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人はなぜ歌声に涙するのか 初音ミクを使いこなす「神」に聞く

2010年06月12日 12時00分更新

文● 盛田諒/ASCII.jp編集部

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キュートなドット絵がかわいいミュージックビデオ「しろいそら」。この曲のふしぎな魅力に迫った

 初音ミクは、本当に「人の声」なんだろうか。

 ニコニコ動画で歌声ソフト(ボーカロイド)で作られた曲を聴きつづけていると、そんな疑問にかられることがある。たしかにボーカロイドは声優さんの声を収録したものだ。でも、いざ曲を聴いてみると、どこか「生きてない」と感じてしまうことがある。本来、声にこもっているはずのナマっぽさが圧倒的に足りないのだ。

 そんなぼくの考えをぶちこわしてくれた曲がある。「しろいそら」だ。

 曲はフィッシュマンズのような透き通ったダブ系ロックサウンド。作曲は専用ソフト(DAW)を使ったものではなく「nanoloop」というゲームボーイのインディーズソフトを使う。デジタルノイズがザラザラとやかましい、あのゲームボーイの音がぴたりと曲に合うのだ。

 そんなMVを見ていて目につくのは「神調教!」というコメントだ。

 「調教」というちょっと過激な表現はもちろんネットスラング。ボーカロイドの声を本物の人間らしく聞こえさせるため、調整をすることだ。「しろいそら」の初音ミクはフォルテやピアノなどを歌い分け、ハミングさえする。それは人の声では決してないが、ふしぎとナマっぽい。これは一体何なのだろう。

初音ミク Append

 そもそも、不思議だったのだ。なぜぼくは人の歌声を聴くことで感動し、涙さえ流してしまうのか。その「人間らしい声」とは、いったい何からつくられているものなんだ?

 フランケンシュタインのように、他人の声を貼りあわせ、1つの歌を生みだす初音ミク。開発者自身も「背徳的」と語るほど、そのイメージは異様で不気味だ。そこで失われたナマっぽさを取り戻すためには、いったい何が必要だったのか。

 そこで作曲家のnegotoさんにSkypeでお話を聞くことにした。ニコニコ動画で彼は「ドッP」として知られている。初音ミクの新バージョン「初音ミク Append」のデモソングをつくったことでも有名になった。この「神」は何者で、どうやってこれをつくったのだろう?

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