完全にハゲても生える?幹細胞で毛根を再生する研究が進んでいる
カラフルヘアと毛根の不安
最近、アニメキャラのような鮮やかな髪色に染めた若者をよく見かけるようになった。一度真っ白になるまでブリーチしてからカラーを重ねるという。大きなお世話だろうが、「毛根がボロボロになって薄毛まっしぐらでは?」とつい心配になってしまう。ところが美容師さんによると、昔に比べて薄毛で悩む人は減っているらしい。
薄毛治療は“守る”から“再生”へ
その理由のひとつが、ここ数年で急速に進化したAGA治療だ。治療薬としては、抜け毛を抑制するフィナステリドやデュタステリド、発毛を促すミノキシジル(市販薬でも知られる)が代表的。ただし、これらは「毛根が完全に失われたら終わり」という限界があった。
しかし、この限界も突破できるかもしれない。
髪の毛は「毛包(もうほう)」と呼ばれる組織から生えてくる。ここには“毛包幹細胞”という、髪をつくり出す司令塔のような細胞がある。加齢やストレスでこの細胞がダメージを受けると毛根が機能を失い、二度と髪が生えてこなくなるわけだ。
東京医科歯科大学発スタートアップの株式会社イーダームは、この毛包幹細胞を使って新しい毛根をつくり直す研究を進めている。つまり「失われた毛根を再生させて、そこからもう一度髪を生やす」アプローチだ。動物実験では、移植した毛包幹細胞から実際に毛が生えることが確認されており、“完全にハゲても復活できる”未来が現実のものとなりつつある。
ロート製薬が出資、実用化に現実味
実用化を後押しするのが、2025年6月のロート製薬による出資。大手製薬会社が資本を投じたことで、研究段階にとどまらず、製品化や治療法として広がる未来が見えてきた。将来、「幹細胞で毛根を再生する」のが育毛クリニックの当たり前になるかもしれない。
髪へのこだわりは数千年の歴史
「薄毛は治らない」という常識が覆るなら、髪のことをそこまで気に病まずにすむ時代が来るのかもしれない。そう考えると、派手なカラーリングも怖くない。
ちなみに、染髪は紀元前3000年頃のエジプトですでに行われていたとされる。トレンドは移り変われども、人類の髪へのこだわりは数千年たっても変わらない。もはや本能と言ってもいいかもしれない。














































