パソコンのブラウザーに影響は出るか?
こうしたモバイル市場での動きが、来年以降に登場する新世代のモバイル機器や、これまでのパソコン市場にどのような影響を与えるかは非常に興味深いところだ。今後、こうしたモバイル機器とパソコン用ウェブブラウザー間のシナジーによって、パソコンでもSafariのシェアが増えるかもしれない。
一方で、モバイル機器とは関係なく、パソコンならではの独自展開が増える可能性もある。
例えばパソコン専用ウェブブラウザーで成功しているFirefoxでは、最近、NTTレゾナントの検索サービス「緑のgoo」に最適化した「緑のgoo」版Mozilla Firefox(関連サイト)を出すといった独自の展開を試みている。
「緑のgoo」版Firefoxは、検索をするたびにウェブブラウザーに表示される木が育っていくというものだ。こうした展開は画面スペースの限られたケータイではやりにくい。
Firefoxについては、これがウェブブラウザーの国際標準を遵守するもっとも有望な存在である点も忘れてはならない。次期バージョンのFirefoxのエンジンである「Gecko 1.9」では、CSS標準をどれだけ守っているかを試す「Acid 2」のテストをついにパスする。
これに対してSafari/WebKitは、確かにオープンソースではあるが、今のところ勢いのあるプラットフォームで採用されて、デファクトスタンダードを作るという戦略だ。今後、下手に成功してしまうと、Internet Explorer同様の独自スタンダードになる危険もはらんでいるのだ。
筆者紹介─林信行

フリーランスITジャーナリスト。ITビジネス動向から工業デザイン、インタラクションデザインなど多彩な分野の記事を執筆。「MACPOWER」「MacPeople」のアドバイザーを経て、現在、日本および海外の媒体にて記事を執筆中。マイクロソフトの公式サイトで執筆中の連載「Apple's Eye」で有名。自身のブログ「nobilog2」も更新中。近著に「スティーブ・ジョブズ ー偉大なるクリエイティブディレクターの軌跡」(アスキー刊)、「iPhoneショック」(日経BP刊)、「アップルコンフィデンシャル2.5J」(アスペクト刊)、「ブログ・オン・ビジネス」(日経BP刊)など。

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