水道管の図面をAIが読み取り、拾い表と概算見積書を自動生成。給水・給湯・排水を読み分ける数量拾いアプリを開発
株式会社renue
凡例のない図面でも読める数量拾いAIをrenueがデモ実装。製図の常識で系統と口径を判別し、自動検算で食い違いを洗い出す

株式会社renue(本社:東京都港区、代表取締役:山本悠介)は、給排水設備図面のPDFをアップロードすると、給水・給湯・排水などの系統×管種・口径ごとに配管の長さとバルブ・量水器などの個数を自動で拾い出し、拾い表(Excel)と概算見積書を生成するアプリを実装しました。
凡例のない図面でも製図の一般知識から系統を判別し、AIの読み取り結果は図面上の線との照合や配管のつながりの整合チェックで自動検算します。信頼しきれない箇所は「要確認」として明示し、担当者は画面上のワンクリックで確認・修正するだけで拾い表と見積書に反映できます。
取り組みの概要
今回実装したアプリは、給排水設備図面のPDFを入力に、配管数量の拾い出しから拾い表(Excel)・概算見積書の生成までを一つの画面で完結させるアプリケーションです。
積算担当者が手作業で行ってきた「図面を系統ごとに目で追い、長さを測り、バルブや量水器を数える」という工程をAIが下書きし、人が確認して確定する分業に置き換えます。
図面のPDFをページ画像に変換し、マルチモーダル生成AIが製図の一般知識をもとに配管ルートと記号を座標つきで読み取ります。
読み取った後の処理はAIに任せず、決定論的なアルゴリズムが担当します。通り芯の寸法から縮尺を確定して長さを算出し、系統×管種・口径ごとに集計してExcelに出力するまでを機械的に処理するため、同じ読み取り結果からは必ず同じ数字が出ます。
読み取りに自信を持てない箇所は隠さず「要確認」として一覧に申告し、担当者はワンクリックで確認・修正できます。確認の進み具合は「確認状況」として拾い表に明示され、未確認の数字が下書きであることも一目で分かります。
出力される拾い表は、系統×口径の集計に加えて、記号の個数、ページごとの明細、検算結果と読み取り時の仮定までを1つにまとめた4シート構成のExcelです。
このアプリは現在デモとして実装した段階であり、今後は実際の設備工事会社・サブコンとの検証を通じて精度と実用性を高めていく計画です。
開発の背景と目的
建設業界では担い手の減少が続いています。建設業就業者数はピークである1997年の685万人から2024年には477万人へ約30%減少しました(総務省「労働力調査」)。就業者の36.7%を55歳以上が占める一方で29歳以下は11.7%にとどまり(2024年・同調査)、熟練者の経験に支えられてきた業務の継承が難しくなっています。
2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、限られた人員と時間で同じ業務量をこなす必要に迫られています。2025年度の人手不足倒産は441件と過去最多を更新し、業種別では建設業が112件で最多でした(帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査」)。
積算業務は、その中でも属人性の高い領域です。当社が土木分野で支援した数量拾い業務の事例では、5~6人のベテラン担当者が1案件当たり2~15時間をかけて図面から数量を読み取っており、若手が参画する余地はほとんどありませんでした(経済調査会『建設マネジメント技術』2026年7月号掲載)。
土木・建築分野では数量拾いへのAI活用が広がり始めた一方、給排水設備の積算には固有の難しさが残ります。建築の数量拾いが面積や長さといった計測中心であるのに対し、給排水設備では「どの系統の配管か」「管種・口径は何か」「バルブや量水器の種別と個数はいくつか」という複合的な属性を同時に読み取る必要があります。
凡例の有無や記号の表記も設計事務所ごとに異なるため、汎用的な自動化が難しい領域でした。加えて設備工事では、元請から受け取れるのが紙由来のPDF図面だけでCADデータが手に入らない案件が珍しくなく、CADソフトの計測機能も使えないまま手作業に頼らざるを得ないのが実情です。
