最近、IT関連のアプリケーションやサービスで「Gadget(ガジェット)という言葉を、よく見聞きするようになった。身近な例としては「Google Gadgets」や「Microsoft Gadgets」、gadgetを基にした造語の「Yahoo! Widget」や「Dashboard Widget」などがある。ところで、gadgetとは何を指す言葉なのか。「リーダーズ英和辞典」(研究社)で調べた。
gadget
(機械などの)ちょっとした装置、からくり、仕掛け、妙案、工夫
英語を話す人にとってgadgetは便利な言葉のようで、演劇や映画などの小道具はもちろん、最近ではiPodや携帯電話などの小型電子機器の総称として用いられている。また、F1ドライバーのインタビューを聞いていると、ステアリング(注1)に付いている調整スイッチ類をgadgetと呼んでいるドライバーもいた。
注1:ステアリング
乗り物の進行方向を変えるために付いている、かじ取り装置のこと
そして、冒頭で触れたGoogle GadgetsをはじめとするGadgetとは、デスクトップ上などで動作する小規模なアクセサリーソフトの総称である。これらのソフトウェア類は、以前は「utility software(ユーティリティソフト)」と呼ばれていたはず。なぜ、gadgetという新しい呼び方をするようになったのか。それを解くために、Yahoo! Widgets Engineの説明文を読んでみよう。
OK then, what are Widgets? (では、Widgetって何ですか?)
Mini-programs that bring important, live information right to your desktop.(あなたのデスクトップに、重要かつ有効な情報を送り届けるミニプログラムです)
Beautifully designed to brighten up your desktop.(デスクトップを華やかにするために、美しくデザインされています)
All about you! Customize your Widgets to grab just the information that you want.(すべてが自分次第! 自分がほしい情報だけを手に入れるために、Widgetsをカスタマイズしましょう)
Yahoo! Widgets以外のGadgetの説明文にも、概ねこのようなことが書かれている。それらを読むと、utility softwareと比べれば、gadgetには次のような特徴があると理解できる。
- 外部の情報との連携や情報取得がしやすい
- デザイン性が高い
- カスタマイズしやすい
このようなGadgetの流行は、昨今の「情報取得が簡単で、極力シンプル・小規模でカスタマイズしやすい技術」というITのトレンドを如実に反映していると言える。時代や業界の傾向を把握しておくことは、わかりにくいIT英語も理解しやすくしてくれるだろう。
Illustration:Aiko Yamamoto
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