AIの成果差は、「目的」と「その背景」をどこまで言語化できるかで生まれる
組織行動科学(R)︎
33.8万人・980社の組織行動データ分析から見えた、AI時代の成果差。AIに作業は頼めるが、目的と背景は渡せているか? 数値目標と前例で動いてきた組織へ、「必要経験設計」と10問・3分診断を公開
AIに作業を頼むことはできる。
しかし、AIに「目的」と「その背景」を渡せている組織は多くありません。
数値目標と前例に沿って実行する経験を積み重ねてきた組織では、目的を自らつくり、その背景となる事実を確認し、前提・因果関係を言語化する経験が不足しやすくなります。
組織行動科学(R)を提供するリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は、33.8万人・980社の組織行動データ分析から見えてきたこの課題に対し、AIに渡せる目的と背景を言語化するための「必要経験設計」と10問・3分診断を公開しました。
本リリースの図解資料集をPDFでダウンロードできます。
AIに渡せる「目的と背景」を言語化するための考え方と、10問・3分の簡易診断を、社内共有しやすい図解資料にまとめました。d68315-201-ec89b6a32991dc6d691bf82d54cb739b.pdf

1. AIに作業は頼める。だが、目的と背景は渡せているか
AIに対して、「この文章を整えてください」「この資料をわかりやすくしてください」「この内容を要約してください」「この情報を比較してください」「この説明を図解してください」とは頼める。しかし、本当にAIに渡すべきなのは、作業指示だけではない。
「誰の、どの状態を変えたいのか」「なぜ、その目的が必要なのか」「その背景には、どの事実があるのか」「どの前提がずれているのか」「何と何が因果関係としてつながっているのか」。
ここまで渡せるかどうかで、AIの成果差が生まれる。

2. なぜ、組織では目的をつくる経験が不足しやすいのか
多くの組織では、目標は数値で与えられます。売上。件数。期限。KPI。達成率。前例は、過去資料、ツール、手順、フォーマット、上司の指示として与えられます。
一方で、判断基準は暗黙です。何を良いとするか。どこまで自分で決めてよいか。どこから上司確認が必要か。どの表現なら通るか。何を外すと問題になるか。これらは明文化されず、職場や現場で作業をする中で自然に身についていきます。
そのため、与えられた目標と前例に沿って実行する経験は積み重なります。
しかし、目的を自らつくり、その背景を事実・前提・因果関係から言語化する経験は不足しやすくなります。

3. 目的は、思いつきではない。背景となる事実・前提・因果関係から生まれる
目的とは、単に「何をしたいか」ではありません。誰の、どの状態を、どう変えたいのか。これが目的です。そして、その目的には背景があります。なぜ、その状態を変える必要があるのか。どの事実からそう考えたのか。どの前提がずれているのか。何と何が因果関係としてつながっているのか。
目的は、思いつきではありません。目的は、背景となる事実・前提・因果関係の上に立ちます。

4. 背景は、関係性を前提にした対話から見えてくる
背景となる事実は、資料や数字だけで見えるとは限りません。相手との関係性がなければ、相手の本当の困りごと、迷い、不安、責任、前提のずれは見えてきません。相手との対話を通じて、何に困っているのか。どこで止まっているのか。何を言葉にできていないのか。どの前提を当然だと思っているのか。何が判断を止めているのかを確かめる必要があります。

5. 判断経験は、目的と背景をつくる過程で生まれる
目的と背景は、頭の中だけでつくられるものではありません。相手と対話する。事実を確認する。前提のずれを見つける。因果関係を仮説化する。どの事実を先に見るかを決める。誰に何を確認するかを決める。どこまで自分で判断するかを決める。相手に当てて、反応を見る。結果から、次の判断基準を更新する。
この過程そのものが、判断経験になります。
つまり、AIに目的と背景を渡せる人は、AIへの指示が上手いだけの人ではありません。相手との関係性の中で事実を確かめ、目的をつくり、小さく判断し、その経験を言語化できる人です。

6. 必要経験設計とは何か
必要経験設計とは、AIに渡す「目的」と「その背景」を言語化できる人を育てるために、相手との関係性を前提にした対話、背景となる事実・前提・因果関係の確認、小さな判断、判断結果の更新、AIに伝えるための言語化を、仕事の中で意図的に増やす考え方です。AI研修は必要です。AIツール導入も必要です。プロンプトの書き方も必要です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
AIに渡す目的と背景をつくる経験がなければ、AIから出てくるものは整っていても、相手や組織の判断を動かしにくい。だからこそ、必要経験設計が必要になります。

