エッジAIの領域で強みをアピールするクアルコム PC向けCPU「Oryon」搭載機は2024年に登場
2023年06月03日 09時00分更新
クアルコムは台湾・台北で開催中のCOMUPUTEX 2023にて基調講演を実施し、同社のWindows向けのプロセッサーやAIに関連する技術について紹介した。
スマホ、PC、タブレット、スマートウォッチ、イヤホンまで
シームレスな体験を実現するクアルコムの技術
冒頭に登壇したクアルコムのAlex Katouzian氏(SVP and GM,Mobile,Compute,and XR)は「PCの使い方が大きく変わった。電力効率の高い処理とインテリジェンス、最先端のカメラ・オーディオ・マルチメディア機能、超高速接続を獲得し、常時接続、薄型・軽量デザイン、数日間のバッテリー寿命により、事実上どこからでも創造、コラボレーション、エンターテインメント、フィードバックができるようになった」と語り、「これはスマートフォンの話ではなく、スマートフォンとPCは融合している。そのためユーザーがよりシンプルでシームレスな体験をしたいと思うのは理解できる」と説明した。
「スマートフォン、PC、タブレット、スマートウォッチ、イヤホンそして乗り物まで、これらのデバイスをシームレスに連携させ、体験を楽に行き来できるようにする、共通の技術的な糸としての役割を果たす」のがSnapdragonを初めとする、クアルコムの技術であるとしている。
また今後重要となるポイントはやはり「AI」であるとKatouzian氏は指摘する。「接続されたデバイスの数とデータトラフィックの増加は加速しコストの増加が続いている。すべてをクラウドに送ることは不可能で、個人情報の問題もある」と話し、エッジ側での処理の必要性がますます増えていることに言及。
またKatouzian氏は、「ワークロードの要求を満たすには、専用の処理機能が必要。Qualcomm Hexagonプロセッサーは、電力、効率、最適化、強化された処理能力と高い精度を提供することを目的とした中心となる」と話し、AIエンジンであるQualcomm HexagonプロセッサーやQualcomm AI Engineに関する取り組みについての重要性をアピールしていた。
たとえばクアルコムは、Windows 11で導入される推論エンジン「ONNX Runtime」向けに「Qualcomm AI Engine Direct SDK」を提供予定。これにより、ソフトウェア開発においてQualcomm AI Engineを利用しやすくなる。
基調講演にゲストとして登壇したマイクロソフトのKen Sun氏(Vice President of Device Partner Sales)は「WindowsとSnapdragonの組み合わせで実現可能な新しい機能の幅が広がっている。私たちはまさに新しいコンピューティング時代の幕開けを迎えている」と話しており、WindowsとSnapdragonの組み合わせで、エッジAIが加速してく未来を予測していた。
PC向けCPU「Oryon」搭載マシンは2024年リリースと言及
ただしWindows向けのプロセッサーについて、新製品などの情報発信はなく、次世代製品には自社開発のCPU「Oryon」を搭載するなど、昨年末に発表済みの内容にとどめており、最新情報としては搭載PCが市場へ投入される時期を「2024年」とクアルコムのKedar Kondap氏(SVP and GM,Compute and Gaming)が言及する程度だった。
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