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デジタルツイン総合研究所、フィジカルAIの参照・オーケストレーション基盤「SHOKEI」をリリース

PR TIMES

株式会社デジタルツイン総合研究所
映像・空間・時系列・業務データを意味論的に統合し、基盤モデルやヒューマノイドへオンプレミスで現場文脈を提供する「フィジカルAI版RAG」




株式会社デジタルツイン総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役:黒田佳吏夫、以下「DTRI」)は、2026年8月5日、フィジカルAI向けの現場文脈プラットフォーム「SHOKEI(承継)」をリリースしました。

SHOKEIは、企業が保有する映像、3D・空間情報、センサー時系列、工程、設備、品質、安全、熟練動作などのデータを意味論的に統合し、基盤モデル、映像AI、ロボット、ヒューマノイドが推論・判断・動作を行う際に参照できる形で提供する、オンプレミス型の参照・オーケストレーション基盤です。

大規模言語モデルの企業導入では、社内文書をモデル自体へ学習させるのではなく、必要な情報を推論時に検索・付与するRAG(Retrieval-Augmented Generation)が広く利用されています。SHOKEIはこの考え方を、文書だけでなく、物理空間における対象物、位置、時刻、状態遷移、作業、因果関係、判断基準、安全制約へ拡張します。DTRIはこのアーキテクチャを「フィジカルAI版RAG」と位置付けています。※1

またSHOKEIは、個別のAIやロボットへ情報を提供するだけでなく、複数のモデル、エージェント、映像基盤、ロボットが同じ現場状態と制約を共有し、役割を分担して動作するための共通文脈を管理します。これにより、特定の基盤モデルや機器に固定されず、企業が新たなフィジカルAIを継続的に選択・追加できるオーケストレーション層の構築を目指します。

本日よりDTRIは、製造事業者を対象とした先行導入・共同検証の相談と、システムインテグレーター、ロボットインテグレーター、設備メーカー、基盤モデル事業者を対象としたパートナー相談の受付を開始します。

背景:フィジカルAIの進展に伴う、デジタルツインの役割の再定義

これまでデジタルツインは、工場、設備、製品などをデジタル空間に再現し、設計検証、シミュレーション、設備監視、遠隔確認などに活用されてきました。現実世界の構造や状態を可視化し、人が把握・分析・判断するための基盤として、製造現場の高度化に重要な役割を果たしています。

一方、映像理解、行動計画、動作生成、世界モデルなど、フィジカルAIを構成する基盤技術が高度化するなかで、デジタルツインを参照する主体は、人からAIやロボットへと広がりつつあります。

基盤モデルやロボットが現場で判断・動作するために必要とするのは、工場を再現した3Dモデルや現在のセンサー値だけではありません。対象物が何であるか、現在どの状態にあるか、どの工程に属するか、過去にどのような変更が行われたか、何を合格とするか、どの安全制約を適用すべきかといった、現場固有の文脈が必要です。

また、これらの情報は、人が画面上で確認できるだけでなく、対象、場所、時間、状態、タスクに応じて、AIが推論時に検索・参照できる形で構造化されている必要があります。現場で発生した事象やAI・ロボットの実行結果を反映し、継続的に更新されることも求められます。

比較画像:可視化・分析を中心とするデジタルツイン/推論・実行を支えるデジタルツイン

しかし、製造現場の情報は複数のシステムや担当者へ分散しています。映像は映像管理基盤、時系列データは設備やセンサー、3Dモデルや図面は設計システム、作業手順は文書、品質判断や例外処理は担当者の経験に保持され、相互の意味的な関係を機械が参照できない状態にあります。

汎用的な基盤モデルが、こうした企業固有の工程、設備構成、品質基準、安全規則、変更履歴、熟練者の判断をあらかじめ保持することはできません。また、これらの情報は企業の競争力や安全性を支える機密情報であり、外部モデルの学習に供することが難しいデータでもあります。

したがって、フィジカルAIの高度化に伴い、デジタルツインには、現実を再現・可視化する機能に加え、企業固有の現場文脈をモデルの外側に保持し、複数のAIやロボットへ推論時に提供する役割が求められます。

フィジカルAIの導入を個別のPoCから全社的な運用へ移行するためには、モデルや機器ごとに現場データを再構築するのではなく、企業固有の現場文脈を中立的な層へ蓄積し、交換・追加されていく複数のフィジカルAIから共通して参照できる構造が必要です。