7. AIに目的と背景を渡すために必要な5つの経験
1. 関係性をつくる経験相手の本当の困りごと、迷い、不安、責任、前提のずれは、関係性がなければ見えてきません。
2. 対話を通じて、背景となる事実・前提・因果関係を確かめる経験
目的は思いつきではありません。背景となる事実、前提のずれ、因果関係を確かめる必要があります。
3. 目的をつくる経験
目的とは、「何をするか」ではありません。誰の、どの状態を、どう変えたいのかです。
4. 小さく判断し、結果から更新する経験
何を先に確認するか。誰に関わるか。どこまで自分で決めるか。何をAIに任せるか。結果から何を更新するか。この小さな判断が、次の目的づくりを強くします。
5. AIに伝わる言葉にする経験
AIに伝えるには、暗黙知を言語化する必要があります。
相手。背景。事実。前提。因果関係。目的。制約条件。期待する変化。
ここまで言葉にできて初めて、AIは強く働きます。

8. 10問・約3分で、自社の必要経験の現在地を確認する
今回公開する「必要経験設計 簡易診断」は、社員個人のAIスキルを評価するものではありません。AIを使える・使えないを判定するものでもありません。
確認するのは、組織の仕事の中に、AIに渡せる目的と背景を言語化するための経験があるかどうかです。
点数が低いことは、悪いことではありません。どの必要経験から設計すればよいかが見えた状態です。
回答が分かれたことも、悪いことではありません。経営層、管理職、現場社員など、立場によって、見ている事実、負っている責任、暗黙の判断基準が異なることが見えた状態です。

9. 必要経験設計 簡易診断 10問
A. 関係性と対話1. 相手の困りごと、迷い、不安、責任を確認する対話の機会がある
2. 相手の反応や、言葉になっていない違和感を、次の判断材料として扱っている
B. 事実・前提・因果関係の確認
3. 目的を決める前に、背景となる事実を確認している
4. 前提のずれや因果関係を、関係者と確認する機会がある
C. 目的づくり
5. 誰の、どの状態を、どう変えたいのかを言語化している
6. その目的が必要な理由を、事実に基づいて説明している
D. 小さな判断と更新
7. 担当者が自分で判断してよい範囲、相談する条件、優先基準が明確になっている
8. 行動後の結果をもとに、次に見る事実や判断基準を更新している
E. AIに伝える言語化
9. AIに依頼する前に、目的・相手・背景・制約条件を言語化している
10. AIが出したものを、目的と背景に照らして採否・修正している

10. 診断結果の見方|点数よりも、回答が分かれた設問を見る
- 16~20点:AIに渡せる目的と背景を言語化する経験が、比較的組み込まれている状態- 10~15点:一部は組み込まれているが、人・管理職・部門による差が出やすい状態
- 0~9点:目的と背景を言語化する経験が偶然に任され、AI活用の成果が個人依存になりやすい状態
ただし、重要なのは合計点だけではありません。
どの領域が低いか。
どの設問で回答が分かれたか。
立場によって見ている事実や判断基準が違っていないか。
ここを見ることが重要です。

11. 詳細版「必要経験設計診断」について
簡易診断でわかるのは、組織全体の大まかな傾向です。詳細版では、次を確認します。
- 部署別、役職別、経験年数別の傾向
- 目的と背景を言語化できている部門・できていない部門
- 回答差が大きい設問
- 暗黙の判断基準が残っている場面
- 目的づくりが上位者に偏っている場面
- AIに作業は頼めているが、目的を渡せていない場面
- 最初に設計すべき必要経験
- 管理職が部下に判断経験を積ませるための具体策
- 現場社員がAIに渡せる目的と背景を言語化するための実践設計

詳細版診断をご希望の企業・組織の方は、簡易診断の結果とあわせてお問い合わせください。
お問い合わせ:request@requestgroup.jp
12. 代表コメント
AIによって、アウトプットの精度と速度は大きく変わった。一方で、AIに何を任せるかを決める人間側の経験がより重要になった。
AIに作業を頼むことはできる。
しかし、AIに目的を渡すには、その目的の背景となる事実・前提・因果関係を、相手との対話から掴み、言語化する必要がある。
多くの組織では、目的をつくるよりも、数値目標と前例に沿って実行する経験が積み重ねられてきた。
だからこそ、AI時代には、目的と背景を言語化できる経験を、仕事の中で意図的に増やす必要がある。


リクエスト株式会社について
リクエスト株式会社は、「より善くを目的に」を掲げ、累計980社・33.8万人(2026年6月時点)の働く人の業務経験データに基づく組織行動科学(R)を基盤に、8つの研究機関を擁する企業です。組織で働く人の思考と行動が「なぜ起こり、なぜ続くのか」を、事業環境・歴史・経験から解明し、より善く再現するための研究と教育開発を行っています。

会社名:リクエスト株式会社
代表取締役:甲畑 智康
所在地:東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
本件に関するお問い合わせ:
リクエスト株式会社 判断デザインラボラトリー
E-mail:request@requestgroup.jp

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