「シンガポールの人々のデジタルデバイドを解消したい」その思いから生まれたiNO mobileは年配者向けの簡単ケータイが東南アジアでもヒット。スマートフォンはあえて「必須」の機能を外した製品を出すなどニッチ路線を貫いています。小国シンガポールのメーカーはどうやって生き残りをかけているのでしょうか?
年配者向けのニッチマーケットから出発
海外企業の進出も多いシンガポールには世界中からの頭脳が集まり、人的交流も盛んです。シンガポールのスタートアップの中には小規模ながらも携帯電話やスマートフォン市場に参入する企業もあるのです。2008年にForesight Manufacture社を立ち上げた実業家のKenneth Lau氏は2009年に初の携帯電話「CP09」をシンガポールで発売しました。大きいキーボードを備えた単機能端末で、年配者でも簡単にそして間違わずに10キーを押せるとあって人気となりました。
このCP09はマレーシアなど周辺国でも販売され、数か月で100万台を超えるヒット商品になったのです。簡単携帯電話は中国メーカーも出していましたが、無名メーカーの低品質なものが多く、年配者が使うには信頼性の低い製品ばかりでした。iNOはしっかりとした品質で勝負をかけたのです。その後は折りたたみスタイルの「CP88」も発売されています。
2011年にはIP65に対応し背面に太陽電池を内蔵した「SCOUT」を投入。これが充電環境の悪い新興国で受けることになります。フィーチャーフォンですからちょっとの充電でも長時間使え、太陽さえあれば無限に使える可能性を秘めていたのです。このSCOUTの成功でiNOはアクティブ系端末を1つのラインナップとすることになりました。
やがてスマートフォンの普及が広がると、iNOもラインナップにAndroid端末を加えることとなりました。
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