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WWDC 2008リポート Vol.2

基調講演(前編):iPhone 2.0が切り開く地平

2008年06月11日 02時39分更新

文● 宮本朱美

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アップルの3本柱は、Mac、iPhone、Music

 米国サンフランシスコにあるモスコーニュセンターで6月9日(現地時間)から1週間にわたって開催される、2008年アップル世界開発者会議(WWDC、World Wide Developer Conference)。今回は新型iPhoneが発表されるという期待が開催前から高まっており、1500ドルもする参加チケットが初めて完売するなど、異常な盛り上がりを見せた。

 会議に先駆けて、Telefonica社(スペイン)/Hutchison Telecommunications社(香港・マカオ)/ソフトバンクモバイル(株)(日本)など、iPhone未発売のさまざまな国から、iPhoneの販売元になったというニュースが多々発表されたのも、基調講演まで秘密保持にこだわる今までとは違う傾向だ。3G対応の新iPhoneが発表されるというのはほぼ確定と見られるなか、基調講演の幕が開けた。

 1月のMacworld Expoの基調講演とはうって変わって、晴れやかな笑顔で登場したスティーブ・ジョブズ米アップル社CEOは、スライドに映された3本脚の椅子を例に、アップルの3本の柱は、「Mac」と「iPhone」と「Music」だと説明。この会議では、新型iPhoneと次期Mac OS Xバージョン10.6(開発コードネームが「Snow Leopard」であることが初めて発表された)などについて学んでほしいと述べた。

Guitar Rig

アップルの3本の柱は、「Mac」と「iPhone」と「Music」だと説明するジョブズ氏

 続いて「iPhone 2.0」の説明に移り、3月5日にリリースされた「iPhone SDK」(iPhone 2.0用のアプリケション開発環境。登録すれば無料で入手できる)が、たった95日間のうちに25万件ダウンロードされ、2万5000人以上が有料のiPhone開発者登録を行い、すでに4000人がベータプログラムを登録していると発表した。

 新しいiPhoneは、企業による使用も視野に入れていることを強調。マイクロソフトの「Exchange Server」に対応し、タイムラグなしにメールを取得する「プッシュ型メール」/VPN対応/サーバーにある予定表や顧客データベースとiPhoneの自動同期/iPhoneを紛失したときに遠隔操作でデータを消去する仕組み——など、初代iPhoneにない特徴をいくつか紹介した。

 まず米FORTUNE誌で選ばれたトップ500の優良企業のうち35パーセントにiPhoneを試用してもらい、業務用アプリが簡単に開発でき、容易に使えることを、ディズニーやGenentech(遺伝子工学の会社)など各社の担当者が語るビデオを上映した。

U.S. Army

iPhone 2.0を試用した企業の中には、U.S. Army(米国陸軍)も!「どこでもメールをチェックできて、もしも紛失した際は遠隔操作でデータを消去できるため、セキュリティー面でも万全だ」と語っていた

 その後、ジョブズ氏に代わり、スコット・フォーストール氏(米アップル社プラトフォームエクスペリエンス副社長)が、iPhone SDKを使うといかに短時間にiPhone用ソフトが作れるかを、XcodeやInterface Builderなどの開発ツールを使い、実演してみせた。

wwdc

Interface Builderを用いて、ドラッグ&ドロップでiPhone用ソフトのインターフェースを作成するデモ。数分間でiPhone用ネイティブソフトを作成し、実際にiPhoneに転送して動かして見せた


(次ページに続く)

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