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途上国の貧困問題解決に挑む高校生のビジネスプランがグランプリ!

第10回「高校生ビジネスプラン・グランリプリ」最終審査会&表彰式レポート

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身近な出来事や気づきをきっかけに課題解決に挑む!
柔軟な発想や専門知識を生かし、 “十組”十色のプレゼンを披露

 そして、いよいよファイナスリスト10組の最終プレゼンとなった。1組の持ち時間は6分、その後、審査員による質疑応答が行われた。

 なお、当日の様子はYouTube LIVEでリアルタイム配信が行われ、アーカイブ動画を視聴可能だ。ファイナリストたちのプレゼンを見たい方は、ぜひ動画もあわせてチェックしてほしい。【第10回「高校生ビジネスプラン・グランプリ」最終審査会&表彰式 配信動画(YouTube)】

横浜市立南高等学校 チーム名(個人名):靴ガエス
ビジネスプラン名:靴カエサセナイ

 プレゼンター1組目の横浜市立南高等学校「靴ガエス」のメンバーたちは、おそろいの衣装で元気に登場。「介護施設にいる祖父が靴の履き替えに苦労していた」ことをきっかけに、ソールが半分に折れ曲がる屋内外両用の靴「靴カエサセナイ」を開発した。

 実際に靴メーカーに協力を仰ぎ、設計と制作を行い、プロトタイプを開発。価格は利用想定者にアンケートをとり、4000円と設定した。今後は、環境を配慮した素材の活用や、実際に使用してもらったシニアの声をもとに、使いやすさなどを改善していくという。

 発表の最後に、「わたしたちはみなさんの未来を、もっと明るい未来へと『くつがえす』!」と元気なコールをし、プレゼンを締めくくった。

プロトタイプのサンプルで実際にテストも行った

 

富山県立富山工業高等学校 チーム名(個人名):課題研究チーム「前沢」
ビジネスプラン名:特許を活かせ 筆記用投影装置があなたの書きたいをサポート

 筆記用投影装置「前沢書長」は、紙に好きな文字や絵を投影し、なぞるだけできれいな字や絵を描くことができる。「就職活動で、履歴書を綺麗な字で書きたい」という思いから開発を始めたという。プロジェクター機能のあるマイコンボードで制御し、モバイルバッテリーとWi-Fi搭載により、ワイヤレスで持ち運びできる仕様になっている。

 装置の開発・販売だけでなく、病院や高齢者施設、保育園や学校への展開も計画している。プレゼンでは、富山県の保育園で試験導入を行い、高校生が園児に指導を行っている様子を紹介した。

 また、「競合製品には筆記用に特化したものがない」ことから、技術的な特徴を特許出願し、ライセンス契約や委託販売によるロイヤリティといった知的財産を活用したビジネスの展開も計画している。

まぶしさを抑制するために、黒い背景に白い文字を投影する工夫もされている

 

札幌日本大学高等学校 チーム名(個人名):佐々木 ハナ
ビジネスプラン名:デジタル×アナログの「いいとこ取り」=デジアナ教科書!

 一人での参加ながら、終始落ち着いたプレゼンを堂々と行った札幌日本大学高等学校の佐々木ハナさん。デジタル教科書とアナログ教科書のデメリットを解消する「デジアナ教科書」として、教科書のデータが搭載されたアプリと、無地の本、投影用プロジェクターのサービスプランを提案した。

「アナログ教科書の重量問題や、デジタルの視力低下や書き込みにくさを解消し、さらに学習効率も期待できる」と話す。

 質疑応答では、「自分で起業してこのプランを実現したいとの思いはどれくらいあるか」という質問に対し、「このプランで一番考えているのは実現するということ。自分で起業する方法ももちろんあるが、教科書としての文部科学省の認可など、より実現性をもってするには、教科書会社の社内ベンチャーなど新規事業として行う方法もあると考えている。一人でやっていく選択肢以外にも、いろいろなことを考慮して、実装に近いものを選んで実現したい」と答えた。

