迂回出力を利用すれば禁断のフレーム生成の“二度づけ”も可能
今回のテスト環境はCPU内蔵GPUがRDNA 3ベースのRadeon 780M、ビデオカードがRTX 4070 Tiという構成を採用したが、この組み合わせでは、ビデオカード側でDLSS FG(Frame generation)によるフレーム生成をした映像に対し、内蔵GPU側のRadeonでAFMF(AMD Fluid Motion Frames)を利用したフレーム生成を適用できる。つまりフレーム生成の“二度づけ”も可能なのだ。
そこでここでは『Call of Duty』を利用し、DLSSやフレーム生成を一切入れないネイティブ出力時から、DLSSのフレーム生成だけを適用した状態、さらにAFMFも適用した二度づけ状態でフレームレートがどう伸びるかを検証する。
Call of Duty(Modern Warfare III)にはゲーム内蔵ベンチマークがあるが、現状これは機能していないため、射撃練習場で延々と射撃を行った際のフレームレートをCapFrameXで計測した。このシーンはこの後のE-Eシステムレイテンシー検証でも利用するため、画質は“低”かつレンダースケールは100%設定のみとした。DLSS FG適用時はDLSS“バランス”やNVIDIA Reflexも同時に併用するものとする。解像度はフルHDのみである。
一番上のネイティブ解像度のレンダリング時から、DLSSによるフレーム生成を適用することで平均フレームレートは1.7倍以上に伸びた。そして迂回出力時にAFMFもさらに追加してやると、そこからフレームレートはさらに伸びる。どうしてもフレームレートを稼ぎたい、という人にはこういうやり方もある(ただかなり邪道ではあるが)。
迂回出力には大きなデメリットもある
ここまでの話だけ見ると迂回出力はビデオカード直出しと性能は大差なく(Minecraftのような例外もあるが)、さらに内蔵GPU次第ではフレーム生成の二度づけも可能と魅力的なテクニックのように見えるかもしれない。だがここからはデメリットの話が中心となる。
まず一番のデメリットは、ビデオカード側のGPU特有の機能が利用不可になることだ。今回のようにCPU内蔵GPUがRadeon、ビデオカードがGeForceという組み合わせで迂回出力をした場合、GeForce特有の機能のうち、ディスプレー出力に紐付いた機能については利用不可になる。
具体的には「G-SYNC(Compatible含む)」や「RTX Video Super Resolution(RTXビデオ強調)」等だ。折角のGeForceの強みを迂回出力で殺してしまうことになる。ただ、ゲームグラフィックやGPGPU関連の機能(DLSS FGやCUDA等)は迂回出力をしてもそのまま利用できる。

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