2023年10月1日、LINEヤフー株式会社が誕生した。
LINEとヤフーの経営統合は実際、新しいニュースではない。
両社は、2019年11月に経営統合を発表。2021年3月に統合を完了している。
これまでは、両社の上に持株会社のZホールディングスがあり、LINEとヤフーはそれぞれの会社が存在する形だった。
今度は、ZホールディングスとLINE、ヤフーの3社が経営統合し、「LINEヤフー株式会社」として再スタートした。
当初は「世紀の大合併」と見出しをつけるメディアもあるほどだったが、最近のニュースで強調されているのは、「300億円の固定費削減」など必ずしも前向きでない動きだ。
経営を統合したものの、期待したほどの効果を得られず、さらに踏み込んで会社を一つにしたというのが、現実的な見方だろう。
300億円の固定費削減
Zホールディングスは6月に株主らに向けて経営方針を説明しているが、その中身はやはり後ろ向きだ。
次のような施策を実行して、固定費を300億円減らすという。
●採用凍結
●業務委託費の見直し
●役員報酬の削減
●オフィスの集約
特に役員報酬は、対外的に株価の低迷などに責任を取った施策に見える。
実際に、株主総会の質疑応答では、「LINE出身役員の報酬が大きすぎるようにみえる」との質問も出ていた。
サービスの統合と一本化
LINEとヤフーは現在、さまざまな分野で重複するサービスを抱えている。
例えば銀行事業は、ヤフー側にPayPay銀行があり、LINEもオンライン銀行「LINE Bank」の設立を目指していたが、LINE側は銀行の設立を断念した。
動画の分野では、LINE VOOM、LINE LIVE、GYAO!と、少なくとも3つのサービスがあるが、LINE VOOMに一本化する。
今後も、重複するサービスを整理する方針だという。
気になるのは、スマホ決済のPayPayとLINE Payの一本化だ。
すでに、LINE PayでPayPayのQRコードを読み取れる。
つまり、PayPayしか使えない店でも、LINE Payで支払いができるサービスは始まっている。
さらに、「今年度中」にPayPayとLINE Payをシームレスに行き来できるUIの提供を始めるという。
LINE化が進みそう
あちこちで指摘されているが、LINEヤフーの役員人事はLINE寄りだ。
LINEヤフーには3人の代表取締役がいるが、2人がLINE出身だ。
川邊健太郎会長:ヤフー出身
出澤剛社長:LINE出身
慎ジュンホGCPO(Group Chief Product Officer):LINE出身
3人の意見がまとまらない時は、旧LINE側の代表取締役が2人いるだけに、旧LINE側の意向が優先される構造だ。
株主からは「ヤフーLINE」の方が語呂がいいという意見も出ていたが、新しい社名はLINEを前にした。
英語表記に至っては両社の名前も入れず、頭文字をとって「LY Corporation」としている。
なぜLINEを前にしたかについては、会社から明確な説明はないが、アジア市場を考えると、おおむね当然の判断と言えそうだ。
LINEは、台湾とタイで、メッセンジャーアプリとして広く使われている。
一方で、ヤフーのブランドは、インターネットのごく初期から存在するものの、サービスとしては、日本以外の国では衰退した。
LINEは、2020年にタイでLINE BKという銀行サービスを始め、2022年9月末にユーザー数が500万人を超えた。
台湾のLINE Bankは2022年9月末で、約132万ユーザーに達している。
アジアでの展開を視野に入れるなら、ヤフーという古いブランドは、極力前に出したくないというのが会社の本音ではないか。
LINE PayとPayPayの統合は難題
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