「デジアナ教科書」の使用イメージ

 

おかやま山陽高等学校 チーム名(個人名):進学コース地域探究班
ビジネスプラン名:マコモの飼料化による持続可能な地域社会の実現

 おかやま山陽高等学校の「進学コース地域探究班」は、地元である岡山県里庄町の特産物「里庄まこもたけ」を耕作放棄地で栽培し、牛の餌にすることで、農家と酪農家の課題を同時に解決できるビジネスプランを提案した。

 1年6か月もの間、フィールドワークとして学校の敷地でマコモの栽培を実際に行い、岡山県農林水産総合センター畜産研究所の協力を得て、発酵飼料の「無農薬マコモサイレージ」のサンプルを作成した。さらに、成分分析でタンパク質・食物繊維が豊富で栄養価も高いことを確認し、牛への試食も実践したという。

 そして「耕畜連携による循環型農業の実現」「耕作放棄地活用」「農業従事者の維持」といったメリットにより、「地域農業/地域産業の持続的な発展に貢献できる」とアピールを行った。

栽培から試作品作成まで、飼料の開発過程を紹介

 

洗足学園高等学校 チーム名(個人名):ハイドレンジャー
ビジネスプラン名:傘による発電システムの開発,提供「あんぶらいと」

「傘を役立てたい」という思いから、傘による発電を通じて学校や病院、企業向けに電力供給手段を提供するサブスクリプションサービスを提案したのは、洗足学園高等学校「ハイドレンジャー」。雨滴発電を使った専用の傘と傘立てを使用することで発電を行うことできるという。

 傘に取り付ける発電シートの原理をわかりやすく解説し、次に、設置者と使用者双方のメリットを紹介した。複数の企業へ、「あんぶらいと」導入についてのアンケートを実際に行い、半数以上から検討について前向きな回答があったことを伝えた。

 最後に「全員が雨の利益を享受できる社会をつくり、天気予報の雨マークで笑顔を生み出せる世の中にするために、傘の発電が必要!」と元気に話し、プレゼンを締めくくった。

壇上で動きも交えながら「あんぶらいと」の仕組みを説明

 

早稲田大学高等学院 チーム名(個人名):ナガデリ
ビジネスプラン名:ナガデリ ~次世代の配送システム~

 通販市場の拡大と労働人口減少による運送業界の課題を解決するため、通勤通学や空いた時間を使いながら荷物をデリバリーする配送システム「ナガデリ」を提案した。配達員は、アプリを使って駅間の運送を担い、運送料を得ることができる。

「『ナガデリ』の革新性は、日常生活の中でお金を稼ぐことができる点。たかが数百円であっても、学生にとっては、通学のついでにお金を稼げることはメリット」と、高校生ならではの視点を伝えた。また、届くまでの間、荷物の位置情報をリアルタイムで確認できるようにして、配送にワクワク感を演出し、娯楽の側面も付加する。

 さらに、自身の経験から、年齢面からビジネス参入が難しい高校生が「ナガデリ」に個人事業主として参加することで、「若いうちからビジネスにふれる機会をつくる」ことを目指しているという。

通勤通学など空いた時間を使い「ナガ」ら荷物を「デリ」バリーするシステム

 

福岡女学院高等学校 チーム名(個人名):new horizon
ビジネスプラン名:にゅーほらcafe

 福岡女学院高等学校の「new horizon」は、「目に見えないからこそできること」に着目し、視覚障害者が晴眼者とともに働き、客との対話を通じてお互いが新しい自分を発掘するきっかけを生むカフェを提案。メンバーの一人が、視覚障害者の祖父が「もっと笑っている姿を見たい」と思ったことがきっかけだったという。

「にゅーほらcafe」では、視覚情報がないからこその外見による偏見の無さや、聴く力を「傾聴力」というスキルに高めて、カフェでの対話に生かし、サービスの質向上を目指す。