renueがこの仕組みを開発した目的は、この領域にAIと決定論的アルゴリズムを組み合わせた実用的なアプローチを示すことにあります。単にAIで読み取るのではなく、読み取りを自動で検算して「どこが怪しいか」を明示することで、積算精度への信頼を保ちながら自動化の恩恵を届けます。
renueは図面AI「Drawing Agent」で2D図面の読み取りと3Dモデル生成の技術を蓄積してきました。その知見を設備積算の領域に応用したのが今回の取り組みです。
従来の数量拾いの課題
目視と手作業に依存する拾い出し
給排水設備の積算では、配管数量の拾い出しが特に時間を要します。担当者は図面上の配管を系統ごとに色分けしながら追跡し、スケールで長さを測り、バルブ類を一つずつ数え上げます。この反復作業が積算工数の大部分を占め、案件が重なる時期には見積書の提出期限を圧迫します。
図面読解に求められる暗黙知はマニュアル化が難しく、任せられる人を増やそうにも育成に時間がかかります。
作業は担当者の経験と知識に強く依存します。給水と給湯の配管を区別するには線種や記号の読み方を知っている必要があり、凡例が省略された図面では設計者の意図を推測しながら判断する場面も生じます。
担当者が変わると拾い漏れや系統の誤分類が起きやすく、見積精度を保つには別途のチェック工程が欠かせません。そのチェックにも図面を追い直す工数がかかるため、ベテランへの負荷が集中し、見積書の提出遅延や受注機会の損失につながります。ベテランの退職とともに積算ノウハウが失われるリスクも抱えています。
凡例の不統一と図面品質のばらつき
給排水設備図面の記号・線種の表記は、JIS規格に沿ったものから設計事務所独自のものまで幅広く存在します。凡例が添付されない図面や、改修工事で使われる作成年代の古いスキャン図面も珍しくありません。
凡例の存在を前提とする自動化ツールはこうした図面に対応できず、結局は読める人の目に頼ることになります。線種や記号の解釈を一つ取り違えると、その系統の集計はまとめて狂うため、判断を誤れない緊張が担当者にかかり続けます。
縮尺の不確かさが全数量に効く
PDFとして出力された図面は、印刷設定や変換の過程で縮尺が変わっていることがあります。縮尺を誤ったまま長さを計算すると、単一箇所の拾い漏れと違って全数量に一律の誤差が乗るため、見積金額への影響が大きくなります。
手作業では担当者が通り芯の寸法などから縮尺を確かめて補正しますが、この確認自体が経験を要する作業です。誤りに気づくのが集計後であれば、拾い直しでさらに時間を失います。
仕組みの特長
凡例のない図面でも系統を判別する

読み取り直後の画面。図面上に系統別の色分けで拾い結果を重ね、左の確認リストから1件ずつ確認可能
アップロードされたPDFはまずページ単位で自動分類され、配管平面図・部分詳細図・凡例・断面図などから拾いの対象が絞り込まれます。部分詳細図は参考として読み、合計からは除外することで同じ配管の二重計上を防ぎます。
読み取り結果は図面の上に系統別の色分けで重ねて表示され、系統ごとに表示を切り替えながら拾い残しを目視でも点検できます。
給水・給湯・排水といった系統の判別は、凡例の有無に関わらず機能する設計です。図面に凡例があればその定義を正として参照し、なければ「給水は実線、給湯は一点鎖線、排水は破線」といった製図の一般慣行にもとづいて判別します。
バルブ・量水器・止水栓・衛生器具などの記号も、業界で一般的な語彙に正規化して数え上げます。口径や管種(VP・HIVP・SGPなど)は配管付近の注記から読み取り、表記ゆれを吸収したうえで系統×口径の集計に紐づけます。
図面ごとの事前設定やテンプレート登録は不要で、PDFをアップロードするだけで拾いが始まります。
通り芯から縮尺を確定し、決定論で集計する

自動生成された拾い表(系統×口径)。合計長・エルボ・チーズの個数に加え、「根拠」列で長さの算出根拠を明示
長さの精度は縮尺の確定で決まります。このアプリは通り芯(柱位置を示す基準線)を画像処理で機械的に検出し、AIが読み取った寸法値と突き合わせて縮尺を確定します。
図枠の縮尺表記からの換算とも照合し、食い違いが大きければ「要確認」として開示します。縮尺が確定できない場合は、それらしい数字を出すのではなく「算出不能」と明示します。
