AI・データ活用が社内で止まる。WeDraftが狙う情報資産管理の空白地帯
2026年6月30日、個人情報・情報資産管理プラットフォーム「Flows」 を提供する株式会社WeDraftは、DNX Venturesを引受先とするシードラウンドで1億円を調達した。調達資金は、「Flows」のサービス基盤強化、初期顧客の成果創出、組織体制の強化に充てる。
WeDraftは、株式会社Acompanyが2023年12月に立ち上げたガバナンスSaaS事業を母体に設立。経営陣が同事業をスピンアウトさせ、MBOを経て新会社として独立させた形だ。代表取締役の橋村洋希氏は、「2024年にFlowsの前身となるプロダクトβ版をリリースして以来、日本を代表する企業への支援を通じて、具体的成果の創出に加え、多くのご要望・ご期待をいただいた」とコメントしている。
Excel管理から、継続的なリスク評価へ
WeDraftが提供する「Flows」は、企業の個人情報台帳や情報資産管理をクラウド上で一元管理し、データ活用に伴う法務・プライバシー・セキュリティリスクの評価を支援するプラットフォームだ。
企業でのAI活用やDXが進む一方で、個人情報や機密情報の管理は、いまもExcelなどの表計算ソフトに依存しているケースが多い。各部門への確認、更新、棚卸し、承認に手間がかかるだけでなく、顧客データや社内データを使った新たな施策でも、法務、情報セキュリティ、プライバシー部門との調整がボトルネックになりやすい。
Flowsでは、個人情報や機密情報などの台帳登録から棚卸し、リスクアセスメント、承認ワークフロー、関連タスクの管理までをクラウド上で一貫して扱える。各社の業務運用に合わせ、アプリケーションやワークフローをノーコードで実装・カスタマイズできる点も特徴だ。
主な導入先は、データ活用を頻繁に行う大企業や、個人情報・情報資産管理の運用負荷を見直したい企業。同社は、Flowsを単なる認証取得のためのツールではなく、実際のデータ活用を進めるための基盤と位置づける。情報セキュリティ規格やプライバシー影響評価(PIA)などの考え方を踏まえ、企業が無理なく継続できるリスクマネジメントの型を提供する。必要に応じて、導入企業の業務設計や人材育成も支援する。
橋村氏によると、取材時点で、個人情報・情報資産管理とデータ活用時のリスク評価を一体で扱う国産の直接的な競合製品は限られているという。大企業のデータガバナンス領域では、コンサルティング会社がISMSなどの認証取得支援を行うケースはあるものの、認証後の運用や日々のリスク評価、台帳更新といった反復的な管理業務までは仕組み化されにくい。WeDraftは、この運用フェーズの課題をSaaSとして解決する市場を狙う。
生成AI時代のデータ活用を支える基盤に
生成AI活用時のリスク管理も対象となる。例えば、AIに入力するデータの種類、利用目的、関係部門の確認、承認状況などを記録し、関係者間での合意形成を支援する。倫理面や権利侵害など、専門的な判断が必要な領域では弁護士などの助言が必要になるが、Flowsはリスクを可視化し、検討・承認のプロセスを残す役割を担う。
2027年度以降は、AIエンジンをUI/UXに組み込み、より直感的にリスク評価や承認フローを進められる機能開発も計画している。今回の調達を機に、WeDraftはプロダクト強化と組織体制の構築を進める予定だ。
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