World Interoperability for Microwave Access」の略で、IEEE(米国電気電子学会)で定義された固定無線通信の通信方式。UQコミュニケーションズが開始したのは、このうち、「モバイルWiMAX」と呼ばれるもので、規格としては「IEEE 802.16e」となる。ここでは、主にこの802.16eについて解説しよう。
規格上は、IEEE 802.16eにはいくつかの通信方式が含まれているのだが、一般的にWiMAXもしくはモバイルWiMAXと呼ばれるサービスでは、無線LAN(IEEE 802.11g)と同じ「OFDM」という変調方式(データを電波に乗せる方式)を使う。また、同じく無線LANである「802.11n」のように複数のアンテナを使う「MIMO」技術を使って、より高速な通信を実現している。
非常にざっくりというと、無線LANを遠距離で使えるように改良したものがWiMAXなのである。
このWiMAXの特徴は、OFDMAとMIMOである。これらを簡単に説明しよう。
高速通信が可能になるOFDMAの仕組み
OFDMAとは「Orthogonal Frequency Division Multiple Access」の略で日本語にすれば、「直交周波数分割多元接続」となる。これを理解するには、その基本となる「直交周波数変調方式」を理解する必要がある。
通常、電波に何かの情報を載せて送ると、電波は周波数的な広がりを持つ。これを「帯域」と言う。つまり、特定の周波数の範囲を占有するのだ。これを絵にすると、縦軸に信号の強さ、横軸に周波数をとって下図1のようになる。これを「スペクトラム」と言う。
電波では、このグラフの中心部分が、送信の元になる周波数で、これを「搬送波」(キャリア)といい、その周波数を「搬送波周波数」と言う。ラジオなどの周波数は、通常この搬送波周波数で表現するが、実際には、その前後に広がっているのだ。
この図で、信号が一定の強さになっている範囲では、信号が混ざってしまうために、別の通信ができない。他の通信を行なうには、少し周波数を離し、お互いの信号が強い部分が重ならないようにする必要がある。このため、一定の範囲内の同時にできる通信数には制限ができる。