SHOKEIの位置付け:フィジカルAIの共通コンテキスト層

SHOKEIは、基盤モデルやロボットそのものを置き換える製品ではありません。交換・追加されていくモデルや機器と、企業内に蓄積され続ける現場文脈を分離し、両者を接続するための共通コンテキスト層です。



- 現場データ層:映像、画像、点群、3Dモデル、図面、設備・センサー時系列、工程、品質記録、保全履歴、作業手順、熟練動作

- SHOKEI共通コンテキスト層:対象物、設備、人、場所、状態、事象、作業、判断、結果、制約の意味的関係と、空間・時系列・版情報

- フィジカルAI層:映像AI、VLM、LLM、世界モデル、行動モデル、ロボット基盤モデル、業務エージェント、ロボット、ヒューマノイド

SHOKEIは、モデルの内部へ企業固有データを埋め込むのではなく、各モデルが必要とする現場文脈を、その時点のタスク、対象、場所、時間、状態に応じて検索・構成し、推論時に提供します。

技術構成:文書検索を、空間・時系列・状態・動作の参照へ拡張

SHOKEIは、現場データを単一のデータベースへ集約するだけの製品ではありません。異なる形式のデータを意味的に接続し、フィジカルAIが状況に応じて参照できるよう、以下の技術レイヤーで構成します。



1.マルチモーダルデータの取り込み・正規化
映像、画像、音声、点群、3Dモデル、図面、文書、設備ログ、センサー時系列、品質データ、作業記録を取り込み、共通の対象ID、時刻、座標、工程、版情報にひも付けます。

これにより、例えば「設備Aの部品Bに対し、変更前後で、誰が、どの手順を実行し、どの状態変化と品質結果が発生したか」を、データ形式をまたいで追跡できる構造を形成します。
2.時空間セマンティックモデル
設備、部品、人、作業、事象、状態、判断、制約、結果をエンティティとして表現し、それらの関係をオントロジーおよびナレッジグラフとして管理します。

3D・空間情報については、OpenUSD等の技術を活用し、設備、部品、ロボットなどの構成、階層、座標、属性を共通のシーンとして扱います。さらに、これらを映像、センサー時系列、工程、作業履歴、判断基準と意味論的に関連付けます。

時系列は単なる付帯情報ではなく、状態遷移、前後関係、継続時間、発生条件、変更履歴として表現します。空間情報についても、座標だけでなく、包含、隣接、接触、進入禁止、作業範囲などの関係を保持します。
3.ハイブリッドな記憶・インデックス
意味検索のためのベクトルインデックス、関係をたどるためのグラフデータベース、設備状態を扱う時系列ストア、位置関係を扱う空間インデックス、原本を保持するオブジェクトストレージを組み合わせます。

これにより、類似性にもとづく検索だけでなく、特定設備、時間帯、工程、状態、安全区分などを指定した構造化検索を同時に行います。
4.コンテキスト検索・構成
基盤モデルやロボットからの要求に対し、セマンティック検索、グラフ探索、時空間フィルタリング、再ランキングを組み合わせ、その判断に必要な現場文脈を取得します。

取得した情報は、根拠となる映像区間、設備ログ、手順、判断基準、変更履歴などの参照元とともに、各モデルが利用できるコンテキストへ構成します。文書RAGにおける「関連文書の検索・付与」を、現場の状態と事象を対象とする参照拡張型推論へ拡張するものです。
5.モデル・エージェント・ロボットのオーケストレーション
複数のモデルや機器が同一の対象、状態、時刻、安全制約を共有できるよう、SHOKEIが共通コンテキストとタスク状態を管理します。

例えば、映像AIが事象を認識し、推論モデルが対応方針を検討し、ロボットまたはヒューマノイドが作業を実行し、その結果を検査AIが確認する場合、それぞれが別々の解釈で動作するのではなく、SHOKEIを介して同じ現場文脈と実行状態を参照します。

SHOKEIは、タスクに応じたモデル・機器への接続、参照情報の提供、処理結果の統合、実行状態の引き継ぎを担うことで、複数のフィジカルAIを一つの業務フローとして運用するための基盤となります。

