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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第34回

iPhoneは「2年の相棒」足り得るか?

2008年08月14日 12時45分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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2年間のよき相棒


 バッテリーでは不安が残るけど、欠かせない。そんなiPhoneには、「2年間縛り」が定着した今のケータイ業界で端末が生き残るためのヒントが隠されている気がする。

 iPhoneは、モバイル環境における情報流通の要として、信頼して付き合える存在になり得ることを、数々の「病みつき」になる機能によってアピールしている。今後増えていくであろうアプリ群によって、相棒として選べる人の幅も広がっていくだろう。

 2年間付き合う必要があるのは、なにもiPhoneだけではない。現在多くのケータイ会社が、端末価格や月々の基本料、通信料を割り引く前提として2年間の契約を約束するという料金システムを用意している。これまでのように、新端末が出たらすぐ機種変更して常に最新のケータイを使う、というスタイルはコスト面から現実的ではなくなってきた。

 つまり日本のケータイも、この「2年間相棒として付き合えるかどうか」という点で勝負をしていく必要があるのである。言い換えれば、2年間信頼して使えるようなワークフロー、ストーリーがケータイやウェブ、そのほかの生活の上に何本も敷かれているかがポイントだ。



より尖った機能を持たせることも大切


 これまでの各社の高機能端末が目指していたのは、ジェネラリスト志向だった。もちろんこれもひとつの方向性であり、何か使いたい機能が出てきても困らず同じ端末で対応できるという点は、確かに安心感がある。夏モデルでは、ドコモの906iがこの傾向があったが、今後はシリーズ標準の機能を用意して各社一斉にリリースする、というスタイルは変えるようだ。

 auやソフトバンクはさまざまな理由ですでに端末に個性を持たせる戦略に走っている。ある程度の取捨選択し、ときには快適な機能を犠牲にしながら、より魅力的で尖った機能を持たせる端末も続々と出てきている。

 この連載でも、「re」「Sportio」「G’zOne」「922SH」「X02NK」といった端末は、手に入れて使うことが楽しかったり、その端末が持つ個性を愉しむことができると言えよう。

 しかし、やはりまだケータイに閉じたワークフローであって、iPhoneのように広くウェブと連携できるようなストーリーを持っている端末はそう多くない。今後も光る魅力と頼れるストーリーを持ったケータイを見付けていければ、と考えている。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET



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