ネックはハードウェアの価格、大型になるほど高コストに
Looking Glassの技術は、様々な使い道が模索されています。裸眼立体視のメリットは、VRゴーグルなどの専用ハードを使わなくとも立体的な映像を誰もが同時に見ることができる点です。SIGGRAPHのNVIDIAブースではビデオ通話向けの技術として提供していました。背景を削除してDepthを整理し、座るとアバターとしゃべれますよという内容です。順当なアップデートですが、なかなか広がっていないのが実情です。
ただし、最大の弱点は、本格的に産業利用しようとするとハードの価格がネックになってしまうことです。Looking Glassのレンチキュラーレンズは層を何枚も重ねてディスプレーを作っていく方式なのですが、特性上コストを下げることが難しく、大型化しようとするとコストが非常に上がります。Looking Glassには32インチ版と64インチ版も存在しますが、32インチ版の価格は2万ドル(約290万円)で、64インチは未公表。本格的なモニターとして使える普及機をなかなかリリースできないという状態です。
とはいえ、立体視の可能性をお手軽に楽しむには、環境が整ってきており、特に画像生成AIとの組み合わせにはとても向いているハードです。VRゴーグルとはまた違った魅力があるガジェット好き心をくすぐるハードには違いありません。現在、Blocksのリリースに合わせてLooking Glass Portraitは日本とアメリカだけの期間限定で100ドル値下げされ、299ドルで販売されています。もう少しその魅力が知られるといいんだけどなあ……と思っています。
この連載の記事
-
第84回
AI
画像生成AI「Stable Diffusion 3.5」性能はものたりないが、自由度が高いのは魅力 -
第83回
AI
リアルすぎてキモい 動画AIの進化が止まらない -
第82回
AI
もはや実写と間違えるレベル 動画生成AI「Runway」の進化がすごい -
第81回
AI
AIイラスト、こうしてゲームに使っています -
第80回
AI
ゲーム開発はAI活用が当たり前になりつつあるが、面白さを作り出すのは人間の仕事 -
第79回
AI
AIが考える“アイドル”がリアルすぎた グーグル「Imagen 3」なぜ高品質? -
第78回
AI
話題の画像生成AI「FLUX.1」 人気サービス「Midjourney」との違いは -
第77回
AI
画像生成AI「FLUX.1」が相当ヤバい LoRAで画風の再現も簡単に -
第76回
AI
「Stable Diffusion」の失敗に学び、画像生成AIの勢力図を塗り変える「FLUX.1」 -
第75回
AI
商業漫画にAIが使われるようになってきた -
第74回
AI
AIバブル崩壊をめぐって - この連載の一覧へ