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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第702回

計52製品を発表したSapphire Rapidsの内部構造に新情報 インテル CPUロードマップ

2023年01月16日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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まだ終わっていなかったOptane Memory
Optane Persistent Memory 300

 連載678回で、Optaneビジネスが終焉という話をしており、これはおおむね間違いではないのだが、1つだけあった例外がOptane Persistent Memory(PMem)である。

 「Optane Memory事業の縮小にも関わらず、既存の顧客との契約は継続される見込みである」とあったわけだが、この対象はすでに投入されているPMem 200シリーズだけでなく、これに続くPMem 300シリーズにも適用される、というのは少しだけ驚いた。

新規顧客向けに提供ではなく、既存のOptane Persistent Memory 100/200を使っている顧客がSapphire Rapidsにアップグレードする際のパスという気がする

 この300シリーズはもともとPMemだけではなくCXL向けにも提供予定だったわけだが、こちらはおそらくキャンセルである。

 なぜか? というと簡単で、すでにPMemに対応したアプリケーションが多数存在しており、顧客も多数利用している。したがってSapphire RapidsでもPMemに対応させないと、こうした顧客をSapphire Rapidsに移行できないためだ。

 実際のところPmemとCXLはほぼ同じ機能を提供できるが、例えばメモリーマッピングのアドレスであるとか操作のためのI/Fはまったく異なる。あるいはCXLではホットスワップや動的なメモリーの追加/削減などが可能だが、これはPMemではできないことである。

 あるいはスループットやレイテンシーなどが異なるため、既存のPMemに対応したアプリケーションは、CXLに対応するための作業時間がしばらく必要であり、今すぐPMemの代わりにCXLメモリーというわけにはいかない。したがって、短期的にPMem 300を提供して時間を稼ぎ、その間にアプリケーションをPMemからCXLメモリーに移行するといった対応になると考えられる。

 要するにPMem 400シリーズは、今のところ考えていないと思われる。おそらくこの300シリーズがPMemの最後の製品となるだろう。

 これに絡むのが、CXL 1.1でのType 3 Deviceの未サポート問題だ。CXLには3種類のプロトコル(CXL.io、CXL.cache、CXL.memory)があるが、それぞれ必要なプロトコルとされている。

Type 1 Device(NICなど):CXL.io
Type 2 Device(FPGAやアクセラレーター):CXL.io/CXL.cache/CXL.memory
Type 3 Device(メモリー):CXL.io/CXL.memory

 Type 2 Deviceをサポートしているのであれば、Type 3 Deviceをサポートできない技術的な理由がわからない。これについては直接質問したところ「技術的には動くはずだ。ただ市場には(検証の済んだ)Type 3 Deviceが存在しないので、検証できない。そのためサポートから外した」(Senior FellowのRonak Singhal氏)という返ことだった。

 ただこれもやや無理があるというか、現実問題としてSamsungなどは昨年製品を出荷しているし、SK HynixやMicronもサンプルをリリースしている現状では、言い訳でしかない。現実的な理由は、ここでCXL Memoryをサポートしてしまうと、PMem 300シリーズと思いっきりバッティングするためだろう。

CXL Deviceは最大4つまでということで、XCC/HBMではタイルあたり1つ、MCCはタイルで2つサポートするかたちとなる

 おそらくCXLメモリーは次のEmerald Rapidsの世代で公式にサポートが表明され、その頃には現在PMem対応を謳っているアプリケーションのCXLメモリーへの移行計画が明らかになっているといった具合に収束していくものと思われる。

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