大阪急性期・総合医療センターがICU患者の状態把握を支援する「MeDiCU-AI」を導入
株式会社MeDiCU
大阪府基幹災害拠点病院として災害時の重症患者受け入れ最大化を目指す
地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区 総長:嶋津 岳士、病院長:土岐 祐一郎)は、株式会社MeDiCU(本社:大阪府大阪市、代表取締役:木下 喬弘)が開発した、ICU入室患者の退室可否の判断を支援する「MeDiCU-AI」を高度救命救急センター・ICU・小児HCU(以下、総称して「集中治療部門」)に導入いたします。

導入の背景
大阪急性期・総合医療センターは、大阪府より「基幹災害拠点病院」の指定を受けており、大規模災害発生時には、重症患者の集中受け入れおよび広域搬送調整の中核的役割を担っています。特に、今後発生が懸念されている南海トラフ巨大地震においては、大阪府内だけでも数千人規模の重症患者の発生が想定されており、集中治療部門の約50床のベッドを、限られた時間と資源の中でいかに迅速かつ適切に運用するかが、地域全体の救命率に直結する極めて重要な課題となります。
また、南海トラフ巨大地震のような大規模災害のみならず、新興・再興感染症パンデミック等により医療需要が急激に増大した状況においても、限られた重症医療資源を効率的に運用し、真に集中治療を必要とする患者へ適切に提供し続ける体制構築が求められます。そのためには、重症患者の状態変化をリアルタイムに把握し、病態の安定した患者を安全に一般病床へ移行させることで、集中治療部門のベッドの受け入れ能力を維持することが不可欠です。
しかし従来は、集中治療部門におけるベッド稼働状況や患者状態の把握は、医師・看護師間の経験則や口頭連携に依存する部分が大きく、「どのベッドがいつ空くのか」「どの患者が転棟可能な状態に近づいているのか」をリアルタイムに可視化・予測する仕組みは十分に整備されていませんでした。この課題は、平時におけるベッドコントロールや業務効率に影響するだけでなく、有事における受け入れ可能患者数の迅速な把握を妨げ、広域搬送調整の遅延にも繋がるリスクがあります。
今回導入するMeDiCU-AI は、過去に診療を受けた患者の統計情報に基づくリスクスコアをリアルタイムに可視化することで、重症患者管理および病床運用の意思決定を支援するAIシステムです。日常診療における重症患者のベッドコントロール高度化に加え、大規模災害時やパンデミック時においても、限られた重症ベッドリソースを最大限有効活用し、「1人でも多くの重症患者を受け入れる」体制構築への貢献が期待されています。
ICU患者の状態を統合的に可視化するAIシステムを活用することで、平時から有事まで切れ目のない重症医療支援体制を構築することや、大規模災害時にも限られた重症医療資源を最大限有効活用し、1人でも多くの重症患者を救命可能な医療体制の実現に貢献してまいります。
■ 大阪急性期・総合医療センターのMeDiCU-AI導入概要
集中治療部門の約50床全床の患者の過去の統計情報と比較した一般病棟への退室の確実性をリアルタイムで一元的に可視化します。担当医・看護師・病床管理担当者が同一の情報基盤を共有することで、退室・転棟調整の迅速化と受け入れ可能床数の即時把握が可能になります。
また、患者のバイタルサインをはじめとする情報をAIが解析し、ICU退室後に一般病棟で状態が悪くなり集中治療部門へ再入室するリスクを、過去の患者の診療経過をもとにした統計情報としてスコアリングします。適切な患者を一般病棟へ転棟させることで、集中治療部門のベッドの回転率を高め、次の重症患者を受け入れるキャパシティを確保します。
災害発生時に多数の傷病者が発生した場合、本システムにより、集中治療部門全体の現在の受け入れ可能ベッド数を迅速に把握できることに加え、数時間以内に新たに確保可能となるベッド数についても継続的に評価を行うことが可能となります。これにより、災害発生直後からDMAT(災害派遣医療チーム)等への情報共有や広域搬送調整を迅速化し、重症患者受け入れ体制の早期構築に繋げます。
さらに、災害時のように人的リソースが限られる状況においても、患者ごとの状態を客観的に可視化することで、経験則のみに依存しない集中治療部門のベッド管理を支援します。再入室リスクが低い患者を計画的に一般病棟へ移行することで、集中治療部門のベッドをより重篤な災害患者のために迅速に確保できる体制構築が期待されます。

