株式会社BULL、宇宙デブリ化防止装置「HORN」実証機「HORN-L」の大気圏再突入を確認
BULL
打ち上げから約2か月半で軌道離脱を完遂。再突入直前の軌道上撮影により、最後まで膜面が健全に展開していたことを確認

宇宙デブリ対策事業を手がける株式会社BULL(本社:栃木県宇都宮市、Founder & CEO:宇藤 恭士、以下「BULL」)は、2026年6月12日にH3ロケット6号機で打ち上げた宇宙デブリ化防止(PMD:Post-Mission Disposal)装置「HORN」の実証機HORN-Lが、2026年8月27日(UTC)に地球大気圏へ再突入したことを、軌道データ(TLEデータ*1)に基づき確認したことをお知らせします。あわせて、再突入の4日前となる2026年8月23日(UTC)に軌道上からの光学撮影に成功し、軌道離脱の最終段階においても膜面が設計通りに展開した状態を維持していたことを確認しました。これにより、膜面展開型のPMD装置による軌道降下から軌道離脱(大気圏再突入)までの全過程を、軌道上データと撮影画像の両面から実証しました。
■ 今回の確認内容(フルサクセスの最終検証結果)
BULLは2026年7月3日、本実証における「ミニマムサクセス:軌道降下速度の優位性確認」ならびに「フルサクセス:軌道上での展開状態の確認・推定」の達成を発表しました。今回、HORN-Lが軌道離脱を完遂し、打ち上げから再突入までの全期間の軌道データと撮影画像が揃ったことから、フルサクセスの最終検証として以下の2点を確認しました。
1. 軌道離脱の完遂:HORN-Lの大気圏再突入 【確認】
- 内容:HORN-Lは2026年8月27日(UTC)に地球大気圏へ再突入し、打ち上げから約2か月半(76日間)で軌道上から離脱したことを確認しました。
- 結果:初期高度(約560km)をほぼ維持する比較対象衛星VERTECS*2に対し、HORN-Lは膜面展開直後から継続して高度を下げ、高度低下に伴う大気密度の増加によって降下が加速し、打ち上げから76日で再突入に至りました。取得された最後の軌道データでは、8月26日(UTC)時点で高度(軌道長半径高度)が約316km、近地点高度が約288kmまで低下していました。膜面による大気抵抗の増大が、PMDに求められる軌道離脱を実際に成立させることを実証したものです。
2. 膜面展開状態の健全性:再突入直前の軌道上撮影 【確認】
- 内容:再突入の4日前にあたる2026年8月23日(UTC)、軌道上撮像サービスを提供するHEOの衛星により、HORN-Lの光学画像の取得に成功しました。
- 結果:膜面展開から約2か月が経過し、撮影時点で遠地点高度約406km/近地点高度約384kmまで軌道が低下した状態においても、扇状に展開した膜面が破断や大きな変形を生じることなく、設計通りの展開形状を保っていることを当該画像から確認しました。HEOの解析レポートにおいても、衛星バスからブームが展開した状態にあると評価されています。軌道上環境(原子状酸素・紫外線・熱サイクル)および高度低下に伴い増大する空力荷重に対して、膜面および展開構造が最後まで健全性を維持したことを示すデータです。
軌道離脱を「途中経過」ではなく「再突入の完遂」まで確認し、かつその直前時点での装置の健全性を画像で裏付けたことにより、HORNがPMD装置として一連の機能を果たすことを実証いたしました。
*1 TLE(Two-Line Element set)は、人工衛星等の宇宙空間における軌道情報を表現するデータフォーマット
*2 H3ロケット 6号機により、HORN-L及びHORN-Rと同時に打ち上げられた人工衛星。超小型天文衛星VERTECS公式WEBサイト:https://vertecs-project.com/ja/home-jp/
■ 軌道上実証の成果
|高度推移の比較グラフ(TLEデータ提供:LeoLabs社)
以下のグラフに示すように、比較対象となる衛星:VERTECS(グレー)が打ち上げ後もほぼ初期高度(約560km)を維持する一方、HORN-L(ピンク)は膜面展開直後から継続的に軌道高度を下げ、高度400km付近からは降下が急激に加速して、2026年8月27日(UTC)の大気圏再突入に至りました。また、膜面積を約半分としたHORN-R(水色)も同様に降下を継続しており、膜面積に応じた軌道降下速度の差も併せて確認されています。

各衛星の高度推移(HORN-L:ピンク/HORN-R:水色/VERTECS:グレー)
|HORN-L 再突入直前の軌道上光学撮影(撮影提供:HEO、TLEデータ協力:LeoLabs社)