長さの算出と集計はAIに任せません。読み取られた経路を決定論的アルゴリズムが直交補正し、寸法注記・通り芯換算・縮尺換算のどれを根拠に長さを出したかをルート1本ごとに記録します。エルボは経路の折れ点から、チーズは分岐の接続関係から機械的に数えます。
立て管は断面図から階高が読めた場合にのみ概算し、読めなければ数字をつくらず「階高のご提供で自動加算」と案内します。給水と給湯が近接して並走し1本ずつ判読できない区間は「要確認の束」として合計から隔離し、内訳が確定したものだけを数量に戻します。
拾い表には合計値だけでなく、長さの質の内訳(人が確認済み・高信頼・中・低/要確認)と、読み取り時に置いた仮定、判読できなかった事項がすべて記載されます。数字の出どころを後から追えるため、社内のダブルチェックや顧客への説明にもそのまま使えます。
AIの読み取りを自動で検算し、人が確定する

自動生成された概算見積書(quote.xlsx)。数量は拾いの実測値、黄色セルの単価は原価表受領後に差し替える前提の仮値
AIの読み取りを、そのままは信用しない前提で設計しています。申告された経路が図面上の実際の線と重なっているかを照合し、ずれていれば補正し、線が見当たらなければ「実在しないルートの疑い」として申告します。
線種の実測値と系統の宣言の照合、配管のつながり(接続グラフ)の整合チェックも行い、どの配管にもつながらない孤立した記号は「拾い漏れの可能性」として警告します。
検算の結果は「要確認」として画面と拾い表に一覧化されます。担当者が確認リストの項目をクリックすると図面上の該当箇所がハイライトされ、その場で修正するか確認ボタンを押すだけで確定できます。
系統や口径の書き換え、誤検出の削除に加え、読み取れなかった配管を図面上のクリックで描き足す手動追加にも対応しました。人が触れた項目は自動で確認済みになり、修正後の再集計はAIを使わない決定論処理のため数秒で終わります。拾い表には人の確認を経た件数が「確認状況」として明示され、未確認の数字は下書きとして扱われます。
概算見積書は、拾い表からボタン一つで生成できます。配管工事・弁類・支持金物・試験費・諸経費という見積単価表の慣行に沿った構成で、拾い数量は実測値として白セルに、単価は差し替え前提の仮値として色つきセルに分かれます。どこまでが図面の事実でどこからが仮定かを、見た目で区別できるようにしました。
想定される効果
拾い出し工数の削減
- 系統判別・縮尺確定・長さ集計・記号の数え上げが自動化され、担当者の作業は「要確認」箇所の確認・修正に絞られます。全箇所を目視で追う従来の拾い出しと比べ、工数の削減を見込んでいます
- 概算見積書まで自動生成されるため、拾い表から見積書へ転記して体裁を整える工程を省けます。単価を自社の実勢値に差し替えるだけで、概算提示の初動を早められます
- CADデータが入手できずPDFしかない案件にも適用できるため、これまで完全な手作業だった拾い出しを置き換えられます
- 拾い表はExcel形式で出力され、集計後の転記や社内共有の手間を省けます
積算品質の安定化
- 系統判別と数え上げの自動化により、担当者ごとの拾い漏れ・誤分類のばらつきを抑えられます
- 読み取りに自信を持てない箇所が「要確認」として明示されるため、従来は担当者の注意力に依存していたチェックが仕組みになります
- 長さの根拠・読み取り時の仮定・判読できなかった事項が拾い表に残るため、数字の出どころをいつでも遡れます。積算根拠の説明を求められる場面でも、確認済みの範囲と概算の範囲を分けて示せます
- 自作の検証図面(正解データつき)を7回読み取らせた実測では、合計数量の誤差は±2~8%の範囲でした(特定の検証図面1件に対する実測値で、実行ごとに変動します)。系統×口径の分類と記号16個の数え上げは全実行で正解と一致しました
- 縮尺を複数の根拠の突き合わせで確定するため、PDF変換に起因する全体誤差を抑えられます
若手への業務開放
- 「どの線が給水か」を知らなくても、AIの判別結果と要確認リストを起点に拾い出しへ参画できます。ベテランの確認を最終工程に置くことで、経験の浅い担当者でも拾い作業を進められる体制づくりを支援します
今後の展開
