ASCII Power Review 第322回
キーボードとポインティングデバイスがやはり最高でした
あこがれの旗艦モバイルノートPC最新モデル=「ThinkPad X1 Carbon Gen 14 Aura Edition」実機レビュー
2026年07月27日 01時00分更新
同じプロセッサー、メモリー、ストレージを搭載していれば、ノートPCの基本的な性能差はそれほど大きくない。しかし、多くのメーカーから数多くの製品が発売されているなかで、使い勝手や操作時のフィーリングには意外なほど差がある。
そのなかでもトップクラスの使い心地を実現しているのがThinkPadシリーズだ。特にキーボードとポインティングデバイスの操作性は、他社製品と比べても群を抜いている。
今回は、クラムシェル型ThinkPadのフラッグシップモデル「ThinkPad X1 Carbon Gen 14 Aura Edition」の実機レビューをお届けする。
スペック表やベンチマークスコアだけでは伝わらない使い勝手や操作感を中心に、実際に使って感じたリアルな使用感をお伝えする。購入を検討している方の参考になれば幸いだ。
CPUが8種、ディスプレーは5種と
多彩なカスタマイズが可能
「ThinkPad X1 Carbon Gen 14 Aura Edition(14型 Intel)」には、非常に多くのカスタマイズ項目が用意されている。まず、プロセッサーは下記の8種類から選択可能だ。
・Core Ultra X7 368H
(16コア[4P+8E+4LPE]、16スレッド、最大5.0GHz、ベースパワー25W)
・Core Ultra X7 358H
(16コア[4P+8E+4LPE]、16スレッド、最大4.8GHz、ベースパワー25W)
・Core Ultra 7 366H
(16コア[4P+8E+4LPE]、16スレッド、最大4.8GHz、ベースパワー25W)
・Core Ultra 7 356H
(16コア[4P+8E+4LPE]、16スレッド、最大4.7GHz、ベースパワー25W)
・Core Ultra 7 365
(8コア[4P+4LPE]、8スレッド、最大4.8GHz、ベースパワー25W)
・Core Ultra 7 355
(8コア[4P+4LPE]、8スレッド、最大4.7GHz、ベースパワー25W)
・Core Ultra 5 335
(8コア[4P+4LPE]、8スレッド、最大4.6GHz、ベースパワー25W)
・Core Ultra 5 325
(8コア[4P+4LPE]、8スレッド、最大4.5GHz、ベースパワー25W)
プロセッサー型番の末尾に「H」が付くモデルは16コア、「H」が付かないモデルは8コア。また、X7シリーズとCore Ultra 7/5シリーズの大きな違いは内蔵GPUだ。
X7シリーズには上位の「Intel Arc B390 GPU」、Core Ultra 7/5シリーズには「Intel Graphics」が搭載されている。CPU性能だけでなくグラフィックス性能も重視するのであれば、X7シリーズが有力な選択肢となる。メモリーは16GB、32GB、64GB、ストレージは256GB、512GB、1TB、2TBから選択可能だ。
本製品を購入する際に悩ましいのが、ディスプレーの選択肢の多さである。OLEDが3種類、IPS液晶が2種類用意されており、OLEDは2880×1800ドット、IPS液晶は1920×1200ドットと解像度が大きく異なる。さらに、タッチ操作への対応や表面処理などにも違いがある。
・14型2.8K OLED
(2880×1800ドット、タッチ対応、反射防止、汚れ防止、ブルーライト軽減)
・14型2.8K OLED
(2880×1800ドット、反射防止、汚れ防止、ブルーライト軽減)
・14型2.8K OLED
(2880×1800ドット、ブルーライト軽減)
・14型WUXGA IPS液晶
(1920×1200ドット、タッチ対応、Privacy Guard、ブルーライト軽減、非光沢)
・14型WUXGA IPS液晶
(1920×1200ドット、タッチ対応、省電力、ブルーライト軽減、非光沢)
基本的には、パネル方式、解像度、タッチ対応の有無、表面処理の順に条件を絞ると選びやすいだろう。個人的には、まずタッチ操作が必要かどうかを決めることをお勧めする。タッチ対応の有無によって、操作スタイルが大きく変わるためだ。
インターフェースは、Thunderbolt 4(USB4、USB PD、DisplayPort Alt Mode)×3、USB 3.2 Gen1 Type-A、HDMI、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 7とBluetooth 6.0をサポートしている。また、ワイヤレスWANは非搭載/LTE/5Gから選択可能だ。
