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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第163回

超小型ヘッドアンプ「MV50」のCLEANは21世紀の再発明だった

2017年04月22日 12時00分更新

文● 四本淑三

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(写真右)株式会社コルグ 商品企画室 江戸有希さん (写真左)株式会社コルグ 開発2部 李 剛浩さん

 VOXは新型真空管「Nutube」を搭載した初の製品として、超小型ギター用ヘッドアンプ「MV50」を発売した。

 NutubeはVFD(蛍光表示管)で有名なノリタケ伊勢電子とコルグの共同開発によるもので、従来の真空管より低電力で動き、発熱も少なく、小さな筐体に収められる。MV50はそうしたNutubeのメリットをわかりやすく形にした製品だ。

 MV50の外形寸法は標準的なストンプボックスサイズのエフェクターと大差なく、重量はわずか540gに過ぎない。ACアダプターと合わせても、ギターのギグバッグに難なく収められる。

 にも関わらず、Nutubeを使ったプリ段と、クラスDのパワー段によるハイブリッド構成で、MV50は最大50Wの出力を発揮する。一般的なギター用スピーカーキャビネットと組み合わせることで、リハーサルスタジオからライブハウスまで対応できるパワーだ。

 また、ヘッドフォン/ラインアウト端子にはキャビネットシミュレーターも搭載されており、自宅練習やDTMのような用途にも使える。こうした応用範囲の幅広さもMV50のウリのひとつ。

 MV50はサウンドキャラクター別に「ROCK」「AC」「CLEAN」の3種が用意され、店頭価格はそれぞれ2万1600円。同時に発売された小型8インチスピーカーキャビネット「BC108」は1万800円。MV50とBC108のセット販売もあり、こちらはROCK、AC、CLEANともに2万8080円。そして4月末には本格的な12インチスピーカーキャビネット「BC112」の発売も控えている。

 VOX開発チームへのインタビュー5回目は、実はCLEANがすごいという話。ROCKにはマーシャル、ACにはVOX AC30と、わかりやすいサウンドアイコンも存在するが、CLEANは音の特徴もイメージしにくい。しかし、実際に音を出してみると、これもまた新しい解釈で生まれた新しいチューブアンプであることがわかる。一体、なにがどう違うのか。

狙いはクリーンと歪みの両立

―― CLEANはゲインノブがない代わりに、EQが2バンドです。これもワンノブのACやROCKみたいに、なにかいろいろ工夫されてそうな効き方ですよね。

 どのポジジョンに置いても欲しい音が手に入る感じにしてあります。古いフェンダーなんかは気難しかったりするんですが、単に帯域の増減だけでない、いろんなバリエーションで使えるように。

CLEANは操作系がACやROCKとは違う。歪みを調整するGAINノブがなく、EQはTREBLE/BASSの2バンド

―― ところでボリュームを上げていくといい感じに歪みますよ。

 ボリュームは12~14時以降から、大幅にゲインアップするような回路になっています。フルテンのような設定にした場合は、FENDER BASSMANのような、コンプレッション感の豊富なクランチまで表現できるようになっています。

―― CLEANというからトランジスタアンプのような設定なのかと思っていましたが、ぜんぜん違うんですね。

 これは江戸に「クリーンと歪みの両立」と言われて、かなり力を入れてやっています。歪ませると意外にドライブまでいける。まあさすがにメタルは難しいですけど。

―― あの、ちょっとブースターつないでみていいですか?

 あ、もちろん。

ブチッ(ペダルを踏む音)

―― ああ、これはすごい。すごくいい……。

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