今回の仕組みは営業デモとして実装した段階です。今後は設備工事会社・サブコンとの共同検証を通じて、実案件の図面での精度と実用性を確かめていきます。
技術面では、設計事務所ごとの記号表記の違い、複数階にまたがる系統の追跡、改修工事の既存図面といったバリエーションへの対応拡大に取り組みます。読み取りの安定性についても、同じ図面を複数回読み取って突き合わせる方式の検証を進めます。
この拾いの仕組みはガス配管の数量拾いにも同一アーキテクチャで対応しており、電気・空調・消防といった他の設備系統への展開も検討しています。将来的には積算・見積システムとのデータ連携により、拾い表から見積書提出までのリードタイム短縮を目指します。
renueは図面AI「Drawing Agent」で培った図面読み取り技術を設備積算の領域へ広げ、建設業の担い手不足に応えるソリューションの提供を続けていきます。
会社概要
会社名:株式会社renue
所在地:〒105-7105 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 5階
代表者:山本悠介
事業内容:AIコンサルティング業
URL:https://renue.co.jp/
本件に関するお問い合わせ
株式会社renue 広報担当
メール:info@renue.co.jp
電話:03-4500-7154
2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、限られた人員と時間で同じ業務量をこなす必要に迫られています。2025年度の人手不足倒産は441件と過去最多を更新し、業種別では建設業が112件で最多でした(帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査」)。
積算業務は、その中でも属人性の高い領域です。当社が土木分野で支援した数量拾い業務の事例では、5~6人のベテラン担当者が1案件当たり2~15時間をかけて図面から数量を読み取っており、若手が参画する余地はほとんどありませんでした(経済調査会『建設マネジメント技術』2026年7月号掲載)。
土木・建築分野では数量拾いへのAI活用が広がり始めた一方、給排水設備の積算には固有の難しさが残ります。建築の数量拾いが面積や長さといった計測中心であるのに対し、給排水設備では「どの系統の配管か」「管種・口径は何か」「バルブや量水器の種別と個数はいくつか」という複合的な属性を同時に読み取る必要があります。
凡例の有無や記号の表記も設計事務所ごとに異なるため、汎用的な自動化が難しい領域でした。加えて設備工事では、元請から受け取れるのが紙由来のPDF図面だけでCADデータが手に入らない案件が珍しくなく、CADソフトの計測機能も使えないまま手作業に頼らざるを得ないのが実情です。
renueがこの仕組みを開発した目的は、この領域にAIと決定論的アルゴリズムを組み合わせた実用的なアプローチを示すことにあります。単にAIで読み取るのではなく、読み取りを自動で検算して「どこが怪しいか」を明示することで、積算精度への信頼を保ちながら自動化の恩恵を届けます。
renueは図面AI「Drawing Agent」で2D図面の読み取りと3Dモデル生成の技術を蓄積してきました。その知見を設備積算の領域に応用したのが今回の取り組みです。
従来の数量拾いの課題
目視と手作業に依存する拾い出し
給排水設備の積算では、配管数量の拾い出しが特に時間を要します。担当者は図面上の配管を系統ごとに色分けしながら追跡し、スケールで長さを測り、バルブ類を一つずつ数え上げます。この反復作業が積算工数の大部分を占め、案件が重なる時期には見積書の提出期限を圧迫します。
図面読解に求められる暗黙知はマニュアル化が難しく、任せられる人を増やそうにも育成に時間がかかります。
作業は担当者の経験と知識に強く依存します。給水と給湯の配管を区別するには線種や記号の読み方を知っている必要があり、凡例が省略された図面では設計者の意図を推測しながら判断する場面も生じます。
担当者が変わると拾い漏れや系統の誤分類が起きやすく、見積精度を保つには別途のチェック工程が欠かせません。そのチェックにも図面を追い直す工数がかかるため、ベテランへの負荷が集中し、見積書の提出遅延や受注機会の損失につながります。ベテランの退職とともに積算ノウハウが失われるリスクも抱えています。
