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自由とインスピレーションが変革者を生む ウィーンのスタートアップフェス「ViennaUP 2026」開幕

 オーストリア・ウィーンで年々注目が高まっている都市分散型スタートアップフェスティバル「ViennaUP 2026」。今回は2週間にわたって開催されるが、ビジネスサイドの本格的なプログラムが展開される2026年5月18日に、グランドオープニングが歴史的建造物であるウィーン市庁舎(Wiener Rathaus)の祝典ホールで開催された。世界91カ国から1万人を超えるスタートアップ関係者が集う本イベントの開幕の様子を現地からお届けする。

100年以上の歴史を持つ「自由とインスピレーションの空間」での幕開け

 グランドオープニングの舞台となったウィーン市庁舎は、1872年から1883年にかけて建設されたネオゴシック様式の重要建築物だ。建設には約3000万個のレンガと4万立方メートル以上の自然石が用いられたという。今回会場となった祝典ホールは、長さ71メートル、幅20メートル、高さ18.5メートルという壮大で豪華絢爛なスケールを誇り、普段は舞踏会などの会場として利用されている。1500組がワルツを踊れるほどの広さを誇る。君主制の時代に建てられながらも、当時から王の席は設けられず、「自由とインスピレーションの部屋」としての精神が込められているという。スタートアップが集う場として、これ以上ない舞台と言えるだろう。国を挙げて、このイベントを盛り上げるという思いも伝わってくる。

 オープニングでは、ウィーン市の社会問題・保健・スポーツ担当執行市議会議員であるピーター・ハッカー氏が登壇。同氏は「私が最も関心のあるイノベーションとは、現実の生活において、現実の人々のために機能するイノベーションである」と語り、現実の社会課題を解決するビジネスが生まれることへの期待を示した。

 続いて、イベントを主導するウィーンビジネスエージェンシー(Vienna Business Agency)のマネージングディレクターであるドミニク・ワイス氏と、創業者・スタートアップ部門長であるガブリエーレ・タッツベルガー氏が歓迎の言葉を述べた。ワイス氏は、参加者とウィーンの街に共通する点として「オープンマインド、多様性、革新性」を挙げ、ビジネスの成功とともに社会的責任やインパクトを重視するウィーンの姿勢を強調した。

「1%の変革者」が社会システムを変える

 特別基調講演にはスウェーデン出身でウィーンを拠点に活動する連続起業家、フレドリック・デボング氏が登壇。同氏は、ゲーム性を取り入れた糖尿病管理アプリ「mySugr」の共同創業者として知られている。「mySugr」は、心理学、ゲームデザイン、医療コンピューターサイエンスを組み合わせた事業で、米国食品医薬品局(FDA)の認可を取得し世界で展開されている。

 デボング氏は、「人口の約1%は、敷かれたレールを歩かず、新しい価値を創造するために外の世界へ踏み出す『変革者』である」とし、起業家精神の本質を語った。また自身の経験から、社会のシステムを変えるためには誰かが最初の一歩を踏み出す必要があり、そこにイノベーションが生まれると熱弁。参加者に対し、「ただの仕事ではなく、社会に価値をもたらす大きな目標を追求してほしい」とメッセージを送った。

「つながり」を加速させる実践的なネットワーキング

 今年で6回目を迎えるViennaUPは、コミュニティー主導の分散型スタートアップフェスティバルである。単なる巨大展示会ではなく、参加者同士の密度の高い交流に重きを置いているのが特徴だ。オープニング中のリアルタイムアンケートでも、参加者が本イベントに最も期待しているのは「新しいコネクション」や「ネットワーキング」であった。

 フェスティバルに参加する証として、参加者には専用のリストバンドが配布される。期間中毎日、参加者がいつでも集まれる場所としてカールス教会前の広場が「ホームベース」として設けられており、そこでリストバンドを提示すれば、無料で提供される地元のワインやビールなどのアルコール類、軽食を楽しみながら自由にネットワーキングを行なうことができる「分散型イベント」でありながらも、こうした参加者同士がいつでも合流できる拠点が用意されている点は、新たなビジネスの縁を繋ぐ上で大きな役割を果たしている。

 ViennaUP 2026では、5月22日までマッチメイキングやピッチングなど65以上のイベントが市内各所で展開される。ウィーンの街全体を舞台に、革新的なアイデアとグローバルな資金、そして多様な人材がどのように結びつき、新たなビジネスを創出していくのか楽しみだ。

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