病棟ごとに退室の不確実性が高い患者さんを色で強調

大阪急性期・総合医療センター 高度救命救急センター長 藤見聡 コメント新型コロナウイルス感染症パンデミックでは、重症患者数の急増により、集中治療を必要とする患者に対して十分な医療資源を確保することの難しさを経験しました。ICUを退室した患者の再増悪による再入室や、重症患者を受け入れるベッドの不足など、医療需給バランスが大きく崩れる場面もありました。
その経験を通じて、患者状態を客観的なデータに基づいて把握し、適切なタイミングで退室・転棟を支援することで、限られた重症医療資源を最大限有効活用する重要性を強く認識しました。
今回のMeDiCU-AI導入により、集中治療部門全体の状況をより統合的に把握し、平時の病床運用の高度化に加え、大規模災害や感染症流行など医療需要が急増する局面においても、重症患者を迅速かつ適切に受け入れられる体制構築につなげたいと考えています。
基幹災害拠点病院として、データとテクノロジーを活用しながら、地域の皆さまに安心して医療を受けていただける医療提供体制の強化に取り組んでまいります。

MeDiCU 代表取締役 木下喬弘 コメント災害医療の現場では、院内における重症患者の状況を継続的かつ正確に把握することが極めて重要です。私自身、救急医・DMAT隊員として2016年の熊本地震に派遣された経験があります。混乱を伴う災害医療の現場では、「どこに重症患者がいるのか」を分かりやすく可視化することが、迅速な判断と患者の救命につながることを強く実感しました。
MeDiCUは、日本の救急・集中治療の現場から収集された約20万症例の医療データを活用し、AIによる重症患者の可視化と業務効率化を支援してきました。このシステムを災害医療の現場にも展開することで、医療従事者の迅速な意思決定を支え、「災害に強い医療づくり」に大きく貢献できると確信しています。
■ 「MeDiCU-AI」について
MeDiCU-AIは、MeDiCUが構築した救急・集中治療領域の世界最大規模のデータベース「OneICU」を活用して開発された医療現場が抱える様々な課題の解決を支援するAIです。医療現場では、1分1秒を争う状況の中で迅速な判断が求められる一方、人手不足などによる医療従事者の業務負担の増加や医療データ管理の複雑化など、多くの課題が指摘されています。
MeDiCUは、今回大阪急性期・総合医療センターで導入するプログラムに加え、それぞれの医療機関が抱えている課題をもとに複数のプログラムの開発を進行中です。今後も医療従事者の声に寄り添って、医療従事者の業務の効率化や医療の質の向上に繋がる様々なプログラムを開発してまいります。
■ 救急・集中治療のデータベース「OneICU」について
通常ICUの診療データは、病院ごとに異なる形式で記録されており、さらに分単位で次々と蓄積されていく大量のデータを扱う必要があるため、これらを統合した大規模なデータベースの構築は不可能に近いとこれまで考えられてきました。MeDiCUが提供する「OneICU」は、その膨大な非構造化データ(=統一性のない医療データ)を自然言語処理や臨床現場に則したデータクリーニングの技術を用いて構造化したデータベースです。
多施設共同研究を通して収集された約20万症例(※1)の生体情報測定値は、自然言語処理の技術を用いて標準化し、1つの形式に統合されたデータベース「OneICU」として医療およびヘルスケア領域を巡る、様々な業界で活用が始まっています。
ICUの診療記録は、医療機関ごとに異なる電子カルテシステムに記録されているため、複数の病院のデータを用いた研究を実現することは容易ではありません。「OneICU」は、医師がテキスト入力した病名を自然言語処理の技術で正規化・標準化するだけでなく、薬剤投与や人工呼吸器の使用情報などの構造を統一することで、従来のデータベースでは実現不可能な現実の医療現場に即した活用を実現します。
※1:2026年3月時点

■ 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センターについて
大阪急性期・総合医療センターは、大阪府の基幹災害拠点病院として、府内の災害医療体制の中核を担っています。平時には、災害拠点病院に対する災害医療研修や訓練を実施するとともに、近畿2府6県の基幹災害拠点病院や行政機関と連携し、広域災害医療体制の整備・強化に取り組んでいます。
大規模災害発生時には、消防機関や災害拠点病院などと連携し、医療班派遣、患者搬送、多数傷病者の受け入れ、病院間搬送調整などを担い、大阪府の災害医療活動の中心的役割を果たします。
■ 株式会社MeDiCUについて
AIの活用により医療従事者の業務を効率化することは、地域の医療格差をなくし、公平な医療をすべての患者さんに対して提供すること、そして多くの命を救うことにもつながります。MeDiCUは、高精度の医療データ×AI開発で、すべての人が医療とテクノロジーの進歩の恩恵を受けられる未来を実現します。
【 社 名 】 株式会社MeDiCU
【 本 社 】 大阪府大阪市東成区東中本1丁目15-23
【 U R L 】 https://www.medicu.co.jp/
【 設 立 】 2023年9月
【 役 員 】 代表取締役 木下 喬弘
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