佐々木喜洋のポータブルオーディオトレンド 第228回
Bluetoothのブロードキャスト技術
Bluetoothの新技術Auracastを体験、空港や講演会場での活用を提案
2023年10月22日 17時00分更新
自分の動画や音楽だけでなく、アナウンスやシェアも
CEATEC会場でのデモは、海外の講演を聞きに行くという想定で、途中の空港でAuracastを体験するというシナリオだ。参加者はイヤホンとスマホを受け取り、片耳にイヤホンを入れてAuracastの音声、別の耳で解説者の話を聞きながらツアーを進める。
まず、搭乗までの時間を潰すという想定で、スポーツバー風の空港のラウンジに行く。壁には二台のテレビが設置され、それぞれバスケットボールとサッカーの中継が放送されている。テレビは無音で、画面だけが見られる状態だ。
ここで参加者がスマホアプリから「TV1」と書かれたチャンネルを選択すると、イヤホンからサッカーの音声を聴けるようになる。自分だけでなく、ほかの参加者のイヤホンにも同じ音声が聞こえているので、ブロードキャストされていることがわかる。バスケの試合を見たい人は「TV2」を選択すれば、その実況が聞こえる。とても効果が分かりやすいデモだ。
続いて、搭乗ゲートを模したコーナーに移る。ゲート付近の椅子に、Daveというマネキン(私の友人という設定)がいてノートPCの動画を楽しんでいる。Daveはイヤホンを使っているので、私には聞こえないが、スマホアプリで「Dave's PC」を選択すると、私のイヤホンでも動画の音声が聞こえるようになる。同じ場所には、さらにLoriという友人もいる。Loriはスマホで音楽を楽しんでいる。そこで「Lori's Phone」を選択すると、彼女と音楽を一緒に楽しむことができる。
ちなみにこのLoriのケースは、CEATECで追加された独自のシナリオである。DaveとLoriのケースではチャンネルの選択時にパスコードの入力が必要となる。Auracastではセキュリティ上の配慮があることも知ることができた。
さらに、搭乗ゲート付近で「搭乗ゲートB23」というメニューを選択すると、搭乗案内がイヤホンから聞こえてくる。また、アプリが日本語に翻訳されていることもわかる。空港での音声案内は、騒々しい中で不明瞭なスピーカーの音を聴かないといけない場合も多いが、これならばはっきりと聞き取ることができる。音楽を聴いていてもいちいちイヤホンを外す必要がないし、耳が不自由な人は補聴器でアナウンスを聞こともできるだろう。
最終的に参加者はカンファレンスの会場に到着。会場でもAuracastを用いて、自分のイヤホンで講演内容を聞くことができる。この時、同時通訳の音声など、チャンネルを合わせて聞きたい音声を選ぶこともできる。
このようにAuracastはさまざまな場面で応用できる。東京の山手線では車内にディスプレーが設置されており、無音でCMなどが流れているが、その音声をAuracastで聞けると便利だろう。また、ライブ会場などで、イヤホンを前提としたASMR音声を楽しむといった応用もできるはずだ。
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