山谷剛史の「中国IT小話」 第42回

人民の物欲を掻き立てる、中国流モノ雑誌

華僑ネットワーク、そしてネットが支える

　また別の疑問として、一体どうやって、日本の世界の最新事情を数百万人もの人民が情報を入手するのか、という疑問が浮かび上がる。

　その答えは世界に広がる華僑ネットワークにある。世界各国に滞在する華僑が、中国に向けて情報発信し、その国の最新トレンドとまではいかないが、その国で人気のハイテク製品を中国に伝えるのである。

中国のモノマガジンは、中国発売未発売問わず紹介できてクール！

世界各国の魅力的な最新のガジェットが一同に集結

　またそれだけではない。受験勉強で身につけた英語や、アニメ・ゲームで身につけた日本語で、アメリカや日本のニュースを読み、そのまま中国向けに翻訳し記事を配信するのである。

　例えば日本の情報ならこんな感じだ。NTTドコモなどのキャリアが新しいガラパゴスケータイの発表会をする。ASCII.jpのようなIT系ニュースサイトでその詳報が掲載される。中国のIT系ニュースサイトで日本語のできる敏腕な編集者が無許可でそのまま翻訳。写真も未許可で拝借して、掲載する……という感じである。

中国未発売のWiiFit、その正体は日本語版だ

　一方で例えば∞プチプチなど、ケータイとは別種のヒット商品についても、現地の中国人が人気であることを本国のサイトや新聞上で報告する