凡例の不統一と図面品質のばらつき
給排水設備図面の記号・線種の表記は、JIS規格に沿ったものから設計事務所独自のものまで幅広く存在します。凡例が添付されない図面や、改修工事で使われる作成年代の古いスキャン図面も珍しくありません。
凡例の存在を前提とする自動化ツールはこうした図面に対応できず、結局は読める人の目に頼ることになります。線種や記号の解釈を一つ取り違えると、その系統の集計はまとめて狂うため、判断を誤れない緊張が担当者にかかり続けます。
縮尺の不確かさが全数量に効く
PDFとして出力された図面は、印刷設定や変換の過程で縮尺が変わっていることがあります。縮尺を誤ったまま長さを計算すると、単一箇所の拾い漏れと違って全数量に一律の誤差が乗るため、見積金額への影響が大きくなります。
手作業では担当者が通り芯の寸法などから縮尺を確かめて補正しますが、この確認自体が経験を要する作業です。誤りに気づくのが集計後であれば、拾い直しでさらに時間を失います。
仕組みの特長
凡例のない図面でも系統を判別する

読み取り直後の画面。図面上に系統別の色分けで拾い結果を重ね、左の確認リストから1件ずつ確認可能
アップロードされたPDFはまずページ単位で自動分類され、配管平面図・部分詳細図・凡例・断面図などから拾いの対象が絞り込まれます。部分詳細図は参考として読み、合計からは除外することで同じ配管の二重計上を防ぎます。
読み取り結果は図面の上に系統別の色分けで重ねて表示され、系統ごとに表示を切り替えながら拾い残しを目視でも点検できます。
給水・給湯・排水といった系統の判別は、凡例の有無に関わらず機能する設計です。図面に凡例があればその定義を正として参照し、なければ「給水は実線、給湯は一点鎖線、排水は破線」といった製図の一般慣行にもとづいて判別します。
バルブ・量水器・止水栓・衛生器具などの記号も、業界で一般的な語彙に正規化して数え上げます。口径や管種(VP・HIVP・SGPなど)は配管付近の注記から読み取り、表記ゆれを吸収したうえで系統×口径の集計に紐づけます。
図面ごとの事前設定やテンプレート登録は不要で、PDFをアップロードするだけで拾いが始まります。
通り芯から縮尺を確定し、決定論で集計する

自動生成された拾い表(系統×口径)。合計長・エルボ・チーズの個数に加え、「根拠」列で長さの算出根拠を明示
長さの精度は縮尺の確定で決まります。このアプリは通り芯(柱位置を示す基準線)を画像処理で機械的に検出し、AIが読み取った寸法値と突き合わせて縮尺を確定します。
図枠の縮尺表記からの換算とも照合し、食い違いが大きければ「要確認」として開示します。縮尺が確定できない場合は、それらしい数字を出すのではなく「算出不能」と明示します。
長さの算出と集計はAIに任せません。読み取られた経路を決定論的アルゴリズムが直交補正し、寸法注記・通り芯換算・縮尺換算のどれを根拠に長さを出したかをルート1本ごとに記録します。エルボは経路の折れ点から、チーズは分岐の接続関係から機械的に数えます。
立て管は断面図から階高が読めた場合にのみ概算し、読めなければ数字をつくらず「階高のご提供で自動加算」と案内します。給水と給湯が近接して並走し1本ずつ判読できない区間は「要確認の束」として合計から隔離し、内訳が確定したものだけを数量に戻します。
拾い表には合計値だけでなく、長さの質の内訳(人が確認済み・高信頼・中・低/要確認)と、読み取り時に置いた仮定、判読できなかった事項がすべて記載されます。数字の出どころを後から追えるため、社内のダブルチェックや顧客への説明にもそのまま使えます。
AIの読み取りを自動で検算し、人が確定する

自動生成された概算見積書(quote.xlsx)。数量は拾いの実測値、黄色セルの単価は原価表受領後に差し替える前提の仮値
AIの読み取りを、そのままは信用しない前提で設計しています。申告された経路が図面上の実際の線と重なっているかを照合し、ずれていれば補正し、線が見当たらなければ「実在しないルートの疑い」として申告します。
