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JAXAと研究開発したAIロボットシステムが100%の精度で曲線も含む柔軟物のファスナーの開閉作業を実現

PR TIMES

株式会社エクサウィザーズ
~宇宙飛行士の作業効率化に向けた有人宇宙拠点でのAIロボットによる作業自動化・自律化検討の取り組み~

株式会社エクサウィザーズ(東京都港区、代表取締役社長:春田 真、以下エクサウィザーズ)は、国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構(本社:東京都調布市、理事長:山川 宏、以下JAXA)と共同で実施している、有人宇宙拠点内クルー作業の自動化・自律化に向けた技術検討の取り組みにおいて、さまざまな用途に合わせて学習できる汎用性の高い模倣学習プラットフォームを開発しました。そして、同プラットフォームを活用し、物資輸送用バッグのファスナー開閉等、従来の技術ではロボットによる自律操作が困難だった作業を、対象物の位置を固定した環境下において100%の精度で実現可能なAIロボットシステムを構築したことをお知らせします。



(画像提供:JAXA/NASA)

☑︎宇宙飛行士の作業効率化に向け、柔軟物を対象としたロボットの自律操作に課題
 現在、国際宇宙ステーション(ISS)では宇宙飛行士による船外作業のリスク低減や、作業の効率化に寄与する船外ロボットアームが活躍しています。将来的にロボットによる作業の補助の幅を更に広げ、船内でも宇宙飛行士をサポートするためには、人の手による取り扱いを前提とした柔軟な素材の操作が必要となります。
 しかし、従来のロボット技術では物資輸送用バッグ (Cargo Transfer Bag、以下CTB)やケーブル類といった形状が変化する対象を通信の遅延がある環境で操作することは困難であるほか、操作対象のサイズや質量が作業の精度に影響を与えやすいという課題がありました。

 このたび当社は上記のような課題の解決に向け、マルチモーダルデータを活用して工程の自動化・最適化を可能にするロボットAIソリューション「exaBase ロボティクス」の技術アセットを活用することで、さまざまな用途に合わせて学習できる汎用性の高い模倣学習プラットフォームを開発しました。そして、同プラットフォームを活用して構築したAIロボットシステムにより、従来のロボットでは自律操作が困難だったCTBのファスナー開閉等を対象に、適用性の評価および実機におけるデモンストレーションを実施しました。

☑︎曲線も含む柔軟物のファスナー開閉作業を100%の精度で実現
 ロボットが柔軟物のファスナーを開閉する作業は高度な模倣学習・予想学習技術を必要とするため、従来の技術では実現することが困難でした。しかし、当社顧問で早稲田大学理工学術院基幹理工学部表現工学科の尾形哲也教授の論文により、視覚と触覚の情報を併用することで、対象物の位置を固定した状況下において直線上のファスナーを開ける作業が約93%の精度で可能となることが発表されました。
 本取り組みでは、同論文で使用されたモデルアーキテクチャーをもとに開発を行い、AIロボットによる柔軟物のファスナー開閉作業を、以下の3点においてより実用性の高いレベルで実現しました。 

(1) 触覚に代わり力覚(関節モータ電流から推定したトルク値)を用いて、柔軟物におけるファスナーの開閉作業を実現
(2) 直線だけでなく曲線も含む柔軟物のファスナー開閉作業を、対象物の位置を固定した状況下において学習させ、その固定位置における操作を100%の精度で実現
(3) 上記条件に加え対象物の位置を左右にずらして学習させ、その後、学習条件とは違う位置に動かした条件下においても、曲線を含むファスナー開閉作業を80%以上の精度で実現

 今後は、同作業の宇宙での適用に向けて、対象物の場所や形だけでなく、重力環境が変化する状況下においてもさらに高い精度で作業が実施できるよう、開発を進める予定です。

☑︎全てをROSベースで実装、将来的なロボットの変更等に対応可能なAIロボットシステム
 システムが特定のハードウェアやソフトウェアに依存する場合、将来的なシステムの更新や交換に制約が生じる可能性があるほか、異なるロボット間の通信や互換性が複雑化することで、時間と開発コストが大幅に増加する可能性があります。
 本AIロボットシステムは、拡張性および汎用性の高いオープンソースのロボットソフトウェアプラットフォーム「ROS(Robot Operating System)」および開発環境の変更にも柔軟に対応可能なオープンプラットフォーム「Docker」をベースとしたシステムにすることで、上記のような課題を解決しています。これにより、将来的なシステムの更新や交換が必要になった場合においても、時間と開発コストを抑えながら一貫性をもったシステム運用が可能です。

 エクサウィザーズは、exaBase ロボティクスの技術アセットおよびノウハウを活用することで、有人宇宙活動における定型作業の自動・自律化の実現を通じた、持続可能な宇宙産業の発展への貢献を目指します。
 そして、本取り組みにより蓄積したAI×ロボットにおける技術の応用により、今後も日本企業全体の生産性向上をはじめとしたさまざまな社会課題の解決に取り組んでいきます。

☑︎コメント
早稲田大学 理工学術院基幹理工学部表現工学科教授 尾形哲也氏
 我々の「深層予測学習」は、ピック&プレイスや引き出し開けといった単純な動作ではなく、視覚、触覚、力覚などを組み合わせ、粘性流体や柔軟物体の操り動作を模倣学習する手法です。このエクサウィザーズとJAXAの共同研究の成果は、この特性を最大限に活かした興味深い応用事例だと思います。今後の展開に大いに期待しています。

☑︎「exaBase ロボティクス」とは
 AIプラットフォーム「exaBase」のロボット向けAIとして、対象物の画像データ、現場機器・ロボット制御データやシミュレータ生成データ等、様々なマルチモーダルデータを活用して工程の自動化・最適化を可能にするロボットAIソリューションです。単純作業の代替や熟練者の動作再現等、様々なシーンで活用することができます。
サイトURL:https://exawizards.com/exabase/robotics/

※exaBaseはエクサウィザーズの登録商標です。

【株式会社エクサウィザーズ 会社概要】
会社名 :株式会社エクサウィザーズ(証券コード 4259)
所在地 :東京都港区東新橋1丁目9−2 汐留住友ビル 21階
設立  :2016年2月
代表者 :代表取締役社長 春田 真
事業内容:AIを利活用したサービス開発による産業革新と社会課題の解決
URL  :https://exawizards.com/