事業戦略とつながった人事を記述で示せた上場企業は1.6%--東証スタンダード・グロース上場2,140社の有価証券報告書を全数調査
組織人事総合研究所株式会社
「事業戦略と人事の整合性調査2026」--毎年8月の定点観測・第1回。本文PDFは全文無料公開、図表・数値は出典明記で転載自由(組織人事総合研究所(OPRI)調べ)
事業戦略と人事の接続-「事業戦略×人事」-を専門とする調査・コンサルティング会社、組織人事総合研究所株式会社(OPRI、本社: 大阪府大阪市、代表取締役: 中北順也、 https://opri.co.jp/ )は、「事業戦略と人事の整合性調査2026」の結果を発表しました。東証スタンダード・グロース市場の上場企業2,140社の有価証券報告書を全数で読み、事業戦略の記述と人事の記述がどこまで結ばれているかを、接続の深さで5つの型に分けて判定したものです。
結果、事業戦略と人事の接続を記述で示せた企業(D 仕組み接続型)は34社、全体の1.6%でした(すでに運用している「現在形」27社、導入を予告する「予告」7社)。レポート本文PDFは全文を無料で公開しています。→ https://opri.co.jp/report
■調査の背景
人的資本の開示は、2023年3月期の有価証券報告書から義務化されました。そして2026年3月期からは、経営方針・経営戦略等と関連付けた人材戦略や、それを踏まえた従業員給与等の決定方針の開示が、新たに求められるようになりました。開示のルールは、「人について書くこと」から「戦略とつなげて書くこと」を求める段階に入っています。
一方で、開示をめぐる調査や報道はプライム市場の大企業に集中してきました。指標の開示率や記述の量を数えた調査はありますが、戦略と人事が記述として結ばれているかを市場の全社について判定した調査は、本調査が日本初となります(当社調べ・2026年8月時点)。とりわけ、上場企業の過半を占めるスタンダード・グロース市場の約2,000社は、まとまった調査のない空白地帯でした。本調査は、その全社を同じ物差しで測った最初の測量です。
■主要ファインディング
事業戦略と人事の接続を記述で示せた企業は34社・1.6%
報酬・評価・等級や育成の体系、組織の設計といった人事の仕組みが、事業戦略と結ばれて記述されている企業(D 仕組み接続型)は、2,140社中34社・1.6%でした。判定の要件は、戦略側の記述と人事側の記述をそれぞれ原文から引用し、その二つで「この戦略だから、この仕組み」という論理が再構成できること。引用で示せなければ、接続とは数えていません。
型分布(全2,140社・比率は構成比):
- A 独立記述型: 827社(38.6%)-人材の重要性や育成の方針といった一般的な考え方は書かれているが、事業戦略と結び付けた記述がない
- B 言葉接続型: 460社(21.5%)-「事業戦略の実現に資する人材の確保」のような結びの言葉はあるが、どの事業のために何をするのかまでは書かれていない
- C 取り組み接続型: 819社(38.3%)-自社の事業の中身(製品・技術・市場など)を理由として、人材の確保や育成などの取り組みが書かれている
- D 仕組み接続型: 34社(1.6%)-その取り組みが、報酬・評価・等級や育成の体系、組織の設計といった人事の仕組みにまで具体化され、戦略と結ばれている
- F 外部参照型: 0社(0.0%)-有価証券報告書の中では実質を語らず、外部資料の参照にとどまる

分布の中心は二分--取り組みまでは書ける。仕組みまでは届かない
分布の中心は、A 独立記述型(38.6%)とC 取り組み接続型(38.3%)に二分されます。戦略と結ぶ記述を持たない会社がほぼ4割、事業を理由とした人材の取り組みまで書けている会社がほぼ4割。しかし、その取り組みが人事の仕組みにまで具体化され、戦略と結ばれている会社は1.6%にとどまります。
書くこと自体は当たり前になった。差が出ているのは接続
