堀った溝を削って広げる新技法
Sculpta
こうした問題に対する解決策として今年2月末から3月頭にかけて開催されたSPIE Advanced Lithography + PatterningというイベントでApplied Materialsが発表したのがCentura Sculpta Patterning Systemである(長いので以下Sculpta)とする。
“Pattern-Shaping Technology”とされるこのSculpta、要するに「EUV露光+エッチングで堀った溝を広げる」仕組みである。例えばダブルパターニングの例の写真にあるような溝を作る場合、まずは同じように横方向の溝に加え、縦方向の配線も同時に構築する。
ただそのままだと縦方向の配線が太いままである。そこでSculptaを使って縦方向の配線を細く削り込むという仕組みだ。
同様にダブルパターニングの例の写真にあるような楕円穴の場合、まず小さな穴を規定の位置にEUV露光+エッチングで空けたうえで、その穴をSculptaを使って広げることで、高密度な穴の実装が可能になる。
この削り込み作業、Applied Materialsが公開した動画の1分44秒あたりからを見てもらうとわかりやすい。
これは空けた穴を広げる手順を示したものだが、EUV露光とエッチングが終わった後のウェハー全体に対して、「ピンク色の怪光線」を当てると穴がどんどん広がっていく様が示されている。これにより、EUV露光→エッチングを1回で済ませられる、というのがApplied Materialsの主張である。
この「ピンク色の怪光線」はなんだ? という話はApplied Materials自身は一切公開していない。可能性として考えられそうなのは2種類ある。1つはeBEAM(電子ビーム)だ。

この連載の記事
-
第813回
PC
Granite Rapid-DことXeon 6 SoCを12製品発表、HCCとXCCの2種類が存在する インテル CPUロードマップ -
第812回
PC
2倍の帯域をほぼ同等の電力で実現するTSMCのHPC向け次世代SoIC IEDM 2024レポート -
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ -
第810回
PC
2nmプロセスのN2がTSMCで今年量産開始 IEDM 2024レポート -
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート - この連載の一覧へ