連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第106回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 10月21日~10月27日
行政デジタルサービスの定期利用は世界25%・日本14%、AI投資意向で日本は先行、余暇市場動向、ほか
2023年10月30日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2023年10月21日~10月27日)は、AIを含むデジタル・インフラへの投資動向、データ主権に対する世代別意識、行政デジタルサービスへの利用率や課題、コロナ禍以後の余暇市場動向についてのデータを紹介します。
■[AI][IT支出]AI投資意向で日本が先行、ITインフラ支出の原動力は「セキュリティ」がトップ(Coltテクノロジーサービス、10月24日)
・AIの導入で進んでいるのは「日本」と「シンガポール」
・日本でAI活用が進んでいるのは「サービス/製品導入」(55%)、「営業」(53%)、「人事」(53%)
・日本における今後1~2年のIT/テクノロジー支出の原動力は「セキュリティ」(24%)がトップ
日本を含む世界7カ国で、5000人以上の企業に勤務するIT意思決定者755人を対象に、デジタルインフラへの投資意向について聞いた。回答者の92%が、生成AIなどのインテリジェント・デジタル・インフラに「投資済み/投資する意向」と回答、支出額は今後12カ月間で平均17%増の予測となった。また、日本における今後1~2年のIT/テクノロジー支出の対象は「セキュリティ」が1位、「AI」が2位だった。
■[消費者][プライバシー]18~24歳の42%が「自分の個人データについて問い合わせ経験あり」(シスコシステムズ、10月20日)
・「自分の個人データについて問い合わせ経験がある」18~24歳の消費者は42%
・AIへの個人データの使用が原因で「相手組織への信頼を失った」消費者は60%
・「生成AIに個人情報を入力しない」意識を持つユーザーは半数
日本を含む12カ国、2600人以上を対象とした「シスコ 2023年消費者プライバシー調査」より。企業/組織が保有している自分のデータについて問い合わせた経験があるという回答者は、18~24歳で42%、75歳以上では6%と、若い消費者のほうがデータ主体としてのアクセス権を行使していることがわかった。また生成AIを日常的に使用する人は12%だったが、「個人情報や機密情報を生成AIに入力しない」という回答はそのうち半数にとどまった。
■[消費者][トレンド]行政デジタルサービスの定期的利用は14%、アクセスの課題は「セキュリティ」が最多(デロイト トーマツ グループ、10月24日)
・デジタルチャネルで行政と頻繁に/常にやり取りしている人は14%(世界は25%)
・行政デジタルサービスの利用は「今後増加する」は55%(世界は44%)
・アクセスの課題は「個人データのセキュリティ」が46%で最多
世界13カ国の5800人(うち日本は400人)を対象に、市民向け行政デジタルサービスの利用動向を聞いた。「デジタルチャネルを通じて行政と頻繁に/常にやり取りしている」という回答は、世界平均で25%。日本は13カ国で最低レベルの14%だった。ただし「今後使用が増加する」という日本の回答は55%と、世界平均の44%を上回っている。行政デジタルサービスにアクセスするにあたっての課題としては「個人データのセキュリティ」(日本46%、世界34%)、「個人データのプライバシー」(日本44%、世界36%)が上位だった。「データが完全に暗号化され、安全であることが明確ならば、政府機関とデータを共有したい」(日本72%、世界76%)という回答も。
■[消費者]2022年の余暇市場は前年比12.7%増、「国内観光旅行」がトップ(日本生産性本部、10月26日)
・余暇関連市場規模は62兆8230億円、前年比12%増
・余暇活動は「国内観光旅行」がトップ、次いで「動画鑑賞」「読書」
・1人あたり平均参加種目数は10.1種目、前年比0.4種目増
同団体の余暇創研が10月31日に発行する「レジャー白書2023」より。2022年の余暇活動状況について調べたもので、2022年の市場は62兆8230億円。前年から12.7%増加したが、コロナ前(2019年)の市場規模には戻っていない。最も多い種目は「国内観光旅行」で、「動画鑑賞」「読書」と在宅レジャーが続いた。「観光・行楽」は前年比31%増、「スポーツ」は7.8%増、「趣味・創作」は6%増、「娯楽」は11.3%増。
余暇市場の推移(1994~2022年)。回復の兆しは見られるがコロナ前の水準には戻っていない(出典:日本生産性本部)
「仕事重視」か「余暇重視」かでは、余暇重視が増加傾向にある(出典:日本生産性本部)

この連載の記事
-
第211回
ITトピック
要件定義をAIが支援し「工数を半分以上削減」7割超/“日本独自のAI推進モデル”が判明/AIセキュリティ導入の課題、ほか -
第210回
ITトピック
生成AI普及後も「IT技術者採用は減らない」が約8割/今後5年で倍増のデータセンター電力消費、3分の2は米国・中国、ほか -
第209回
ITトピック
脆弱性のあるVPN機器、6割の企業が「すぐ特定できず」/来年注目の“11のIT戦略テーマ”発表/管理職の半数が「燃え尽き」を経験している、ほか -
第208回
ITトピック
日本のクレカ情報、闇市場では世界一高値で売買/東京が2年連続で世界一、DC建設コスト/誤情報・偽情報への企業対策が加速、ほか -
第207回
ITトピック
人事評価に6割超が自己評価との「ギャップ」感じる/“AIの波”を生き延びるための技術トレンド/AIプロジェクトの6割超がPoC止まり、ほか -
第206回
ITトピック
IT技術者として何歳まで働く? 40代と60代の意見差/年率66%で急成長の「DAP」市場/フリーランス新法施行1年で改善実感の声、ほか -
第205回
ITトピック
ランサム被害企業の3割が「繰り返し被害に遭った」/インフラ技術者の年収アップに効く資格取得/AIに雇用を奪われるのは若手人材? ほか -
第204回
ITトピック
技術学生の大手SIer就職人気が躍進、その理由/成長率37%“急速拡大”の国内AI基盤市場/物価上昇で退職金の実質減少が続く、ほか -
第203回
ITトピック
1件のセキュリティ事故が281社に影響連鎖、恐ろしいサプライチェーンリスク/シニア人材がプロとして働くモチベーションは? ほか -
第202回
ITトピック
ICT求人の8割で「AIスキル」が職務要件に/経営層が熱望するソフトウェア革新/セキュリティのハイプサイクル発表、ほか -
第201回
ITトピック
顧客接点にデジタルヒューマンが浸透/「週休3日」求人はこの5年で5倍に増加/iPhone 16eが期待外れだった理由、ほか - この連載の一覧へ











