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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第719回

EUV露光で堀った溝を削って広げる新技法Sculpta EUVによる露光プロセスの推移

2023年05月15日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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堀った溝を削って広げる新技法
Sculpta

 こうした問題に対する解決策として今年2月末から3月頭にかけて開催されたSPIE Advanced Lithography + PatterningというイベントApplied Materialsが発表したのがCentura Sculpta Patterning Systemである(長いので以下Sculpta)とする。

 “Pattern-Shaping Technology”とされるこのSculpta、要するに「EUV露光+エッチングで堀った溝を広げる」仕組みである。例えばダブルパターニングの例の写真にあるような溝を作る場合、まずは同じように横方向の溝に加え、縦方向の配線も同時に構築する。

例えばここで溝同士の間隔を広げる(横方向の配線の幅を狭める)ことが可能かは不明だが、できそうな気はする

 ただそのままだと縦方向の配線が太いままである。そこでSculptaを使って縦方向の配線を細く削り込むという仕組みだ。

例では横方向の寸法を詰める(横方向に削る)例だが、縦方向にも可能かどうかは不明。仮に可能だとしても、真円形状になるのだろうか?

 同様にダブルパターニングの例の写真にあるような楕円穴の場合、まず小さな穴を規定の位置にEUV露光+エッチングで空けたうえで、その穴をSculptaを使って広げることで、高密度な穴の実装が可能になる。

 この削り込み作業、Applied Materialsが公開した動画の1分44秒あたりからを見てもらうとわかりやすい。

 これは空けた穴を広げる手順を示したものだが、EUV露光とエッチングが終わった後のウェハー全体に対して、「ピンク色の怪光線」を当てると穴がどんどん広がっていく様が示されている。これにより、EUV露光→エッチングを1回で済ませられる、というのがApplied Materialsの主張である。

1回の露光+シャープニングで完成するので、EUV露光一回分のコストが削減できる、という話であるが、Sculptaの運用コストの方はまだ不明

 この「ピンク色の怪光線」はなんだ? という話はApplied Materials自身は一切公開していない。可能性として考えられそうなのは2種類ある。1つはeBEAM(電子ビーム)だ。

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