線種の実測値と系統の宣言の照合、配管のつながり(接続グラフ)の整合チェックも行い、どの配管にもつながらない孤立した記号は「拾い漏れの可能性」として警告します。
検算の結果は「要確認」として画面と拾い表に一覧化されます。担当者が確認リストの項目をクリックすると図面上の該当箇所がハイライトされ、その場で修正するか確認ボタンを押すだけで確定できます。
系統や口径の書き換え、誤検出の削除に加え、読み取れなかった配管を図面上のクリックで描き足す手動追加にも対応しました。人が触れた項目は自動で確認済みになり、修正後の再集計はAIを使わない決定論処理のため数秒で終わります。拾い表には人の確認を経た件数が「確認状況」として明示され、未確認の数字は下書きとして扱われます。
概算見積書は、拾い表からボタン一つで生成できます。配管工事・弁類・支持金物・試験費・諸経費という見積単価表の慣行に沿った構成で、拾い数量は実測値として白セルに、単価は差し替え前提の仮値として色つきセルに分かれます。どこまでが図面の事実でどこからが仮定かを、見た目で区別できるようにしました。
想定される効果
拾い出し工数の削減
- 系統判別・縮尺確定・長さ集計・記号の数え上げが自動化され、担当者の作業は「要確認」箇所の確認・修正に絞られます。全箇所を目視で追う従来の拾い出しと比べ、工数の削減を見込んでいます
- 概算見積書まで自動生成されるため、拾い表から見積書へ転記して体裁を整える工程を省けます。単価を自社の実勢値に差し替えるだけで、概算提示の初動を早められます
- CADデータが入手できずPDFしかない案件にも適用できるため、これまで完全な手作業だった拾い出しを置き換えられます
- 拾い表はExcel形式で出力され、集計後の転記や社内共有の手間を省けます
積算品質の安定化
- 系統判別と数え上げの自動化により、担当者ごとの拾い漏れ・誤分類のばらつきを抑えられます
- 読み取りに自信を持てない箇所が「要確認」として明示されるため、従来は担当者の注意力に依存していたチェックが仕組みになります
- 長さの根拠・読み取り時の仮定・判読できなかった事項が拾い表に残るため、数字の出どころをいつでも遡れます。積算根拠の説明を求められる場面でも、確認済みの範囲と概算の範囲を分けて示せます
- 自作の検証図面(正解データつき)を7回読み取らせた実測では、合計数量の誤差は±2~8%の範囲でした(特定の検証図面1件に対する実測値で、実行ごとに変動します)。系統×口径の分類と記号16個の数え上げは全実行で正解と一致しました
- 縮尺を複数の根拠の突き合わせで確定するため、PDF変換に起因する全体誤差を抑えられます
若手への業務開放
- 「どの線が給水か」を知らなくても、AIの判別結果と要確認リストを起点に拾い出しへ参画できます。ベテランの確認を最終工程に置くことで、経験の浅い担当者でも拾い作業を進められる体制づくりを支援します
今後の展開
今回の仕組みは営業デモとして実装した段階です。今後は設備工事会社・サブコンとの共同検証を通じて、実案件の図面での精度と実用性を確かめていきます。
技術面では、設計事務所ごとの記号表記の違い、複数階にまたがる系統の追跡、改修工事の既存図面といったバリエーションへの対応拡大に取り組みます。読み取りの安定性についても、同じ図面を複数回読み取って突き合わせる方式の検証を進めます。
この拾いの仕組みはガス配管の数量拾いにも同一アーキテクチャで対応しており、電気・空調・消防といった他の設備系統への展開も検討しています。将来的には積算・見積システムとのデータ連携により、拾い表から見積書提出までのリードタイム短縮を目指します。
renueは図面AI「Drawing Agent」で培った図面読み取り技術を設備積算の領域へ広げ、建設業の担い手不足に応えるソリューションの提供を続けていきます。
会社概要
会社名:株式会社renue
所在地:〒105-7105 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 5階
代表者:山本悠介
事業内容:AIコンサルティング業
URL:https://renue.co.jp/
本件に関するお問い合わせ
株式会社renue 広報担当
メール:info@renue.co.jp
電話:03-4500-7154