2026年8月23日(UTC)撮影(再突入4日前)
参考:2026年6月24日(UTC)撮影(膜面展開直後)
■ HORN-Rの状況
膜面積を約10平方メートル としたHORN-Rは、2026年9月4日(UTC)時点で高度約513kmを継続して降下中です。BULLでは引き続きHORN-Rの軌道降下を観測し、膜面積と軌道降下速度の関係についてさらなるデータの取得・検証を進めてまいります。
■ 背景:HORNと軌道上実証について
宇宙デブリ化防止(PMD:Post-Mission Disposal)装置「HORN」は、役割を終えた人工衛星やロケットの上段部を速やかに軌道から離脱させるための装置であり、宇宙デブリ対策を目的とする膜面展開型の装置としては、世界最大級の面積(50平方メートル )になります。扇状に展開する膜面構造により大気抵抗を増大させ、対象物の軌道離脱を促進します。なお、今回の実証においては、実証機の軌道滞在期間を考慮した結果、面積と軌道降下速度の検証も併せて実施する目的で、50平方メートル 相当の展開能力を有しつつも各膜面積をHORN-Lを約20平方メートル 、HORN-Rを約10平方メートル としました。
BULLは2026年6月12日、種子島から打ち上げられたH3ロケット6号機に「HORN」の実証機2機(HORN-L、HORN-R)を搭載し、初の軌道上実証を開始しました。実証成果の観測・検証では、地上からのレーダー観測でLeoLabs社、軌道上からの光学撮像でHEOに協力をいただき、打ち上げからわずか半月で高度推移のデータと撮影画像の取得に至り、今回、HORN-Lの大気圏再突入までを一貫して観測することができました。
協力会社:
LeoLabs社 公式WEBサイト:https://leolabs.space/
HEO 公式WEBサイト:https://www.heospace.com/
■ 今後について
BULLでは、HORN-Lについて取得した「膜面展開から大気圏再突入までの一貫した軌道上データ」を用いて、姿勢軌道シミュレーションモデルの精緻化ならびに軌道離脱性能の評価を進めてまいります。本データは、顧客の衛星・ロケット上段への搭載設計や軌道離脱期間の見積り精度の向上に直接活用できるものであり、製品の社会実装及び商業展開を一層加速させてまいります。また、継続して降下中のHORN-Rについても、確定的な成果が得られ次第、改めてご報告いたします。
■ BULL代表コメント:Founder & CEO 宇藤 恭士

BULL代表 宇藤恭士
HORN-Lが大気圏に再突入し、宇宙デブリ化防止装置としての役割を成功裡に終えることができました。膜面の展開、それによる軌道降下の加速、そして最終的な軌道離脱に至るまでの一連の機能を、軌道上で確認することができました。とりわけ、再突入直前に撮影された画像から、膜面が最後まで展開形状を維持していたことを確認できたことは、装置の信頼性を示す極めて重要な成果であったと考えています。役割を終えた装置自身が、新たなデブリを残すことなく確実に軌道を去った -- PMD装置に求められる本質を、実機で示すことができました。今回得られた一連のデータをもとに、PMD装置の設計・検証プロセスをさらに磨き上げ、世界の宇宙機の標準装備となる装置を一日も早くお届けできるよう、当社一丸となって取り組んでまいります。改めまして、本実証に関わってくださった全ての方々に心より感謝申し上げます。
株式会社BULLについて
BULLは「地球内外の惑星間の行き来を『当たり前』に」をビジョンに掲げ、「天体への(再)突入技術を活かし宇宙利用サービスを安価・簡潔に提供」することを目指すスタートアップ企業です。栃木県宇都宮市を拠点とした産学官連携による事業を推進しています。宇宙デブリの発生を防止する装置開発、軌道利活用のための微小重力実験衛星・装置の開発を進め、新たな時代の宇宙開発におけるSDGsに貢献します。2026年6月、H3ロケット6号機による当社初の軌道上実証を行い、フルサクセスを達成しました。

写真:3周年の記念撮影(BULL平出拠点にて)
社名 :株式会社BULL(ブル)
本社 :栃木県宇都宮市平出工業団地43−103
代表者 :代表取締役 / CEO 宇藤恭士
設立 :2022年11月
事業内容:宇宙デブリ対策事業、軌道利活用関連事業
URL :https://bull-space.com/
※2026年6月1日付で本社住所が変更となりました。新しい本社住所は「栃木県宇都宮市平出工業団地43−103」になります。
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