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週替わりギークス 第4回

アナログシンセが便利になる過程で失ったのは「楽器らしさ」

2016年08月30日 17時00分更新

文● 坂巻匡彦

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この連載は江渡浩一郎、落合陽一、きゅんくん、坂巻匡彦が週替わりでそれぞれの領域について語っていく。今回は坂巻匡彦がアナログ・シンセを作るうえで目指したことを語る。

坂巻匡彦

Photo by 栗原洋平

 株式会社コルグにプロダクト・デザイナーとして入社。2004年に商品企画室へ異動、新規性の高い製品を中心に商品企画を担当する。2013年4月より千葉大学非常勤講師、2014年4月より株式会社コルグ 商品企画室室長 兼 デザイン課課長。
http://qreators.jp/qreator/sakamakitadahiko

アナログシンセとデジタルシンセの違い

 こんにちは! 楽器メーカーのコルグで商品企画をしています、坂巻です。この連載ではシンセサイザーをはじめとする電子楽器を企画/開発する日々の裏話を紹介したいと思います。

 第1回はいま最も力を入れているアナログシンセについてです。

monotronが世に出たのは2010年。iPhoneほどのサイズで純然たるアナログシンセとして登場し、話題となった

 1980年代初期までシンセサイザーは音を電気的、アナログ的に鳴らしていました。一方、いまのソフトウェアで計算して発音するものをデジタルシンセサイザーと呼んでいます。デジタルシンセサイザーはコストが安い、小型化できる、同時発音数を増やせるなど、さまざまなメリットがあり、アナログシンセサイザーはほぼ駆逐されました。

 アナログシンセサイザーは不便なことが多いのですが、出音はデジタルよりも温かみがあって良いと言われています。ちょうどオーディオの世界で真空管のアンプが良いと言われたり、CDよりもレコードの方が良いと言われるのと同じです。

 ノイズが多かったり、機能に制限があったりとさまざまなデメリットはありますが、デジタルシンセサイザーとは違う魅力があります。

minilogueが出たのはなんと2016年

 僕たちがアナログシンセでやりたかったことは「シンセサイザーを楽器にする」ことです。みなさんにはおかしく聞こえるかもしれません。シンセサイザーは楽器だろうと。

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