11月13日の金曜日。ボカロ小学生こと『VOCALOID2 歌愛ユキ』、ボカロ先生こと『VOCALOID2 氷山キヨテル』、元スーパーカーで現在ソロアーティストとして活躍中のフルカワミキの声をベースにした『SF-A2 開発コード miki』の3タイトルが同時に発表された。
開発・販売は、「Jamバンド」等の音楽制作ソフトや映像ソフトを手がけるAH-Software。同社が11月6日付けで発行したメールニュースの一部を縦読みすると「うちでボカロ売るよっまじで」になるという話が広まり、コアなユーザーの間で発表前から噂になっていた。
それにしても一気に3タイトルとは驚いた。そして、既存のボーカロイドソフトと合わせて、ユーザー側かられば一気に選択肢が広がったことになる。
ボーカロイドに新規参入した経緯と狙いを、AH-Softwareの尾形友秀さんと櫻井靖之さん、そしてボーカロイドが将来的に目指すものを、ボーカロイド開発で有名なヤマハの剣持秀紀さんに伺った。
「ボカロ小学生」は素人の女の子
――まず参入のいきさつを教えてください。
尾形 弊社では動画サイト向けのコンテンツに使える制作ツールを、安く提供したいと考えてきました。中でもユーザーさんから要望の強かったのが、ボーカロイドでした。自社ソフトで音楽、映像、歌の制作を完結させたい。それでヤマハさんと交渉させていただき、今回に至ったということです。
――ボーカロイドはいきなり3タイトルの発表ですが。
尾形 これは剣持さんが昔から言われてきたことなんですが、まず「声は楽器」であると。ならば、もっといろんな楽器がほしいということです。では何が足りないのかと考えたときに、ひとつはお子さんの声ではないかということで。
――クリプトンさんでも子供の声を使った製品の開発が進んでいますが。
櫻井 我々の「ボカロ小学生」とクリプトンさんの「Project if...」※1とはまったく別です。あちらはトレーニングを積んだお子さんの声が素材になっているわけですが、ウチは特にトレーニングしていない素人の女の子に歌ってもらいました。それで棲み分けができると思うんですね。
※1 Project if... : クリプトンフューチャーメディアが開発中の新ボーカロイド。「ミュージカルの訓練を受けている+子供ならではの無邪気な表現」を目指しているという。
尾形 明らかに声のキャラクターが違っていますので、デモをお聴きいただければ分かると思います。