読み取り直後の画面。図面上に系統別の色分けで拾い結果を重ね、左の確認リストから1件ずつ確認可能
アップロードされたPDFはまずページ単位で自動分類され、配管平面図・部分詳細図・凡例・断面図などから拾いの対象が絞り込まれます。部分詳細図は参考として読み、合計からは除外することで同じ配管の二重計上を防ぎます。
読み取り結果は図面の上に系統別の色分けで重ねて表示され、系統ごとに表示を切り替えながら拾い残しを目視でも点検できます。
給水・給湯・排水といった系統の判別は、凡例の有無に関わらず機能する設計です。図面に凡例があればその定義を正として参照し、なければ「給水は実線、給湯は一点鎖線、排水は破線」といった製図の一般慣行にもとづいて判別します。
バルブ・量水器・止水栓・衛生器具などの記号も、業界で一般的な語彙に正規化して数え上げます。口径や管種(VP・HIVP・SGPなど)は配管付近の注記から読み取り、表記ゆれを吸収したうえで系統×口径の集計に紐づけます。
図面ごとの事前設定やテンプレート登録は不要で、PDFをアップロードするだけで拾いが始まります。
通り芯から縮尺を確定し、決定論で集計する

自動生成された拾い表(系統×口径)。合計長・エルボ・チーズの個数に加え、「根拠」列で長さの算出根拠を明示
長さの精度は縮尺の確定で決まります。このアプリは通り芯(柱位置を示す基準線)を画像処理で機械的に検出し、AIが読み取った寸法値と突き合わせて縮尺を確定します。
図枠の縮尺表記からの換算とも照合し、食い違いが大きければ「要確認」として開示します。縮尺が確定できない場合は、それらしい数字を出すのではなく「算出不能」と明示します。
長さの算出と集計はAIに任せません。読み取られた経路を決定論的アルゴリズムが直交補正し、寸法注記・通り芯換算・縮尺換算のどれを根拠に長さを出したかをルート1本ごとに記録します。エルボは経路の折れ点から、チーズは分岐の接続関係から機械的に数えます。
立て管は断面図から階高が読めた場合にのみ概算し、読めなければ数字をつくらず「階高のご提供で自動加算」と案内します。給水と給湯が近接して並走し1本ずつ判読できない区間は「要確認の束」として合計から隔離し、内訳が確定したものだけを数量に戻します。
拾い表には合計値だけでなく、長さの質の内訳(人が確認済み・高信頼・中・低/要確認)と、読み取り時に置いた仮定、判読できなかった事項がすべて記載されます。数字の出どころを後から追えるため、社内のダブルチェックや顧客への説明にもそのまま使えます。
AIの読み取りを自動で検算し、人が確定する

自動生成された概算見積書(quote.xlsx)。数量は拾いの実測値、黄色セルの単価は原価表受領後に差し替える前提の仮値
AIの読み取りを、そのままは信用しない前提で設計しています。申告された経路が図面上の実際の線と重なっているかを照合し、ずれていれば補正し、線が見当たらなければ「実在しないルートの疑い」として申告します。
線種の実測値と系統の宣言の照合、配管のつながり(接続グラフ)の整合チェックも行い、どの配管にもつながらない孤立した記号は「拾い漏れの可能性」として警告します。
検算の結果は「要確認」として画面と拾い表に一覧化されます。担当者が確認リストの項目をクリックすると図面上の該当箇所がハイライトされ、その場で修正するか確認ボタンを押すだけで確定できます。
系統や口径の書き換え、誤検出の削除に加え、読み取れなかった配管を図面上のクリックで描き足す手動追加にも対応しました。人が触れた項目は自動で確認済みになり、修正後の再集計はAIを使わない決定論処理のため数秒で終わります。拾い表には人の確認を経た件数が「確認状況」として明示され、未確認の数字は下書きとして扱われます。
概算見積書は、拾い表からボタン一つで生成できます。配管工事・弁類・支持金物・試験費・諸経費という見積単価表の慣行に沿った構成で、拾い数量は実測値として白セルに、単価は差し替え前提の仮値として色つきセルに分かれます。どこまでが図面の事実でどこからが仮定かを、見た目で区別できるようにしました。
想定される効果
拾い出し工数の削減
- 系統判別・縮尺確定・長さ集計・記号の数え上げが自動化され、担当者の作業は「要確認」箇所の確認・修正に絞られます。全箇所を目視で追う従来の拾い出しと比べ、工数の削減を見込んでいます