F 外部参照型は0社でした。すべての会社が有価証券報告書の中で自社の人材について語っており、書くこと自体はすでに当たり前になっています。書いているかどうかではもう差がつかない。差がつくのは、書かれた内容が戦略と結ばれているかどうかです。
■経営リスクとしての含意
これは文章のうまさの問題ではありません。書かれた内容として、戦略と人事がつながっているかどうかの問題です。
有価証券報告書は投資家への公式の説明文書であり、そこに書かれていないものは、読み手にとって存在しないのと同じです。投資家は、人材戦略を成長戦略と結び付けて企業の持続的な成長性を判断しようとしています。求職者にとっても同じで、接続が示されていれば、その会社で働く意味を戦略の言葉で理解できます。接続の記述は、採用市場と資本市場への説明力の問題になりつつあります。
実態として取り組みながら、記述していない会社もあるはずです。本調査は記述から実態を断定しません。ただ、書かれていなければ伝わらない--これもまた、動かない事実です。「この戦略だから、この仕組み」と書こうとして、書けるかどうか。接続を示そうとする作業がそのまま、経営が自社の記述と実情を突き合わせる点検になります。
■代表コメント
代表取締役・中北順也のコメント:
「1.6%という数字は、個々の会社への評価ではなく、いまは接続を記述で示せること自体が際立つ段階にある、という観測です。報酬や評価、育成といった立派な仕組みを持つ会社は少なくありません。しかし、仕組みがあることと、その仕組みが自社の戦略から導かれていることは別のことで、後者は記述からしか読めません。『この戦略だから、この仕組み』と書けるかどうか。その点検は、経営が自社の記述と実情を突き合わせるところから始まります。」
■レポート・詳細版のご案内
レポート本文PDFは全文を無料で公開しています。業種別の抜粋等を含む詳細版は、登録制(無料)で提供しています。 → https://opri.co.jp/report
本調査は、毎年8月に発行する定点観測です。同じ物差しで測り続けることで、分布の変化を線で示していきます。また、接続の中身をさらに分解した第2弾レポートを、2026年11月に発行する予定です。
調査概要:
- 調査名: 事業戦略と人事の整合性調査2026(組織人事総合研究所(OPRI)調べ)
- 対象: 東証スタンダード・グロース市場の上場企業2,161社を母集団とし、人材に関する記述の候補が抽出されなかった19社と処理を完了できなかった2社を除く2,140社
- 方法: 各社の直近の有価証券報告書を全数で読み、事業戦略の記述と人事の記述の接続の深さを5つの型で判定。AIによる文単位の読み取り+文書化された判定ルールによる型の確定+人手による正解データ136社分との検証。判定に迷う場合は接続の度合いがより浅い型に置くことを原則とし(公表値は下限に近い厳しめの値)、境界の企業は同一条件で3回判定し多数決で確定
- 発行: 2026年8月
■引用条件・会社概要
引用について: 出典として「組織人事総合研究所(OPRI)『事業戦略と人事の整合性調査2026』」と明記(Webの場合は https://opri.co.jp/ へのリンク付き)いただければ、本リリースおよびレポートの図表・数値の転載は自由です。事前の許諾は不要です。
会社概要: 組織人事総合研究所株式会社(OPRI、本社: 大阪市、代表取締役: 中北順也)は、「事業戦略×人事」-事業戦略と人事の接続-を専門とする調査・コンサルティング会社です。スタンダード・グロース上場企業約2,000社の有価証券報告書を全数で読む年次調査と、事業戦略と人事の整合性診断・検証・設計を提供しています。 https://opri.co.jp/
本リリースに関するお問い合わせ
報道関係者の方: 組織人事総合研究所株式会社 広報担当 メール: info@opri.co.jp 取材、コメント、図表・データ提供のご依頼に対応します。
一般のお問い合わせ: お問い合わせページ( https://opri.co.jp/contact )より
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