近ごろ、WebにおけるIT技術者とデザイナーの境界があいまいになっている。Ajax(JavaScript)やFlash、DOM、CSSなど、インターフェイスに対する要求は日々高まるばかりで、IT技術者もデザインの領域に踏み込む機会が増えてきているのだ。そこで、Webにおけるレイアウトに関する英文を読む際に、よく見かける英単語について調べてみた。
DOMやCSSなどに関するドキュメントでよく出会う英単語に「家族関係」を表す語がある。例えば、sibling(男女の別なく、きょうだい)、parent(親)、descendant(子[プログラミングの世界ではchildが使われることが多い])などだ。
次のHTMLタグを見ていただきたい。
<p>
<strong>cccc</strong>
<strong>dddd</strong>
</p>
<p>と</p>のタグの間に挟まれた<strong>cccc</strong>と<strong>dddd</strong>は、<p>のdescendant(子)であり、<strong>から見ると<p>はparent(親)となる。そして、2つの<strong>~</strong>は、<p>の入れ子になっていて、同じ階層にあるので、同じparent(親)を持つsibling(兄弟)ということになる。この関係性は、家族関係を表す単語で表現されているので、それは本来持つ英単語の意味つまり辞書どおりの意味なので比較的分かりやすい。
そこで今度は、HTMLに対する表示方法を指示するために使われるCSSにおいてよく見かける英単語absolute、relative、fixedなどの単語(プロパティ)を見てみる。それぞれの意味を「リーダーズ英和辞典」(研究社)で調べると以下のとおり。
absolute 絶対的な、無制限の、無条件の
relative 相対的な、比較上の、関係のある
fixed 固定した、定着した、据え付けられた
つまり、ある要素をレイアウトすることを考えると、以下のようなことが考えられる。 absoluteは「完全な位置」「無条件の位置」「絶対的な位置」に要素を配置するということになり、その他の周辺の要素に関係なく配置場所を指定する。
relativeは「相対的な位置」「比較上の位置」「関係のある位置」に配置するということになり、とある要素を基準にして配置場所を指定する。
fixedは「固定した位置」「定着した位置」「据え付けられた位置」となり、ある場所に固定して配置するということになる。
とはいえ、これだけでは配置する位置を特定することができない。そこで、CSSの定義として使用される場合には、次のように独特な意味付けがされている。
absolute このプロパティを含む親要素を基準としての絶対的な位置
relative このプロパティ含む要素が本来表示される位置から、指定分を移動した相対的な位置
fixed abosoluteと同じ基準で配置されるが、その場で固定され、スクロールをしても表示領域上で動かない
前述のHTMLのタグと違い、ここで注意したいことは、もともとの英語の意味をベースにしながらも、CSSにおける独自の意味付けがしてあるということだ。IT英語においては、このようにもともとの辞書的な本来の意味を持ちながらも、きちんと定義付けらた意味を持つ場合がある。だから、たとえ英単語としての意味を知っていたとしても、機能をきちんと使えるように、定義を調べるようにしたいものだ。
Illustration:Aiko Yamamoto
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