2000年代初頭、アジアの端末メーカーによるヨーロッパメーカーの業務提携や買収が次々と進みました。ドイツのシーメンスも台湾のベンキューに買収され、ベンキュー・シーメンスとなります。ソニー・エリクソンの成功の後追いをするはずが、現実には2年で事業を終了してしまいました。悲劇の合併劇を振り返りましょう。
台湾がドイツ企業を飲み込んだ買収劇
携帯電話事業の不振にあえいでいたシーメンスの携帯電話部門を新興メーカーとして販売数を着々と増やしていった台湾のベンキューが2005年に買収してベンキュー・モバイルを設立。そのブランドがベンキュー・シーメンスです。2000年代初頭は老舗のヨーロッパメーカーが次々とアジアのメーカーに飲み込まれていきました。ノキアが圧倒的な強さを示していく中で、周りのメーカーはアジアパワーとの提携を余儀なくされたのです。
アルカテルがTCLに、サジェムがバード(中国)に、そしてエリクソンはソニーとの提携の道を選びました。中でも2001年にスタートしたソニー・エリクソンは次々とヒット商品を出していきました。ベンキュー・シーメンスも同社に倣い2つのメーカー名を併記する戦略を取ったのです。
2005年の携帯電話シェアは、ガートナーによると1位ノキア(32.5%)、2位モトローラ(17.7%)、3位サムスン(12.7%)、4位LG(6.7%)、5位ソニー・エリクソン(6.3%)。そして6位がベンキュー(4.9%)でした。ベンキューは自社ブランドだけではなくODMも手掛けており、他社ブランド向け端末で急成長を遂げていました。しかし今後携帯電話ビジネスを拡大するためにはブランド力が必要です。一方、シーメンスは携帯電話部門の売却先を探していました。両者の思惑が一致し、ベンキューによるシーメンスの買収がすんなりと成立したのです。
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