- 概算見積書まで自動生成されるため、拾い表から見積書へ転記して体裁を整える工程を省けます。単価を自社の実勢値に差し替えるだけで、概算提示の初動を早められます
- CADデータが入手できずPDFしかない案件にも適用できるため、これまで完全な手作業だった拾い出しを置き換えられます
- 拾い表はExcel形式で出力され、集計後の転記や社内共有の手間を省けます
積算品質の安定化
- 系統判別と数え上げの自動化により、担当者ごとの拾い漏れ・誤分類のばらつきを抑えられます
- 読み取りに自信を持てない箇所が「要確認」として明示されるため、従来は担当者の注意力に依存していたチェックが仕組みになります
- 長さの根拠・読み取り時の仮定・判読できなかった事項が拾い表に残るため、数字の出どころをいつでも遡れます。積算根拠の説明を求められる場面でも、確認済みの範囲と概算の範囲を分けて示せます
- 自作の検証図面(正解データつき)を7回読み取らせた実測では、合計数量の誤差は±2~8%の範囲でした(特定の検証図面1件に対する実測値で、実行ごとに変動します)。系統×口径の分類と記号16個の数え上げは全実行で正解と一致しました
- 縮尺を複数の根拠の突き合わせで確定するため、PDF変換に起因する全体誤差を抑えられます
若手への業務開放
- 「どの線が給水か」を知らなくても、AIの判別結果と要確認リストを起点に拾い出しへ参画できます。ベテランの確認を最終工程に置くことで、経験の浅い担当者でも拾い作業を進められる体制づくりを支援します
今後の展開
今回の仕組みは営業デモとして実装した段階です。今後は設備工事会社・サブコンとの共同検証を通じて、実案件の図面での精度と実用性を確かめていきます。
技術面では、設計事務所ごとの記号表記の違い、複数階にまたがる系統の追跡、改修工事の既存図面といったバリエーションへの対応拡大に取り組みます。読み取りの安定性についても、同じ図面を複数回読み取って突き合わせる方式の検証を進めます。
この拾いの仕組みはガス配管の数量拾いにも同一アーキテクチャで対応しており、電気・空調・消防といった他の設備系統への展開も検討しています。将来的には積算・見積システムとのデータ連携により、拾い表から見積書提出までのリードタイム短縮を目指します。
renueは図面AI「Drawing Agent」で培った図面読み取り技術を設備積算の領域へ広げ、建設業の担い手不足に応えるソリューションの提供を続けていきます。
会社概要
会社名:株式会社renue
所在地:〒105-7105 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 5階
代表者:山本悠介
事業内容:AIコンサルティング業
URL:https://renue.co.jp/
本件に関するお問い合わせ
株式会社renue 広報担当
メール:info@renue.co.jp
電話:03-4500-7154
技術面では、設計事務所ごとの記号表記の違い、複数階にまたがる系統の追跡、改修工事の既存図面といったバリエーションへの対応拡大に取り組みます。読み取りの安定性についても、同じ図面を複数回読み取って突き合わせる方式の検証を進めます。
この拾いの仕組みはガス配管の数量拾いにも同一アーキテクチャで対応しており、電気・空調・消防といった他の設備系統への展開も検討しています。将来的には積算・見積システムとのデータ連携により、拾い表から見積書提出までのリードタイム短縮を目指します。
renueは図面AI「Drawing Agent」で培った図面読み取り技術を設備積算の領域へ広げ、建設業の担い手不足に応えるソリューションの提供を続けていきます。
会社概要
会社名:株式会社renue
所在地:〒105-7105 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター 5階
代表者:山本悠介
事業内容:AIコンサルティング業
URL:https://renue.co.jp/
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