本体サイズはディスプレーのタッチ対応の有無によって異なる。タッチ対応モデルは約312.5×215.75×9.2~17.6mm、タッチ非対応モデルは約312.5×215.75×7.7~16.85mmで、後者のほうがやや薄い。重量は最軽量構成で約977g。タッチ対応モデルとタッチ非対応モデルの重量差は公表されていない。
バッテリーには58Whのリチウムイオンポリマーバッテリーを採用しており、バッテリー駆動時間は動画再生時で約18.9時間、アイドル時で約38時間と謳われている。当然、プロセッサーやディスプレーパネルの違いによって、実駆動時間は異なるはずだ。
記事執筆時点では、Core Ultra 5 325/32GBメモリー/256GBストレージ/タッチ対応液晶/500万画素ウェブカメラ/WWAN非搭載/通常トラックパッドという構成が、39%オフの39万8420円で販売されていた。ThinkPadシリーズのフラッグシップモデルだけに、最小構成でもなかなかの価格であることは確かだ。
触覚タッチパッドより
3ボタンクリックパッドがお勧め
ポインティングデバイスには、「TrackPoint+3ボタンクリックパッド」と「TrackPoint+触覚タッチパッド」の2種類が用意されている。
他社製ノートPCであれば後者の触覚タッチパッドを推したいところだが、本製品に限っては3ボタンクリックパッドをお勧めしたい。クリック感がよく、クリック音も極めて小さいからだ。
ダイビングボード構造のクリックパッドを押し込んで操作することもできるが、奥に配置された3ボタンなら、手探りでも確実に操作できる。触覚タッチパッドには操作面積が広いというメリットもあるが、ぜひTrackPointと3ボタンクリックパッドの組み合わせによる直感的な操作感を試してみてほしい。
今回の試用機は14型2.8K OLED(2880×1800ドット、反射防止、汚れ防止、ブルーライト軽減)が搭載されていた。最大120Hzのリフレッシュレートや、OLEDならではの鮮やかな映像も好印象だったが、最も魅力を感じたのは反射防止性能だ。
シーリングライトの光が画面に直接当たるよう角度を調整してみたところ、輝度50%でも一定の視認性が確保され、輝度100%ではシーリングライトの映り込みがほとんど気にならない程度まで抑えられた。
もちろん照明の明るさや設置位置にも左右されるが、少なくとも一般的なオフィスや自宅の照明であれば、映り込みをそれほど気にせず利用できるはずだ。
ウェブカメラは10MP RGB+IRカメラ(プライバシーシャッター、人感検知機能付き、MIPI接続)を搭載している。
撮影した写真を見ると、全体的にディテールはやや甘く、被写体の質感も少し失われている印象だ。一方、クーピーペンシルの色は比較的正確に再現されているものの、肌色はやや赤みが強く記録されていた。ノイズは少なく画質は安定しているが、10MPというスペックから想像するほどの精細さは感じられなかった。ただし、ビデオ通話やオンライン会議といった用途であれば、実用上十分な画質と言える。
Core Ultra 7 355搭載機として順当な速度を発揮
1キロ切りでもバッテリーは9時間越え
最後にパフォーマンスをチェックする。今回の貸出機のスペックはCore Ultra 7 355/メモリー32GB/ストレージ512GB(PCIe Gen4 x4接続SSD)だ。
比較対象機種は「Core Ultra 7 355」搭載「Lenovo Yoga Slim 7i Ultra Gen 11 Aura Edition (14型 Intel)」、「Core Ultra X7 358H」搭載「ASUS ExpertBook Ultra B9400CAA」、「Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100」搭載「ASUS Zenbook SORA 16 UX3607OA」だ。
まずCPU性能については、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は653pts、CPU(Single Core)は118pts、「CINEBENCH 2026」のCPU(Multi Threads)は2631pts、CPU(Single Thread)は485ptsを記録した。同じプロセッサーを搭載するYoga Slim 7i Ultraとほぼ同じだ。
「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は653pts、CPU(Single Core)は118pts。「CINEBENCH 2026」のCPU(Multi Threads)は2631pts、CPU(Single Thread)は485pts
3Dグラフィックス性能については、「3DMark」のPort Royalは1492、Time Spyは3104、Fire Strikeは6310、Wild Lifeは20285だった。
