いい意味でアルファ・ロメオらしくない
クセのないキビキビとした走り
ステアリングコラムから生えるパドルシフトには不満げのゆみちぃ部長ですが、文句はコレだけ。「すごく静か!」とゆみちぃ部長は感嘆の声をあげます。「乗り心地もいいですね」とも。
強いて運転中に気になったのはブレーキのフィールで、初期制動よりも速度調整に振った、踏力通りに止まる感覚に「なんか、ねっとりした感じですね。慣れれば平気ですが」と最初は戸惑っていました。
トナーレは、細部まで行き届いたイマドキのクルマなのですが、良くも悪くもアルファ・ロメオらしさが少し希薄なのです。アルファ・ロメオは「どこかクセがあるんだけれど憎めない」クルマであるハズなのに……。
それは走りの面にも言えることで、同社のSUV「ステルヴィオ」は全体的にロールし、柔らかさを覚える乗り味。スポーツセダンである「ジュリア・クアドロフォリオ」でも同じ傾向で、それが首筋を真綿でくすぐられるかのような心地よさと、運転の楽しさを与えていました。
トナーレはというと、足は少し硬めでスポーティーさを感じさせるもの。キビキビとした走りは、ワインディングなどで「さすがアルファ・ロメオ。SUVでもハンドリングマシンを作ってくるなんて偉いぞ」と思ったりもします。それはそれで結構なのですが、ほかの現行アルファ・ロメオとはかなり傾向が違うと感じました。
そこで筆者の記憶を呼び起こすと、ジュリエッタがロール少なめのキビキビ系だったので、「トナーレはジュリエッタ寄りのクルマ」と思えば、なるほどアルファ・ロメオなのかなと納得できました。
スポーツモードも試しました。足はいっそう引き締まり、エンジンがメインの動きに。気分が高まる排気音ではないものの、モーターと上手く連携しながら、俊足を見せつけ、ドライバーを魅了します。
クルーズコントロールも試したところ、バッチリ動作しました。
燃費だって高速6:街乗り4の割合で、13.8km/hをたたき出して優秀です。
「初めてのPHEVで、こんなに完成度が高いの?」というのが正直な感想。回生が強すぎてギクシャクした走りになったりせず、滑らかな走りと、ちょっと硬めだけど上質な乗り心地、豊かな装備面と質の高いインテリアに、多くの人は不満は出ないハズ。よくぞここまで作り上げた! と感服しました。十分オススメできるクルマに仕上がっていました。
電動化でアルファ・ロメオがどのように変化していくのか、見守っていきたいと思います
この連載の記事
-
第487回
自動車
Hondaのセダン「アコード」はすべてが適度でちょうどいい! 5つの魅力を紐解く -
第486回
自動車
これぞ王道! これぞ本流! BMWの魅力を凝縮したSUV「X5」は最高の1台と断言する -
第485回
自動車
1000万円対決! ポルシェ「マカンT」とアウディ「SQ5」似て非なる2台をあらた唯と徹底比較 -
第484回
自動車
日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞のHonda「FREED」の魅力と買いのグレードはコレだ! -
第483回
自動車
【ミニバン売れ筋対決】ホンダ「フリード」とトヨタ「シエンタ」の良いところと微妙なところ -
第482回
自動車
これがBMWの未来! フラッグシップEVの「iX」は乗り心地良すぎで動くファーストクラス -
第480回
自動車
独特なデザインが目立つルノーのクーペSUV「アルカナ E-TECH エンジニアード」はアイドルも納得の走り -
第479回
自動車
レクサスのエントリーSUV「LBX」は細部の徹底作り込みで高級ブランドの世界観を体現した -
第478回
自動車
レクサスの高級オープン「LC500 コンバーチブル」は快適さのその先を教えてくれる -
第477回
自動車
BMWの都市型SUV「X4」は直6エンジンならではのパワフルな走りがキモチイイ! - この連載の一覧へ