ここに来て、SSDの値下がりが目立っている。
Windowsのシステム+普段使っているデータを余裕を持って保存できる1TBクラスでも、1万円台前半で購入できるようになってきた2.5インチSSDも気になる存在だが、価格が右肩下がりなのは、より高速なPCI Express Gen3×4インターフェース採用のNVMe M.2 SSDも同じだ。
売れ筋の容量500GBクラスでは、2.5インチSSDの5~6倍近く高速なリード・ライト3000MB/秒のアクセス速度を発揮しつつ、1万5000円前後で購入できるようになってきた。最近ではさらに選択肢が増え、性能は多少ダウンするが価格を抑えたNVMe SSDも続々と登場してきている。
そんなNVMe SSDが自作PC業界では今最注目のパーツと言える。この夏に新たに組む自作PCへの搭載はもちろん、2.5インチSSDや前世代NVMe SSDからの買い換えにもベストと言える。今回はNVMe SSDの基本中の基本から、注目8製品の実測パフォーマンスまでを紹介していこう。
同じM.2のSSDでもインターフェースが異なるものがある!?
M.2の規格をマスター
少し前に「次世代ストレージインターフェース」と呼ばれていたものとして、データ転送速度10Gbpsの「SATA Express」も存在していたが、今では内部インターフェースの選択肢が多く、最大転送速度が32Gbpsと高速なM.2規格が広く普及している。
M.2規格の内部インターフェースは、従来と同じSATA3(6Gbps)のほか、高速なPCI Expressを通じてデータをやり取りすることで、SATA3の5倍以上になる3000MB/秒オーバーのシーケンシャルアクセスを実現するPCI Express接続(NVM Express)の2種類に大きく分けられる。SATA3インターフェース採用のM.2 SSDは2.5インチSSDと同価格帯で、かつケーブルレスで接続できるというメリットもあるが、最近はNVMe SSDでも安価な製品が増えているので、NVMe SSDに狙いを定めるのがベターだ。
内部インターフェースは実際の製品仕様を見るのが確実だが、M.2規格の端子形状は接続インターフェースで異なるので、覚えておこう。主にSSDで使用されているのは「Key M」と「Key B+M」の2種類の形状になる。M.2規格は75本のピンで構成されており、どのピンが省かれているかで対応インターフェースが決まってくる。Key Mの対応インターフェースはPCI Express ×4/SATAで、左右2ヵ所に切り欠きがある「Key B+M」は、PCI Express ×2/SATA/USB3.0などになる。
マザーボードには通常Key M対応のM.2スロットが備わっており、Key B+M形状のM.2 SSDも使用可能だが、そのスロット自体がサポートしている内部インターフェースはマザーボード次第なので、マニュアルなどを確認する必要がある。また、M.2 SSDには長さの規格もある。主流となるType2280(22×80)のほかに、基板長が短いType2260(22×60)とType2242(22×42)がある点も覚えておこう。
ストレージインターフェース
●SATA3(最大データ転送速度6Gbps)
SSDやHDDや光学ドライブの接続にも使用されているストレージインターフェース
●NVMe
・PCI Express 3.0×2(最大データ転送速度16Gbps)
・PCI Express 3.0×4(最大データ転送速度32Gbps)
PCI Expressを使った次世代ストレージインターフェース。PCI Express 3.0×4で接続を採用する最速クラスのNVMe SSDはリード・ライト3000MB/秒オーバーを実現する。なお、PCI Express 3.0よりも高速なデータ転送が可能になるPCI Express 4.0インターフェースも控えており、対応するM.2 SSDの発売も予定されている。
NVMe M.2はPCI Expressスロット経由での接続も可能
内部インターフェースがPCI Express Gen3×4のNVMe SSDは、M.2→PCI Express変換ボードを使うことで、PCI Expressスロットで使用することもできる。CPU直結のPCI Express Gen3レーンと接続されているPCI Expressスロット(主にビデオカード向け)を消費することになるが、チップセット制御下のM.2スロットよりもパフォーマンスは向上する。
実際、Samsung製NVMe M.2 SSDの970 EVO Plus 500GBを、PCIe変換ボードに搭載して「ATTO Disk Benchmark」を実行すると、シーケンシャルライトが220MB/秒程度アップした。
また、マザーボード上のM.2スロットではパフォーマンスが頭打ちになってしまうNVMe SSDでのRAIDも、PCI Express Gen3×16対応RAIDボードなどを使うことで、7000MB/秒などといったパフォーマンスを実現することが可能だ。
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