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今さら聞けないIT英語 第26回

マニュアルや技術書を正確に読むために、「version」への理解を深めよう

2006年12月15日 00時00分更新

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 あなたが日頃から使用しているソフトウェアには「version」というものがある。そして、たいていの人が「バージョンは新しいに超したことはない」と考えているだろう。だが、IT関連の仕事をしている人間であれば、versionについてもう少し深く理解しておきたい。

 私たちが普段「バージョン」と捉えているものは、IT英語では「version」そのものである場合と「revision」の場合がある。実際のIT英文で確認してみよう。

The version 1.3 supports a new scheduling algorithm.(バージョン1.3では新しいスケジューリングのアルゴリズムをサポートしています)

 この英文に登場するversionは、いわゆるバージョンの典型的な用例といえよう。versionを「リーダーズ英和辞典」(研究社)で調べると「版」と書かれていた。つまり「version 1、version 2」とは、書籍でいう「第一版、第二版」と考えられる。したがって英文にある“version 1.3”とは、単純にソフトウェアの“第1.3版”ということを指している。

 それではrevisionはどういうときに用いられるのか。次のIT英文を読んでみよう。

The newly released version 3.2 is a revision release, focusing on errata and security rather than adding major new features.(新しくリリースしたバージョン3.2は改訂リリースで、新しい主要機能の追加ではなくエラー修正とセキュリティ対応を焦点にしています)

 さてversionとrevisionの違いに気づいただろうか? revisionを「リーダーズ英和辞典」(研究社)で調べると「改訂、修正」とある。つまりrevisionは一般的にバグの対応やちょっとした修正を行なったときに用いる言葉なのだ。

 ソフトウェアのバージョンは、「ver3.5.26」などと小数点で区切った数字で表記されることが多い。ver直後の最上位桁は「major version」といい、更新されるたびに大々的な新機能追加や仕様変更が施されてリリースされる。次の桁は「minor version」といい、細かい機能の追加や性能の向上などで更新される。さらにバグ対応など目立たない修正を行なった場合は、その次の小数点以下の数字を更新する。この数字がrevision番号として使われることが多い。ただ、どの桁の数字を更新するのかについての基準はなく、major versionが上がったからと言って大規模な機能追加が行なわれているとは限らない。

 versionとrevisionの境界線は曖昧で混同して使われることも多いが、どちらかによって対応が異なることもある。たとえば利用しているソフトウェアにセキュリティ上の脆弱性があり、その問題を解決するための修正(revision)リリースであれば、現在使っているソフトウェアをすぐに最新版に更新すべきだろう。しかし仕様変更などが行なわれた新たなversionのリリースでは、これまで使っていた機能の挙動が変わっているといったことがあり得るため、実際に最新版を使う前に機能の検証などといった作業が必要なことがある。そのため、IT英語でversionやrevisionが出てきた場合、その言葉の意味だけで判断するのではなく、何が変わったのかといったことまで意識して対応したい。

マニュアルや技術書を正確に読むために、「version」への理解を深めよう

Illustration:Aiko Yamamoto

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