なぜオーケストレーションに共通文脈が不可欠なのか

複数のAIやロボットを接続するだけでは、オーケストレーションは成立しません。各システムが「対象は何か」「現在どの状態か」「どの工程を実行しているか」「何を合格とするか」「どの制約を優先するか」を共通して理解し、処理結果と実行状態を次のシステムへ引き継ぐ必要があります。
フィジカルAIのオーケストレーションにおいて不可欠となるのは、個別モデルの知能を統合することではなく、それぞれの知能が参照する現場文脈を統一することです。

SHOKEIは、以下の役割を一つの基盤で担います。
- 複数のモデル・ロボットが参照する、対象・状態・事象・制約の共通定義
- 映像、空間、時系列、業務データを横断した現在状態の把握
- タスクおよび工程の進行状態の保持と、モデル・機器間の引き継ぎ
- モデルやロボットが変更された場合にも再利用できる、企業固有の現場文脈
- 顧客環境内でのデータ保持を前提とした、外部基盤との接続境界

今後、用途ごとに優れた基盤モデルやヒューマノイドが継続的に登場するほど、企業には、それらを選択可能な部品として利用しながら、現場固有のデータ、意味、制約、運用状態を自ら保持するアーキテクチャが必要になります。SHOKEIは、そのための参照・オーケストレーション層として設計されています。

NVIDIA VSSなどの映像AI基盤との連携

NVIDIA Blueprint for Video Search and Summarization(VSS)は、映像の意味検索、時刻付き事象の検索、VLMによる映像理解、エージェントによるツール利用などを組み合わせ、ビジョンエージェントおよびAI映像解析アプリケーションを構築するためのリファレンスアーキテクチャ群です。※2

NVIDIA VSS Blueprint Architecture

SHOKEIは、VSSなどの映像AI基盤から得られる映像内の対象・行動・事象と、企業が保有する工程、設備、品質、安全、保全、変更履歴を意味的に接続します。

これにより、「映像内で何が起きたか」の認識に加え、「その事象がどの工程に属するか」「当該設備の正常状態とどう異なるか」「どの判断基準と安全制約を適用すべきか」「次にどのモデルまたは機器へ処理を引き継ぐか」を、現場文脈にもとづいて扱える構成とします。

特定の映像基盤、基盤モデル、ロボットに現場知識を閉じ込めず、SHOKEIが企業側の共通文脈を保持することで、各基盤の進化を取り込みながら、企業固有の知識を継続して利用できます。

顧客環境内に残る、モデル非依存の企業資産

図面、工程条件、歩留まり、不良判定、熟練動作、設備履歴は、製造企業の競争力と安全性を支える機密情報です。

SHOKEIは、顧客のオンプレミス環境を中心に運用し、これらの情報を外部の汎用モデルの学習へ供することなく、推論時に必要な範囲で参照できる構成を採用します。

基盤モデルやロボットは、技術進化と用途に応じて変更されます。一方、現場文脈は、企業が長期的に蓄積・更新すべき資産です。SHOKEIは、OpenUSD等のオープンな技術や標準的なインターフェースを活用しながら、モデルや機器と現場文脈を分離することで、将来の選択肢を維持し、現場知識の継続性とデータ主権を確保します。

想定する活用領域

- ロボット・ヒューマノイドによる作業
作業対象、工程、把持位置、動作手順、力の条件、例外処理、安全制約を、行動モデルやロボットが参照できるコンテキストとして提供します。

- 外観検査・工程監視
映像上の対象や事象と、合否基準、設備状態、前後工程、過去の不具合、対策履歴を接続し、検査判断と原因分析を支援します。

- 設備保全
映像、センサー時系列、設備構成、点検手順、修理履歴を横断して参照し、異常の解釈、点検判断、作業の引き継ぎを支援します。

- 設計・解析と製造現場の接続
設計変更の背景、製造上の制約、品質結果、現場で発生した事象を意味的に接続し、設計・解析モデルが製造実績を参照できる状態を構築します。

代表コメント

株式会社デジタルツイン総合研究所 代表取締役 黒田 佳吏夫

「フィジカルAIの競争は、個別の基盤モデルやロボットの性能だけで決まるものではありません。複数の知能を、企業固有の現場文脈へどのように接続し、一つの業務として整合的に運用できるかが、実装段階における重要な論点になります。

