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今だからこそ押さえておきたい

WiMAXで知っておきたい5つのポイント

2009年03月03日 13時00分更新

文● 塩田紳二

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データを分割し同時に送信するOFDMA

 ところが、デジタルデータを送信するとき、この形が下図2のように、複数の山になる。ところどころ、信号の強さがゼロにまで下がっているわけだ。

【図2】信号を重ならないようにすると信号の強さがゼロになってしまう

 信号の強さがゼロということは、他の通信に与える影響がないので、ここに別の通信の搬送波周波数が来るように図3のように重ね合わすことができる。

【図3】他の信号の強度がゼロになるところにピークが重なるように配置すると、狭い範囲に多くの信号を重ねることができる

 「直交周波数変調方式」とは、このように、複数の通信を同時に可能にする。これによって、送信する元のデータを分割して、同時に通信させる。すると、一度に複数のビットを送信できるために高速通信が可能となるのだ。

 具体的には、一定範囲の中を複数の搬送波(これを「サブキャリア(副搬送波)」と言う)に分けて、高速な通信を行なう。複数のサブキャリアで、並列してデータを送信することで、単位時間あたりにより多くのデータを送ることができるのだ。

 OFDMAでは、1つのサブキャリアでなるべく多くのビットを同時に送ることができる処理を加えた上で、あまり、細かくサブキャリアを分けないで送信する。OFDMAは高速な通信に向いているが、その分処理の負荷が重く、消費電力などが多くなってしまう欠点がある。

 モバイルWiMAXの規格上は、OFDMAだけでなく、「OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)」といった方式も入っている。こちらは1つ1つのサブキャリアが同時送信するビット数は少なくする代わりに、サブキャリアの数を多くする。そのため処理負荷が小さいため、結果的に消費電力が少ない。しかし、多くのモバイルWiMAXサービスでは、携帯電話などに比べると電力を豊富に使えるパソコンなどを対象にしており、消費電力が多くても高速通信のほうがメリットが大きいことなどから、OFDMAを採用している。

 なお、書籍などによっては、直交周波数変調を使った通信の一般名称としてOFDMやOFDMAを使うことがあるので、注意してほしい。ここで解説したOFDMとOFDMAの違いは、あくまでもWiMAXという規格内で定義されている通信方式の違いだ。

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