エアコンなどの脱炭素化を加速、新冷媒向けヒートポンプ設計を支援する流体シミュレーションAIの実証開発へ
シミュレーションや対話AI技術の開発・社会実装を手掛けるディープテック企業の株式会社MQueは10月21日、流体シミュレーションとAI技術を組み合わせた「ヒートポンプ熱交換器設計開発プラットフォーム」の実用化開発を進めると発表した。複雑な熱と流体の動きをAIで高速・高精度に予測することで、地球温暖化への影響を抑えた「低GWP冷媒」に対応する製品開発の効率化と、市場投入の加速を目指す。
エアコンや給湯器に使われるヒートポンプは、空気中の熱を「冷媒」で移動させるエネルギー効率性が特徴だ。ただし近年は環境規制に伴い、温室効果の低い「低GWP(地球温暖化係数)冷媒」への転換が世界的に求められている。しかし、冷媒の種類を変えると熱や流体の挙動が根本から変わるため、心臓部である熱交換器の設計を一からやり直す必要がある。液体とガスが混ざり合う複雑な現象は従来のソフトでは予測できず、試作と実験の繰り返しによる開発コストの高騰が壁となっていた。
MQueはこれを解決するために、流体シミュレーションと計算を高速化するAI(サロゲートモデル)を融合し、新冷媒や複雑な形状でも最適な設計を素早く導き出す。試行錯誤のプロセスを大幅に削り、ヒートポンプ開発にかかる期間とコストの削減を可能にするという。
同社は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「新エネルギー等のシーズ発掘・事業化に向けた技術研究開発事業」において、2024年度に採択された「フェーズB(基盤研究)」で基礎技術の検証を重ねてきた。今回の取り組みは、その成果を踏まえて「フェーズC(実用化研究開発)」に新たに採択されステップアップを果たしたものだ。今後、2028年9月までの2年間でパートナー企業との試験運用を進めたのち一般販売を目指す。将来的には電気自動車(EV)の熱管理やデータセンターの冷却システムなど、高度な熱制御が求められる他分野への展開も見込んでいるという。
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