UstreamとTwitter
盛田:ネット音楽を支える技術面の話をしたいと思うのですが、まずニコニコ動画がリニューアルされました。「音楽」と「ボカロ」が別のカテゴリーになって、音楽タグでボカロを登録すると「ボカロは出て行け」と言われてしまう。
四本:あの改変の意図は良く分かんないよね。YouTubeにしてもそうだけど、結果的にインキュベータの役割を果たしただけなんですよ。CGMで利益を上げるのは難しいし、収益構造を考えるとテレビになるのが一番分かりやすい。僕はそうじゃないだろうと思っているので、動画サイトというプラットフォームの方向性にも注目したいです。
広田:それと今年のもうひとつのキーワードは「生中継」だったと思うんです。ニコ生も盛り上がって、今までとは別の層の呼び込みに成功した。iPhoneにUstream用の中継アプリが出て、どこからでも生中継できるようになった。これは画期的ですよ。
四本:そのアプリが出てすぐ、Ustreamで朝っぱらから飲み屋で呑んでる人達がいて、それ見ながら一緒に呑んでました。
盛田:なにやってんすか! あの日、原稿が全然来なかったのはそのせいだったのか……。
四本:柳下毅一郎さん、とみさわ昭仁さん、安田理央さんとメンバーも凄いんですけど、その中継を見て地元の女の子が呑みに来たり、町山智浩さんがアメリカから電話してきたり、東浩紀をネタにギャクかましていたら本人が見ていたり。そこらのラジオ番組よりはるかに面白かったです。最近だとDJの「オカダダ」(@okadadada)さんが、UstreamでDJ中継やって盛り上がりましたよね。いとうせいこうさんがTweetしていて、僕も見に行った。
広田:そういう突発的なイベントを捕捉するのにTwitterって使えますよね。
四本:僕がTwitterのアカウントを取ったのは、DenkitribeさんのUstream中継を見るためだったんです。2年前だけど、彼は自宅からElectribeのライブをやっていたんですね。
盛田:そんなに早くからやっていたんですね。さすがDenkiさん!
四本:当時は未来の光景でした。それが今は朝呑みまで生中継してる。サイバーですよ、サイバー。あ、それと手前味噌ながら自分でも「ガジェ音」というニコ生の番組を企画してやってみました。
広田:そうやってコンテンツの溢れる時代になって、課題はマネタイズの方法でしょうね。
メジャーシーンは市場はシュリンクしつつも、一定のボリュームは残ると思います。それとは別に、ネットサービスの発達で、アーティスト自身と聴き手が直でやり取りするケースがより増えてくると思います。レコード会社が担っていたPRの役割も、動画共有サービスで視聴版を上げたり、Twitterで聴き手と感想を交換したり、ニコ生やUstreamでライブ配信したりといった感じで、簡単にできてしまう。というか、もうみなさんやってますね(笑)
そうしてファンを増やして、CDやライブなどで人を集めて食べて行けるくらいになれれば理想なんでしょうけど。
四本:ただ、ここから先のほうが面白くなるのは間違いないです。
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著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。
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