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは13252(とても快適)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは3831(普通)となった。
Core Ultra X7 358Hを搭載するExpertBook Ultraに対して3DMarkで平均41%のスコアに留まっている。高い内蔵グラフィックス性能を求めるのであれば、ThinkPad X1 CarbonでもCore Ultra X7 358H/368Hを選びたいところだ。
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは13252(とても快適)。
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは3831(普通)。
ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「SAMSUNG MZVL8512HFLU-00BLL」を搭載しており、「CrystalDiskMark 9」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は6990MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5940MB/sとなった。
昨今PCIe Gen5 x4接続のSSDを搭載している機種も増えているが、モバイルノートPCであればThinkPad X1 Carbonの読み書き速度で十分すぎるパフォーマンスと言える。
ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「SAMSUNG MZVL8512HFLU-00BLL」を搭載。「CrystalDiskMark 9」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は6990MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5940MB/s
AI処理能力を計測する「UL Procyon AI Computer Vision Benchmark」のNPUのfloat16は1101、Integerは1971となった。
Core Ultra 7 355は最大49TOPSのNPUを搭載しており、インテルの上位プロセッサーとAI処理能力は大きな差はない。しかし、Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100搭載機とは大差がついている。次期インテルプロセッサーでもNPUの性能向上を期待したい。
バッテリー駆動時間については、ディスプレー輝度とボリュームを40%に設定し、バッテリー残量100%の状態からYouTube動画を連続再生したところ、バッテリー残量が70%に達するまでの駆動時間は2時間50分28秒だった。
単純計算すると、バッテリー残量0%までの駆動時間は約9時間28分13秒となる。58Whとバッテリー容量は決して大きくないが、それでも日中の外回りで継ぎ足し充電が不要なだけのスタミナ性能を備えている。
スペックだけでなく
道具としての使い心地を重視する人には
魅力的な1台だ
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
- 第321回 ハッセルブラッド搭載の頂上カメラ・スマホ「OPPO Find X9 Ultra」実写レビュー=プロが本気で徹底撮影しました!!
- 第320回 「Snapdragon X2」搭載で最強化したタブレット型PC=マイクロソフト「Surface Pro 13」12 世代 実機レビュー
- 第319回 インテルCoreにRTX50搭載なのに22万円台で買えるHPの最新ゲーミングノート=「HyperX OMEN 15」実機レビュー
- 第318回 まもなく発売!! 動画も静止画も最新性能でお買い得なフルサイズカメラ「EOS R6 V」実写レビュー
- 第317回 本日発表:ゲーム機もつながるのに19万円台で買える24型オールインワンPC=「ASUS V600 AiO」実機レビュー
- 第316回 PCIe Gen5でSSDは10GB/s超えの爆速だ=「Core Ultra シリーズ3」で勝色もありのフラッグシップノート「VAIO SX14-R」実機レビュー
- 第315回 1000ニトの2画面OLEDに爆速「Core Ultra X9 388H」で1.35kgの最強AIノートPCだった=「Zenbook DUO UX8407」実機レビュー
- 第314回 27万円で買える「Ryzen AI」と「RTX50」搭載のゲーミングノートPC「ASUS TUF Gaming A14」実機レビュー
- 第313回 空飛ぶ超高画質の全天周カメラを操縦してみた=「DJI Avata 360」実機レビュー
- この連載の一覧へ

