基盤モデルやヒューマノイドは、今後も継続的に高度化し、選択肢が増えていきます。一方、工程、品質、安全、設備、熟練者の判断は、企業の内部に蓄積される固有資産です。交換可能なモデルと、継続的に保持すべき現場文脈を分離することが、長期的なフィジカルAI戦略には不可欠だと考えています。

SHOKEIが目指すのは、特定のAIやロボットを前提とする個別システムではなく、企業が将来登場する多様なフィジカルAIを選択し、同じ現場文脈のもとでオーケストレーションできる基盤です。デジタルツインを可視化のためのモデルから、AIが継続的に参照する企業の知識基盤へと発展させてまいります。」

先行導入・共同検証のご相談について

DTRIは、以下の課題を持つ製造事業者から、SHOKEIの先行導入・共同検証に関する相談を受け付けます。
- 複数のAI、映像基盤、ロボットを、共通の現場データと業務フローへ接続したい
- 基盤モデルやロボットを変更しても継続利用できる、モデル非依存の現場知識基盤を構築したい
- 映像、3D、センサー時系列、図面、工程、品質データを意味的に統合したい
- 機密データを外部へ出さず、基盤モデルやフィジカルAIから参照させたい
- 熟練者の判断、例外処理、安全条件を、AIとロボットが参照可能な企業資産として残したい

お問い合わせいただいた企業には、SHOKEIの技術アーキテクチャ、対象工程への適用方針、オンプレミス構成、既存基盤との接続方法、共同検証の進め方を個別にご説明します。

今後の展望

DTRIは今後、SHOKEIへ現場データを登録・更新するためのインターフェース、外観検査、作業承継、設備保全、設計・解析向けのアプリケーションを順次公開します。

あわせて、AIが現場理解に不足している情報を判定し、必要な観測・取得・更新へつなげるアルゴリズムについても、今後別途発表する予定です。これにより、現場文脈を一度構築して終えるのではなく、設備、工程、環境の変化に応じて継続的に更新できる基盤へ発展させます。

また、システムインテグレーター、ロボットインテグレーター、設備メーカー、基盤モデル事業者との接続・提供体制を拡充し、企業が個別のモデルや機器に依存せず、自社の現場文脈を中心にフィジカルAIを構成できるエコシステムの形成を目指します。

「SHOKEI」の名称について

「SHOKEI」は、現場で蓄積された技術と判断を次の担い手へ引き継ぐ「承継」に由来します。引き継ぐ対象を人に限定せず、基盤モデル、エージェント、ロボット、ヒューマノイドを含む、次世代の業務実行主体へ企業固有の現場文脈を継続して提供することを表しています。

株式会社デジタルツイン総合研究所について

株式会社デジタルツイン総合研究所は、「フィジカルAIの産業実装を支える基盤をつくる」をミッションに、現実世界に作用するAIの導入基盤を研究開発するテクノロジースタートアップです。企業の機密データを外部へ出すことなく、映像、空間、時系列、業務情報を意味論的に接続し、多様なAI・ロボットが参照・連携できる現場文脈プラットフォームを開発しています。

会社名:株式会社デジタルツイン総合研究所
代表者:代表取締役 黒田 佳吏夫
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー15階
研究開発拠点:島根県雲南市
設立:2025年7月1日
事業内容:フィジカルAI/デジタルツインの研究開発および現場実装支援
Web:https://dtsoken.com/

本件に関するお問い合わせ

株式会社デジタルツイン総合研究所
E-mail:[karifu.kuroda@dtsoken.com]

※1 「フィジカルAI版RAG」は、RAGの考え方を物理空間における認識・推論・動作へ拡張したアーキテクチャを示すDTRIの表現です。RAGは、モデル内部のパラメトリックな知識と、検索可能な外部記憶を組み合わせる手法として提案されました。参考:Patrick Lewis et al., “Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks,” 2020. https://arxiv.org/abs/2005.11401
※2 NVIDIA Blueprint for Video Search and Summarization(VSS)は、ビジョンエージェントおよびAI映像解析アプリケーションを構築するためのリファレンスアーキテクチャ群です。NVIDIAおよびNVIDIAロゴは、米国およびその他の国におけるNVIDIA Corporationの商標または登録商標です。その他の会社名・製品名は、各社の商標または登録商標である場合があります。

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