 質疑応答で審査員から追加でアピールしたいことを聞かれると、「実際に視覚障害者の方とお話して、自分の中の『interesting』に新たに気付くことができた」というエピソードを語ってくれた。

視覚障害者へのアンケートやヒアリングを重ねて得た気づきをプランにしたという

 

青森県立三本木農業恵拓高等学校 チーム名(個人名):COW飼う‘S
ビジネスプラン名:エコフィードを活用した機能性鶏卵「キャロットエッグ」

 青森県立三本木農業恵拓高等学校で畜産学を学ぶ「COW飼う‘S」が、「畜産業を助けたい」という思いで研究に取り組んだのが、機能性鶏卵「キャロットエッグ」の開発だ。飼料による卵黄の色や栄養価の違いに着目し、その材料として、無料で入手できるエコフィードを活用した。「地元で未活用資源だった廃棄ニンジンと醤油粕を配合することで、環境に配慮しつつ、栄養価を高めることができる」という。

 実際にエコフィードの醤油粕粉末と乾燥ニンジン粉末を配合した飼料を鶏に与えて、「キャロットエッグ」を開発した。また、地元洋菓子店とコラボして「キャロットエッグ」を使ったスイーツも企画。限定販売した様子を紹介し、好評だったことを伝えた。

 今後の課題として、地域に使われていない未活用資源があることを挙げ、「エコフィードの開発に取り組んでいきたい」と語った。

国内で飼料を安定供給でき、養鶏農家にとっても大きな恩恵となる

 

東京都立晴海総合高等学校 チーム名(個人名):本嶋 向日葵
ビジネスプラン名:途上国の貧困を日本の知恵で救え 冷蔵庫プロジェクトJAPAN

 東京都立晴海総合高等学校の本嶋向日葵さんは、2000万人いるというフィリピンの貧困家庭の世帯年収を上げるため、「サリサリストア」と呼ばれる個人商店のビジネスモデルをヒントに、貧困地域の主婦に、冷蔵庫と少額の仕入れ資金を貸与し、自宅の玄関でも開業できる小規模商店のフランチャイズを考案した。利益・回転率の高い商品を販売することで、子育てをしながらでも収入を増やし、最終的には自立を促すことが目的だ。

 2022年4月から、現地の人の協力を得て、実証店舗をスタート。日々の売り上げや時間帯ごとの客数、客単価などのデータを収集・分析して販売戦略を立案し、ビデオチャットでのヒアリングなどで店舗管理を行っている。現在はフランチャイズ化を目指すため、店舗運営マニュアルの作成や新店舗開店に向けた準備中だという。

 質疑応答では、大学に進学した後にフィリピンへの留学を計画しており、現地でのネットワークの構築や7年後の1000店舗展開に向けた準備を進めていくという考えを伝えた。

フィリピンのみならず、他の発展途上国への展開も構想

 

沖縄県立北部農林高等学校 チーム名(個人名):ムジっ娘
ビジネスプラン名:身体も地域も元気にイエ~イ。~事業を繋ぐ18パンの思い~

「はいさい~」と元気な挨拶で、パン屋さんの姿で登場した沖縄県立北部農林高等学校「ムジッ娘」は、地元への愛を込めたストーリーのプレゼンを行った。

 伊江島のパン工場が廃業になったことをきっかけに事業を引き継ぎたいと考え、パン製造を学ぶ立場から、学校給食のように栄養価の高いサンドイッチ「18(いえ)パン」をつくることを思い付いたという。

 地域活性化のため、原材料に伊江島産小麦や塩、未活用の麦芽カス、具材に沖縄グルメを使用し、栄養価も工夫した。試食会や学校行事での販売を経て、今後は地元伊江島のほか、観光施設、道の駅での販売も計画中だ。地元からも大きな反響があったことを紹介しつつ、「今日のプレゼンで、多くの人に後継者不足の問題に気付いてほしい」と伝えた。

沖縄グルメを使った3種類の「18パン」

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