RTX 4070 Tiを大胆にテコ入れ
すでにRTX 4060 Tiのスペックは発表済みだが、簡単に概要を眺めてみよう。RTX 4060 TiのSM数はVRAM構成に関係なく34基。SM数が絞られているハンデを動作クロックで補うように、ベース/ブーストクロックともに上位のRTX 4070よりも高く設定されている。
今世代の60番台は、メモリーバス幅が128bitと狭いことが最大の特徴(かつマニアにはネックに見える部分)だが、このハンデはAda Lovelace世代のGeForceが備える巨大なL2キャッシュで緩和している。
高画質〜最高画質設定では、解像度が高くなるほどメモリーバス幅の狭さが強烈なボトルネックになるが、RTX 4060 Tiでは32MBのL2キャッシュを備えることでキャッシュヒット率を上げ、これにより実効メモリー帯域を増やし、処理性能を落とさず処理させることができる。このL2キャッシュをどれだけ増やすかでメモリーバス幅のハンデが出る負荷の高さが決まるが、128bit幅+L2 32MBではフルHD、192bit幅+L2 36MB(RTX 4070)ではWQHD向け、ということだ。
掲載当初、一部スペックを誤って表記していました。訂正してお詫びいたします。(2023年5月24日)
RTX 4060 Tiの強みはTGP(Total Graphics Power)は160W、AGP(NVIDIAが提唱する謎指標:Average Gaming Power)は140Wと低く、RTX 2060相当の消費電力で圧倒的な演算性能(FP32で22.06TFLOPS対6.451TFLOPS)を生み出せる。DLSS FGへの対応やAV1ハードウェアエンコード対応のNVEnc(RTX 4070と同様に1基のみ)搭載など、Ada Lovelace世代のGeForceから実装された付加機能はすべて備わっている。
この連載の記事
-
第457回
自作PC
インテル新GPU、Arc B580の実力は?AI&動画エンコードは前世代より超強力に -
第456回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」は高画質設定でも最強ゲーミングCPUであることに間違いはなかった -
第455回
デジタル
「Ryzen 7 9800X3D」が最強ゲーミングCPUであることを証明する -
第454回
デジタル
性能が最大50%引き上げられたSamsung製SSD「990 EVO Plus」は良コスパSSDの新星だ -
第453回
デジタル
性能も上がったが消費電力も増えた「Ryzen 7 9800X3D」最速レビュー、AI推論の処理速度は7800X3Dの約2倍! -
第452回
自作PC
Core Ultra 200Sシリーズのゲーム性能は?Core Ultra 5/7/9を10タイトルで徹底検証 -
第451回
自作PC
Core Ultra 9 285K/Core Ultra 7 265K/Core Ultra 5 245K速報レビュー!第14世代&Ryzen 9000との比較で実力を見る -
第450回
デジタル
AGESA 1.2.0.2でRyzen 9 9950Xのパフォーマンスは改善するか? -
第449回
デジタル
Ryzen 9000シリーズの性能にWindows 11の分岐予測改善コードはどう影響するか? -
第448回
デジタル
TDP 105W動作にするとRyzen 7 9700X/Ryzen 5 9600Xはどの程度化ける? レッドゾーン寸前を攻める絶妙な設定だが、ゲームでの効果は期待薄 -
第447回
デジタル
Zen 5とTDP増でゲーム性能は向上したか?「Ryzen 9 9950X」「Ryzen 9 9900X」の実力チェック - この連載の一覧へ